社会人になると仕事のやりとりを通して「適宜」という言葉をよく使うようになります。とても便利な言葉であるため濫用してしまいがちですが、正しい意味や使い方をしっかり理解していますか?
ここでは「適宜」の意味と使い方について、類語や英語表現を用いて紹介しています。例文と併せて参考にしてみて下さい。
「適宜」の正しい意味と使い方は?
まず「適宜」の正しい意味と使い方から説明しましょう。読み方は「てきぎ」です。
「適宜」の意味は「その場の状況や状態に適している様子」
「適宜」の意味は、「その場の状況や状態に適している様子」です。他にも「その場の状況や状態を把握し、それぞれ適当であると思われる行動をする様子」という意味があります。
「適宜~する」を例にとると、「ルールや規定はないが、自分なりに適していると考える行動をする」というニュアンスがあります。そのため、ある程度行動を相手に任せるという意図が含まれる言葉だと言えるでしょう。
「適宜」は動詞と組み合わせて使われる
「適宜」は一般的に「適宜~する」、口語では「適宜、お願いします」などのように、動詞と組み合わせて使わることがほとんどです。
「適宜」はものごとや状況が変わり得る職場ではとても便利な言葉です。「その時に適した」「その場の状況に合わせて」という意味を持つ「適宜」を文章に用いれば、意味合いにもグンと幅が出てくると言えます。
例文として「昼休みをとるようにして下さい」「昼休みを適宜とるようにして下さい」などが挙げられます。
「適時」や「随時」との違いは?
「適時」は適切な時間のこと
「適時」は言葉が示す通り「適切な時間」「ふさわしいタイミング」を意味しています。つまり「それぞれの目的に対し、ものごとを行うのにちょうど良いタイミングであること」指しています。
- 本日は業務が押していますが、適時、午後の休憩をはさみましょう。
「随時」は日時を設定せず、必要性に合わせて行動すること
また「随時」は「「日にちや時間を設定せず、その時の必要性に合わせて行動をとること」です。ちなみに「随時」の「随」には「成り行きに任せる」「進行するものごとに後からついていく」という意味があります。
- こちらの店舗では、随時、新製品を入荷しています。
状況別「適宜」を使ったビジネス例文
それでは、ビジネスシーンにおける「適宜」を使った例文をいくつか挙げてみましょう。
上司から部下へ仕事の支持をする時
上司と部下とのやりとりは仕事をする上で必須です。職場でも上手に「適宜」を使ってスムーズなコミュニケーションを心がけましょう。
- G社とのミーティングだが、内容に変更があったら適宜先方に連絡をしてもらえるかね?
- 取引先へは適宜訪問をして、発注の意向を確認するといいだろう。
取引先とのやりとりで敬語を使う時
取引先とのやりとりは敬語を使って丁寧に行いましょう。
- 工場のオペレーション時間は、こちらで適宜変更してまいります。
- 取引商品の追加については、適宜ご連絡いただけますと幸いです。
ビジネスミーティングでのシーン
「適宜」はビジネスミーティングでも活躍する言葉です。
- ミーティングが進行中でも、適宜、質問を受け付けます。
- 資料のコピーは適宜お取りください。
「適宜」の類語と言い換えは?
職場でよく使われる「適宜」という言葉は状況によって別の言葉に言い換えることもできるでしょう。早速、類語をみてみましょう。
類語①「相応しい(ふさわしい)」
「適宜」の類語で最も言い換えがスムーズにできる類語の一つが「相応しい(ふさわしい)」です。適宜を意味する「それ相応の行動をする様子」や「それ相応である様子」をストレートに表現しています。
- 適宜、お昼休憩をとるようにして下さい。
- 相応しい時間に、お昼休憩とるようにして下さい。
類語②「適当に」「適切に」
他にも「適宜」の類語には「適当に」「適切に」「相応に」「そぐわしい」「手ごろに」「よしなに」などがあります。
- 立食パーティだから、好きなもの適当にお皿にとっていいみたいです。
- 立食パーティだから、好きなものを適宜お皿にとっていいみたいです。
- 緊急時には適切に安全な行動をとるようにして下さい。
- 緊急時には適宜、安全な行動をとるようにして下さい。
「適宜」を英語でどう表現する?
最後に「適宜」の英語表現を解説します。海外企業とのやりとりや海外から赴任してきた上司とのやりとりで上手に使ってみて下さい。
英語では「appropriately」が一般的
英語で「適宜」「相応しい」を表す言葉は「appropriately」です。「appropriately」は「適切」「相応」という意味を持つ「appropriate」の副詞系となり、どのような文章でも使える幅のある一語です。どの位置に副詞を置いてよいか困った時は、文章の最後に置くようにしましょう。
その他、相応しいより、やや正確さを求めるニュアンスを強めたいなら「correctly」「properly」、逆に緩めたなら「as you like」「whatever(whenever) it suits you」などもも使えます。状況に合わせて適語を選びましょう。
「適宜」を使った英語表現
- Would you please take a break during the whole day meeting?
ミーティングは一日続くので、適宜休憩をお取りいただけますか? - Please apply your new years holiday whenever it suits you」
お正月休暇は適宜申請するようにして下さい。
まとめ
「適宜」は「その状況や状態に合う様子」「その状況や状態に応じた行動をすること」です。似た言葉に「適時」「随時」がありますが、それぞれ多少の意味が異なるため、使い方に意識して適語を選ぶようにしましょう。
「適宜」は職場やビジネスシーンで重宝する言葉です。正しい意味と使い方のポイントを抑えて、コミュニケーションの円滑化にお役立てください。