「小人閑居して不善をなす」の意味とは?使い方を例文で解説

「小人閑居して不善をなす」ということわざを知っていますか?理不尽な人の態度や言動に対して不快に感じる時に使われますが、職場でも見聞きすることがあるため、正しい意味を把握しておく必要があります。今回は「小人閑居して不善をなす」の意味と語源、使い方と英語などをご紹介します。

「小人閑居して不善をなす」の意味とは?

意味は「つまらない人は暇になるとろくなことをしない」

「小人閑居して不善をなす(しょうじんかんきょしてふぜんをなす)」とは「つまらない人は暇を持て余すとろくなことをしない」という意味を持ちます。

教養が欠けていたり、人徳がない人は、何もすることがなくなると、余計なことばかりして、まともなことをしないということを表す言葉です。

時は金なりと言いますが、時間ができると、賢い人なら趣味や自分に有効なものごとを率先してやることでしょう。しかし「小人閑居して不善をなす」とはその逆で、暇な時間を無駄に使うだけではなく、理不尽でくだらないことに費やしてしまうことを表すことわざとなります。

「小人閑居して不善をなす」の「小人」は「君子」の反対語

「小人」とは、儒教の教えで最も尊敬すべき「君子」の反対となる言葉で、教育や人徳などがない、救いようのない人のことを指します。また「閑居」は暇があるにも関わらず、時間を持て余して何も行わいことを意味し、「不善」は善くないことや不道徳なこと、理不尽なことを意味します。

つまり、「小人閑居して不善をなす」で、どうしようもない人は暇になって何もすることがなくなると、くだらないことしかしない」という意味となります。

「しょうにん」と読まない「不全」と書かない

「小人閑居して不全をなす」の使い方で気を付けたいのは、読み方と漢字表記です。

「小人」は「しょうじん」が正しく、「しょうにん」と読むのは誤りです。また、「不善」を「不全」と表記するのも間違いとなります。

加えて、ことわざ最後の「なす」を「為す」と書いて「小人閑居して不善を為す」と表記する場合もあります。

語源は四書の一つ「大学」の一説

「小人閑居して不善をなす」は、中国「四書五経」のうち、四書の一つである「大学」の一説が語源となっています。「大学」の中に「小人閑居して不善を為せば至らざるところなし」という部分があり、教養や人徳なきものは暇を持て余し何もせずに過ごすという意味で謳われています。

「小人閑居して不善をなす」の使い方と例文

「小人閑居して不善をなす」はやや批判めいた感情を含む

職場で「小人閑居して不善をなす」を使うのは、暇となった時間を有効に使わず、仲間をいびったり、嫌な噂話をしたりと、くだらないことに時間を割いてしまうような場面です。この時、やや批判めいた感情を持って使われるのも特徴でしょう。

「小人閑居して不善をなす」は相手に批判めいた感情を持つと同時に、「時間を有効に使えばいいのに」とガッカリした気持ちを表す時にも使えます。

「小人閑居して不善をなす」のビジネスでの会話例文

  • ねえ、みてみて。また部長が無駄話をしているよ。暇を持て余すのもいいけど、つまらないことに時間を費やすなんて、小人閑居して不善をなすもいいところじゃない?
  • 小人閑居して不善をなす、ではないけど、同僚が外回りの最中にパチンコに行ってたのを見た。時間が出来たのはわかるけど、早く帰社して顧客データをまとめるべきだよね。
  • お局さんの新人いびり。小人閑居して不善をなすとは口が裂けても言えない。

「小人閑居して不善をなす」を英語で表すと?

定型文は「Idleness is the mother of all evil」

「小人閑居して不善をなす」を英語で表す場合「怠惰は諸悪の母(根源)である」という意味の定型フレーズ「Idleness is the mother of all evil」を使うのが良いでしょう。このフレーズには「小人」を表す単語が欠けていますが、英語圏では「怠惰」を決行する人は、そもそもつまらない人というニュアンスがあるため、この一文にことわざが持つ全体の意味合いが込められています。

「小人閑居して不善をなす」のその他の表現

上記の定型フレーズの他に、「人は何もしないと悪事を働くようになる」という意味で「Do nothing is how we learn to do ill」も使うのも良いでしょう。もし、誰かが何もしていない時に、悪事や不快なことをやりはじめたら、このフレーズを会話に加えてみて下さい。つまらない人が暇を持て余していると、ろくなことをしない、という意味で相手にストレートに伝わります。

まとめ

「小人閑居して不善をなす」とは、儒教の経書で「五経四書」の一つ「大学」の一説が語源となることわざで、「つまらない人は暇をもて余すと、悪事に走るものだ」というニュアンスで使われます。

ビジネスシーンでも職場で暇そうにしている人が、人の悪口を言ったり、意地悪を働いたりすることがあります。教養や人徳のない人は、やることがなくなると、ろくでもないことやつまらないことをしてしまうものだ、と改めて感じる時でもあるでしょう。ぜひ、自分自身も影でそう言われないように、「小人」にならず「君子」として行動できるように心がけていきたいものです。