「是非」(ぜひ)の正しい意味と使い方!類語や英語表現も解説

何かを頼む時に「是非、お願いします」と、無意識のうちにこのような言葉を放つことがありますが、「是非」の正しい意味や使い方について考えることは少ないと思います。

ここでは「是非(ぜひ)」をテーマに正しい意味と使い方を中心に、類語と英語表現を含めて解説しています。言葉一つ一つが持つ意味を改めて確認してみて下さい。

「是非」(ぜひ)が持つ2つの意味

まずはじめに「是非」の意味から解説しましょう。「是非」には大きく分けて2つの意味があります。

意味1:「ものごとの良し悪し」

「是非」の一つ目の意味は、「ものごとが正しいかどうかということ」「ものごとの良し悪しを判断すること」です。「是非」という漢字からも説明できるように「是と非」。この場合の使い方は「名詞」です。

  • 話し合いで、是非を問うことにしよう。
  • 是非を論じてから、結論を出すべきだ。
  • ものごとの是非について、世間は厳しく批判する。
  • 是非の行方によっては、対処の仕方も変わるだろう。

意味2:「どうあっても」「心を込めて」

二つ目の意味は「どんなことがあろうとも、しっかり乗り越えて行こうとする様子」「強く願う様子」です。自分の心ににある意気込み、そして相手に対する強い願いを表現し、文章を強調するための「副詞」として使われます。

  • 今度の試合では、是非優勝を狙っていきたいと思います。
  • 是非、弊社の新商品をご検討いただけないでしょうか?
  • お近くにいらっしゃる際は、是非お立ち寄りください。
  • 新人ですが、是非清き一票をよろしくお願いいたします。

「是」「非」それぞれの意味

「是非」は「是」と「非」の二つの言葉で構成されていますが、是非の「是」は「正しいこと」、「非」は「正しくないこと」と、それぞれ全く逆の意味があります。日常生活で無意識のうちに口にしていた言葉「是非」は、意味の上で相反する言葉を組み合わせた言葉です。

「是非」と「可否」の意味の違い

「是非」に近い意味を持つ言葉に「可否」があります。「可否」は言葉通り「可か否か」「賛成か不賛成か」「可決か否決」を意味する言葉です。

「是非」と同じように、ものごとの良し悪しや正しいか正しくないかを表現するときにも使われますが、「可否」はどちらかと言うと「YesかNoか」「可能か不可能か」というニュアンスで使われることがほとんどです。

  • プレゼンへの出席の可否をご連絡下さい。
  • 新予算案の可否をお聞かせいただけますか?

「是非」と「ぜひ」の使い分けと例文

続いて「是非」の使い方について迫ってみましょう。みなさんは文章を書く時に「是非」と記しますが、それとも「ぜひ」と記しますか?

「是非」も「ぜひ」も両方正しい

「ぜひ、遊びに来てください」「是非、遊びに来てください」この二つの文章は、どちらも正しい書き方です。

しかし現代の日本では、「是非を問う」「是非を論じる」などのように、ものごとの良し悪しを問う際の「是非」は漢字で、また「どうあっても」「どうぞ」などのように、強調の副詞として使われる場合の「是非」は「ぜひ」と平仮名で書くような風潮があります。

人は文章を読む時、目に飛び込んでくる「言葉」のイメージを瞬時に受け取る傾向があります。「ぜひ、どうぞ」「是非、どうぞ」を例にとれば、平仮名で表現したほうが、全体的に柔らかい印象を受けると感じる人もいるでしょう。

「是非とも~してください」

誰かにお願いするときに「是非とも~してください」という表現を用いることがあります。この時の「是非とも」は強調の意図で使われ、相手への強い願いが込められている表現となります。

  • 是非とも、明日の学界にご出席ください。
  • 良いお返事を、是非ともお待ち申し上げております。

「是非是非~してください」

「是非是非」は一般的に口語で好まれて使われる言葉です。「是非是非」は「是非」がダブルで組み合わさった言葉であり、さらなる強調を表したい時に用いられます。

しかしビジネスメールや商談のシーンでは、相手にやや押しつけがましい印象を与えることががあるため、使い方には気を付ける必要があります。

  • 明日のイベントには、是非是非お越しくださいますようお願いいたします。
  • 是非是非、試供品をお使いになって、感想をお聞かせくださいませ。

「是非」の類語は?

それでは「是非」の類語を見てみましょう。

名詞「良し悪し」の類語「可否」「適否」など

名詞「良し悪し」としての類語には「可否」「善し悪し」「適否」「当否」があります。「適否」は「適しているかか、適していないか」また「当否」は「当を得ているか、得ていないか」という意味になります。

  • 当否を問うメールが取引先から届いた。
  • 面接で能力での適否を見分ける。

副詞「どうあっても」の類語「何卒」「何でも」など

「是非」の類語は「何でも」「何卒」「理が非でも」「雨が降ろうとやりが降ろうと」などが挙げられます。「何が何でも!」という気持ちが表れる類語になります。

  • 何卒、前向きにご検討いただければ幸いです。
  • 今月は理が非でもライバルを追い越したい。

「是非」を外国語で言うと?

最後に外国語表現(英語、韓国語、中国語)で「是非」をどのように表現するか紹介します。ここでは「どうあっても」「どうぞ」などの副詞の「是非」を取り上げています。

英語「by all means」

英語で「是非」を意味する言葉はたくさんあります。「by all means」「absolutely」「please do」「certainly」など、状況に合わせて使いましょう。

  • Please come!
    是非、お越しください。

韓国語「꼭(コッ)」

韓国語で「是非」を表す言葉は「꼭(コッ)」です。「どうしても」「必ず」などの意味も含む表現です。国際交流や韓国企業とのやりとりで使ってみましょう。

中国語「一定(イーディン)」

中国語で「是非」を表現するときは状況によって異なりますが、「一定(yi ding=イーディン)や「非(fei=フェイ)」などを使う時が多いようです。中国語も英語と同様、翻訳する際は一長一短ではない「難しい言語の一つ」です。ぜひ、理解しておきましょう。

まとめ

「是非」は名詞として使われる「良し悪し」、強調の副詞として使われる「どうあっても」「どうぞ」などのように、二つの意味を持つ言葉です。正反対の意味を持つ言葉が組み合わさった言葉であり、類語には「可否」「適否」「当否」、また「何でも」「何卒」「何があっても」などがあります。

ビジネスシーンでは「是非(ぜひ)」を使うチャンスがかなり多いと思います。ぜひ、言葉の力を味方に話し方のセンスも磨いていきましょう。