「よしなに」の語源と例文!ビジネスシーンや目上の人に使える?

「よしなに」は若い人には馴染みの薄い言葉かもしれませんが、社会人経験が長い人や年配の方には親しみのある言葉です。しかし、特にビジネスシーンでの使い方には注意が必要です。

ここでは「よしなに」の意味と使い方を中心に、語源や例文、返事の仕方を紹介しています。ぜひ、TPOに合わせて使いこなしてみて下さい。

「よしなに」の意味と類語は?

はじめに「よしなに」正しい意味と類語について解説します。

「よしなに」の正しい意味は?

「よしなに」には「ちょうどいい具合になるように」「ほどよく」「適切に」などの意味があります。ものごとが状況にふさわしくスムーズに進むようにという意図を含み、副詞として使われます。

また、相手に好意を示し依頼ごとをするときに「添える言葉」として使われ、「よろしく」「どうぞ」と同じような意味を持つ言葉でもあります。

「よしなに」の類語

「よしなに」の類語には「適宜」「相応に」「相応しく」「然るべきに」などがあります。世代によって馴染みの薄い言葉と言えますが、状況や使う相手に応じて「よしなに」に代わる類語を使うのもよいでしょう。

  • 適宜、休憩時間を取るようにして下さい。
  • あとは、適切に対処してもらえれば問題はありません。

「よしなに」の語源と方言説

続いて「よしなに」の語源と方言説について迫ってみましょう。

「よしなに」の語源

「よしな」は故事に出てくる一部が語源だと言われています。この話では「ある姫君が3つ子を出産し、祝いで訪れた4人の信濃県主にそれぞれ「へその緒」を渡そうとした際、言い争いにならないように(3つしかないため)大変苦労した」というものです。ここから「四信濃=よしな(4人の信濃県主)」が語源となったのではないかと伝えられています。

また、「よしなに」は「良し+な(~のよう)+に(なりの連用形)」、また「良い+しな(経過を意味する)+に(なりの連用形)」という2つの成り立ちからできた言葉だとも言われています。

「よしなに」はどこの方言?

「よしなに」はどこかの方言のような響きがありますが、日本語を形成する最も大切な言葉「大和言葉」の一つだという説があります。

大和言葉は「和語」と称され、温かく情緒のある柔らかい言葉です。大和言葉には「心待ちにする」「お手すきのときに」「おおむね」「胸を打つ」などが数多くあり、風情ある美しい響きを兼ね備えているのが特徴です。

「よしなに」の使い方と気を付ける点

それでは「よしなに」について使い方と気を付ける点を挙げてみましょう。

目上の人には控え目に

「よしなに」は「よいように」「適切に」「適宜」などの意味がありますが、目上の人に話すときに、これらの意図で語り掛けるのは、あまり好ましくないと言えるでしょう。

年配の方にとっては日常的な会話にごく普通に用いられる言葉ではありますが、目上の人に対して使う時は、やや失礼にあたることがあります。そのため言い換えの言葉を用い「どうぞ、よろしくお願いいたします」「どうぞ、お受け取り下さい」などと表現したほうが良いでしょう。

ちなみに、目上の人に「よしなに」を使いたい時は「どうぞ、よしなにお願いいたします」というように「どうぞ」を加えて丁寧に表現するようにして下さい。

ビジネスでは不向きなことも

ビジネスシーンでは「よしなに」を別の言葉に言い換えた方が良い場合があります。なぜなら相手に指示を出すときや答えをもらう時は、ものごとを明確な状態で進めていくことが最も大切だからです。

たとえば、「後はよしなによろしくお願いいたします」と言われた時、相手にとって適した行動をとるべきなのか、それとも自分にとって良いと思われることをするべきなのか、どちらの都合を基準に「よしなに」すればいいか、戸惑ってしまうでしょう。

「よしなに」は意見や考え方によって、それぞれ受け取り方が異なってしまう「曖昧」な言葉の一つです。確認事項の多いビジネスにおいては不向きなこともあるため、使い方には注意が必要です。

「よしなに」を使った例文と返し方

「よしなに」を上手に使って情緒ある会話を始めてみましょう。「よしなに」に対しての返事の仕方と併せて例文を挙げてみます。

よしなにする/よしなにしてください

「よしなにする」は「どうぞ然るべきことをなさって下さい」という意味で使われます。

  • A:とはよしなにしてください。
    B:はい、わかりました。
  • A:よろしければ、午後はよしなにしてください。
    B:お気遣いいただき、ありがとうございます。

よしなに頼む

「よしなに頼む」は「適切に頼む」という意味で使われます。ものごとの状況を判断し、相応の対応を求めるときに適切な表現です。

  • A:これから出かけるので、よしなに頼みますね。
    B:はい、承知いたしました。
  • A:お土産を置いていきますので、よしなに頼みます。
    B:はい、確かにお預かりいたします。

よしなによろしくお願いします

「よしなによろしくお願いします」は「どうぞ、よろしくお願いします」を温かい印象を持って相手にしっとりと伝えたい時にうってつけの表現でしょう。加えて、相手が不在の時に第三者に「よろしくお伝えください」というニュアンスでも使われます。

  • A:未熟者ですが、どうぞよしなによろしくお願いします。
    B:こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。
  • A:くれぐれも、よしなによろしくお願いします(よろしく伝えて下さい)。
    B:はい、申し伝えます。

敬語表現の挨拶として活躍

「どうぞ、よしなに」は、丁寧な敬語表現として「よろしくお願いします」の代わりに使うことができる「挨拶」の言葉でもあります。

すれちがい越しに「今日は暑いですね。急ぎますが、どうぞよしなに」と、軽い挨拶でありながら、丁寧な印象を与えることができるのが特徴です。使いすぎには気を付けたいところですが、心温まる挨拶を交わしたいのなら、「どうぞ、よしなに」を会話の要所に取り入れてみましょう。

「よしなに」を英語表現するとどうなる?

「よしなに」は和の響きを持ち合わせる美しい日本語の一つですが、英語環境での会話に取り入れたい時は、以下のような言葉を使って表現してみましょう。

「appropriately」

「よしな」を英語で表現すると、「適切に」「相応しい」という意味を持つ「appropriately」「properly」などが適切です。これらの副詞はものごとや状況に関わらず柔軟に文章にフィットし、かつ上手に意味を成してくれる言葉であるため覚えておくと重宝するでしょう。

ややフランクな言い方をするなら「as you wish」「the way you like」もおすすめです。

「よしなに」日常会話の英文例

「よしなに」の日常会話の例をみてみましょう。

  • Please put your feet up and spend your time the way you wish.
    どうぞ足を延ばして、よしなに時間をお過ごしください。
  • Please say hello to your sister for me
    (不在のようなので)お姉さんに、どうぞよしなにお願いします。

まとめ

「よしなに」は日本語を形成する「大和言葉」が語源であると言われています。「よしな」は年配の方には親しみのある言葉ですが、年代によっては使いにくいこともあるため、状況に応じて「然るべきに」「適切に」「よい具合になるように」など、適切な類語に置き換えてもよいでしょう。

また、「よしなに」は美しい言葉でありながら、目上の人に使う場合は失礼にあたることがあり、ビジネスシーンでは誤解を招くことが考えらえます。使い方に気を付けながら、洗練された「和語」の世界を楽しんでみて下さい。