「ドイツ時計」の特徴と歴史とは?ドイツ発祥「鳩時計」も紹介

ポッポと小鳥が鳴いて時刻を知らせる「鳩時計」。この小鳥は鳩ではないことをご存知ですか。しかもこの鳩時計はドイツ生まれで、時計産業は現在でも盛んです。

今回は、ドイツ時計の特徴や時計産業の歴史を紹介します。また鳩時計の特徴は小鳥の正体についても解説します。

※この記事の担当:Light1(ドイツ在住歴12年。ドイツの長い夏とドイツワインが好き)

ドイツ時計の特徴とは

ドイツ時計はシンプルかつ洗練されたデザインが特徴的

ドイツ製の時計には様々なデザインがありますが、ドイツ時計のイメージと言うと、シンプルで洗練されたデザインがよく挙げられます。比較されることの多いスイス時計は高級ブランド時計のイメージが強く、デザインに関してはその装飾性に注目を集めることが多いのですが、ドイツ時計は装飾性よりも確かな性能とすっきりしたデザインに注目が集まります。

ドイツ時計のシンプルなデザインは「バウハウス」の影響があると言われます。「バウハウス」とは20世紀初期に起こった芸術運動のひとつで、実用性や生産性に裏付けされた洗練されたデザインを目指しました。その影響を受けた洗練されたデザインが、ドイツ時計のイメージとして広まりました。

 基本性能を支える公的企画

ドイツ時計は性能の確かさに定評がありますが、それを支えるのが公的規格です。時計としての精度が確かなものであることを証明するための公的規格があり、その代表的な例はグラスヒュッテ規格、ドイツ・クロノメーター規格、テスタフ規格です。

それぞれ基準としている規格内容に違いはあるものの、公的機関によって時計としての時計の基本性を保証しているのは、世界的にも珍しいのではないでしょうか。

ドイツ時計の歴史

「ぜんまい」はドイツで発明された

時計の歴史は古代の日時計に始まる長い歴史がありますが、機械式の時計の歴史は中世のヨーロッパの教会に設置された塔時計でした。当時の人々は、教会の鐘の音によって時間を知らされました。

機械式の時計に欠かせない部品のひとつに「ぜんまい」があります。「ぜんまい」は薄い帯状の金属を渦巻きのように巻いたものですが、そのゼンマイを発明したのは1511年、ドイツのニュルンベルグで時計職人のピーター・ヘンラインだと言われています。

ぜんまいの発明前は数百キロにもなる大きな時計しかありませんでしたが、ぜんまいが発明されたことで時計の小型化が可能になり、1600年までに携帯ができる懐中時計も作られるようになりました。

ぜんまいを用いた携帯型の時計は当時「ニュルンベルクの卵」と呼ばれました。

 ドイツの2大時計生産地のひとつ「シュバルツヴァルト地方」

ドイツ時計のメーカーはドイツ各地に点在していますが、時計の2大生産地と呼ばれるのが「シュバルツヴァルト地方」と「グラスヒュッテ地方」です。

「シュバルツヴァルト地方」の「シュバルツヴァルト」とは黒い森という意味で、ドイツの南西部に広々とした森が広がる地域です。

シュバルツヴァルド地方が時計の生産地として知られる理由は、古くからこの地方で木製の時計が作られていたことが由来しています。そこで育まれた時計の製造技術を基礎にして機械時計も生産されるようになり、時計産業が栄えるようになりました。

「グラスヒュッテ」では失業対策として時計産業が始まる

ドイツのもう一つの時計生産地として知られるのがグラスヒュッテの町とその周辺地域です。

「グラスヒュッテ」には銀鉱山がありかつて銀の採掘地として知られていましたが、銀が採掘されなくなると町が衰退しました。しかしその町の職人たちの工具づくりの技術が確かであったことに目を付けた時計職人アドルフ・ランゲが、1845年に時計工房を設立します。失業対策として始めた時計製造でしたが軌道に乗り、現在に至る時計生産地のひとつになりました。

 ドイツ生まれ「鳩時計」の特徴と歴史

「鳩時計」とは小鳥が時を告げる掛け時計

「鳩時計」とは、毎時ちょうどになると時計に取りつけられた小さな扉から木製の小鳥が出てきて、鳥の鳴き声で時を告げる木製の掛け時計です。時刻の数だけ鳥が鳴きます。

鳩時計は1783年頃、ドイツのシュバルツヴァルド地方で発明されました。重りを重力にしている振り子時計で、重りは松ぼっくりのような形をしています。

現在ではクォーツ式の鳩時計も販売されていて、鳥の鳴き声だけでなく音楽が流れるタイプの鳩時計もあります。

鳩時計は鳩ではなくカッコウが鳴いている

鳩時計はドイツ語では「クックスウア」(Kuckucksuhr)で、直訳すると「カッコウ時計」です。日本で知られる「鳩時計」は実は鳩時計ではなくて、鳩時計の鳥は鳩ではなくカッコウです。

教会のパイプオルガンの原理を用いて鳥が鳴いているように聞こえるのですが、鳥の鳴き声の中でも最も真似をしやすかったカッコウが選ばれて「カッコウ時計」が生まれました。

まとめ

長い歴史を背景に現在でも盛んなドイツでの時計産業。ドイツ時計の性能の確かさとシンプルなデザインで世界中に発売されています。

鳩時計も有名ですが、本来はカッコウ時計なのに鳩時計と訳されました。その理由は、カッコウは日本では閑古鳥と呼ばれていたことから縁起が悪いということで鳩時計になったのだそうです。文化の違いが物のネーミングにも影響するのが面白いですね。