「内税」とは消費税込みの価格表示のことです。令和3年3月までは特別措置により内税だけでなく外税でも価格を表示していいことになっていました。では内税と外税とはどのように違うのでしょうか。
今回は「内税」の意味と併せて「外税」の意味を解説して、内税方式と特別措置について説明します。また内税の計算方法と消費税申告の際に注意すべきことも紹介します。
「内税」の意味と「外税」との違い
「内税」とは「消費税込みの価格表示」、読み方は「うちぜい」
「内税(うちぜい)」とは、消費税額を含んだ価格表示のことで「税込」や「総額表示」と言われることもあります。
原則として、価格表示は内税で表示されることが決められています。
「外税」とは「消費税抜きの価格表示」
「内税」の対義語が「外税(そとぜい)」で、「外税」とは消費税を含まない価格表示のことで「税抜き」とも言われます。
「内税」と「外税」との違い
「内税」は消費税が含まれる価格ですが「外税」は含まれません。また「外税」は「内税」のように店頭で並ぶ商品などの価格表示では使われませんが、価格表示がされない商取引では使われています。
「内税方式」と「外税方式」の使い分け
平成16年4月から「内税方式」を法律で義務化
「内税」で価格が表示されるようになったのは平成16年(2004年)4月からで、これを「内税方式」と呼びます。
内税方式が採用されるまでは外税方式、つまり消費税を含まない価格表示が一般的でした。しかし価格表示が統一されていないと消費者が商品の価格を比較しにくいという不満を受けて内税方式が法的に義務付けられました。
「内税方式」の対象になるもの・ならないもの
内税方式の対象となるものは、消費者が目にする表示価格です。例えば価格表示がされる商品や店頭での価格表示、チラシや広告での価格表示です。
一方、内税方式の対象とならないものは取引価格を表示する必要のないものです。例えば、事業者間での取引で、内税方式が義務化されていませんので事業者の判断によって内税と外税が使い分けられています。
「内税方式」の令和3年3月までの特例措置
価格の表示は内税方式が義務化されているのですが、消費税が10%に増税したことに伴い平成25年(2013年)10月から令和3年(2021年)3月までは特別措置として、外税方式でも価格表示が認められています。なぜなら平成26年(2014年)から8%、10%へと2度も引き上げられたことで事業者の負担を軽くするために特別措置が講じられました。
「外税方式」は事業者間の取引で採用されている
「外税方式」とは本体価格と消費税率を別々に表示する方式のことですが、事業者間の取引では外税方式が採用されています。その理由として、本体価格と消費税を別に表記したほうが消費税額が変わった場合でも処理がしやすいことが挙げられます。そのため事業者間の取引における見積書や契約書などでは外税方式で価格が表示されていることが多いでしょう。
内税の計算方法
消費税8%と10%の対象品目を把握
内税の計算の前に、どの商品にどれだけの消費税がかけられているのかを把握しましょう。消費税率は8%と10%があり、品目によって税率が変わります。
基本的には消費税率は10%ですが、一部の品目に対して軽減税率として食料品と新聞の定期購読料金で税率は8%です。しかし食品でもアルコール類と外食費は贅沢品としての扱いになるので税率は10%です。
消費税の計算式
内税によって価格表示されている商品の消費税の計算の仕方は次のようになります。
消費税(円)=[税込み価格](円)÷(1+消費税率)×(消費税率)
消費税10%だとすると、次のようになります。
消費税(円) =[税込み価格](円) ÷ 1.10 × 0.10
例えば、500円の商品を買ったとすると、そのうちの消費税は、500÷1.10×0.10となり、消費税額は45.45円だとわかります。
【消費税申告】経理処理をするときの注意点
消費税の計算では内税と外税が混在していないことを確認
内税の計算式が用いられる機会として「消費税申告」があります。「消費税申告」とは、課税売上が1000万円以上ある事業者が消費者から預かっている消費税額を集計して消費税の総を確定して国に申告することです。課税事業者に対して課税売上高が1000万円以下の事業者は免税事業者と呼ばれます。
深刻の際に経理処理を行いますが、消費税額を算出する際には金額が内税と外税が混在していることがあるので整理しながら消費税を算出します。お手元にある契約書等に記載されている金額は内税で統一されていません。内税と外税では消費税の算出方法が違うことから、それぞれを整理して正しい方法で消費税を計算しましょう。
経理処理は税込処理か税抜処理を選択
消費税申告での経理処理は内税と外税のどちらかを選べまずので処理しやすい方を選べばいいのですが、外税だと納税額が把握しやすいため、多くの企業が税抜処理を選ぶ傾向があります。
内税の場合、仕訳は「税込処理」として、売上には税込み価格を記入します。外税の場合は、仕訳は「税抜処理」として売上には本体価格と消費税額を分けて記載します。
まとめ
「内税」とは消費税を含んだ価格表示で、平成16年から原則として価格表示は内税にすることが定められています。しかし令和3年3月までは特別措置があり内税ではなく外税での表示も許されるので、もうしばらくの間は価格をチェックするときには内税か外税なのかを気を付けながら確認しましょう。