「掉尾」の意味や語源とは?「掉尾を飾る」の使い方や類語・例文も

「掉尾(ちょうび・とうび)」は日常生活ではあまり見聞きしない言葉ですが、文学的なシーンではよく使われる言葉です。もともとは魚のある姿から生まれた表現でもあります。

今回は「掉尾」について、意味や読み方をはじめ、使い方と例文を解説。類語や対義語もわかりやすくご紹介します。

「掉尾」の意味とは?

「掉尾」の意味とは「最後で勢いが盛んになること」

「掉尾」とは「最後で勢いが盛んになること」という意味があります。物事の最後の場面で勢いが増し、意気盛んになる様子を指し、最後を立派に締めくくるというニュアンスを持ち併せる言葉となります。

また「ものごとの最後の場面」には、人生の終わりやショーのフィナーレなど、一つの区切りにおける終わりの部分という意味も含まれています。そして人生における最後の部分、舞台や映画の幕閉めに近づくところで、一気に盛り上がりをみせる様子を「掉尾」という言葉で表します。

「掉尾」の語源は「魚が死ぬ前に尾を振ること」

「掉尾」には「最後」という意味もあります。もともと「掉尾」は「魚が死ぬ前の行動」をたとえた言葉で、捕まえられた魚が死ぬ前に尾っぽを振るという性質から出来た言葉です。そのため「物事の最後で勢いが盛んになること」が転じて、「最後」という意味で使われるようになった背景があります。

「掉尾」の「掉」は「振るう」や「振る」という意味があり、「掉尾」で「尾を振る」と意味となります。死の間際に魚が元気に尾を振るところからも、「掉尾」が最後を立派に締めくくることを意味する言葉であることが理解できるでしょう。

読み方は「ちょうび」、慣用読みで「とうび」と読むことも

「掉尾」の正しい読み方は「ちょうび」です。「掉尾」の「ちょう」は「たく」や「とう」と読み、慣用読みでは「掉尾」を「とうび」と読むこともあります。しかし、「たくび」と読むのは誤りとなりますので気をつけましょう。

「掉尾」の使い方と例文

「掉尾を飾る」は華々しい最後を表すためによく使う

「掉尾」を使った熟語表現で最もよく使われるのは「掉尾を飾る」です。「人生の掉尾を飾る」「舞台の掉尾を飾る」「演説の掉尾を飾る」というように、最後を華々しく演じ、盛り上がりを見せることを「掉尾を飾る」といいます。

「掉尾を飾る」はスポーツの大会でも、政界でのディベートでも、あるシーンにおいて最後に勢いを増し終わりを告げることを表す時に使うことができます。「掉尾を飾る」の他に「掉尾にふさわしい」「掉尾を彩る」などもよく使われる表現です。状況に合わせて適切な言い回しを選んでいきましょう。

「掉尾」は小説や挨拶などに使われることが多い

「掉尾」は、普段の生活で使うことは少ないかもしれませんが、小説や舞台など文学的なシーンや、結婚式や授賞式の挨拶などで好んで使われる表現です。とくにフォーマルな場面や襟を正したいようなシーンなど、やや固い表現をあえて用いたい時に活用すると、文章全体が引き締まります。

「掉尾」を使った例文

  • 街頭演説は、最終日の掉尾を飾る素晴らしい盛り上がりを見せた。
  • 舞台の掉尾を飾るにふさわしい演出は、やはり花吹雪と美しい歌声だろう。
  • 定年退職を迎えた父に、仕事一筋だった人生の掉尾を飾らせてあげたい。
  • 最終決戦の掉尾にふさわしい、両者とも白熱した戦いとなった。

「掉尾」の類語

「掉尾」の類語は「ラスト」「終焉」「結び」「最終段階」

「掉尾」の類語には、最後を意味する「ラスト」「終焉」「結び」「最終段階」などが挙げられます。「掉尾」を別の言葉で言い換える時は、対象となるものや内容にしっくりとする言葉を選ぶようにしましょう。

たとえば、マラソンや映画なら「ラスト」、人生や物語なら「終焉」、小説や講演に対しては「結び」、またイベントや企画なら「最終段階」など、文脈や内容に沿う適切な一語を選ぶことが大切です。

「掉尾」の類語を使った例文

  • マラソンの最終区でラストを飾る勇ましい走りぶりを見せた。
  • 人生の終焉を華々しく演じたい。
  • 講演の結びには、会場が多くの拍手で包まれた。
  • 企画の最終段階では、顧客への感謝を込めてサプライズを用意している。

「掉尾」の対義語

「掉尾」の対義語は「劈頭」

「掉尾」の対義語は「劈頭(へきとう)」です。物事の初めの部分や冒頭を指し、あらゆる事象における最も始めを表す言葉となります。

「劈頭」の「劈」には「つんざく」「切り裂く」、「頭」は「先頭」は「始め」という意味があり、「劈頭」で「間を割って始まりへと切り裂く」、つまり「物事の先頭」という意味で使われています。

例文
  • 初の立候補ともあり、演説の劈頭で、緊張のあまり言葉が出なくなってしまった。
  • プレゼンでの劈頭を飾るにふさわしい、豪華な面々が壇上へと上がった。

まとめ

「掉尾」は「ちょうび」、または慣用読みで「とうび」と読み、「物事の最後で勢いをまし盛り上がること」転じて「最後」の二つの意味を持つ言葉です。

「掉尾」でよく使われる慣用表現は「掉尾を飾る」や「掉尾にふさわしい」などになり、物事の終わりが華々しく、盛大であることを表す時に使われます。ビジネスでは講演会やプレゼンなどのシーンで用いることもできます。表現のマンネリ化を解決するためにも、積極的に活用していきましょう。