「出頭」の意味とは？「自主」との違いや使い方の例文・類語を紹介

「警察に出頭をする」「裁判所に出頭する」というように、「出頭」はある特定の機関に自ら足を運ぶ時に使われる言葉です。ところで、似たような言葉「自主」とは意味の上でどのように違うのか、明確に理解をしていますか？

ここでは「出頭」の意味をはじめ、「自主」との意味の違い、言葉の使い方と例文、類語について解説させていただきます。

「出頭」の意味とは？

「出頭」の意味は「警察や裁判所に出向くこと」

「出頭（しゅっとう）」とは、法律に基づいて裁判所からの命令によって、警察や裁判所などに出向くことを意味する言葉です。

警察や裁判所の他、捜査や手続きを行う特別な機関に出向くことを指します。通常は裁判所が被告人に対して「出頭命令」を命じることとなっているため、すでに犯人が特定されている時のみ使われる言葉となります。

「出頭」には「他より才能が勝る」という意味も

上記で説明した意味の他、「出頭」は「他より才能が勝る」「周囲より抜きんでること」という意味もあります。

また、転じて「誰かに特別に可愛がられたり寵愛されて、立身出世すること」を表す時にも使われます。

「出頭」は苗字でも使われる

「出頭」は通常の使い方では「しゅっとう」と読み「警察や役所に出向くこと」を表しますが、人名の苗字として「でがしら」と読む場合もあります。

「出頭」の使い方と例文

「出頭」は財産分与や離婚調停などに対しても使われる

「出頭」は裁判所や役所などの特別な機関に、トラブルや犯罪などが関係して呼び出しが命じられる時だけに使われる言葉ではありません。その他、財産分野でトラブルになったり、離婚調停などのシーンで、裁判所から出向くように命じられた時にも「出頭」という言葉を使います。

「出頭」は犯罪のみならず、訴訟に絡む事情で、法律に準じて裁判所が出頭命令を出し、それに従って出向く時に使うようにましょう。

「出頭」の使い方の例文

• 今日の速達で、裁判所から離婚訴訟による出頭命令が届いた。
• 仕事の仲間が痴漢行為で出頭することになったと聞いて、ビックリした。
• メディアでは特定された犯人が出頭が求められていることを伝えた。
• 彼は弁護士に抱きかかえられ、警察に出頭した。

「出頭」と「自主」との違いは？

「出頭」と「自主」の違いは犯人が特定されいるかどうか

「出頭」と「自主」との違いは、犯人が特定されているかどうかです。

「出頭」とは、犯人や容疑者が特定されていて、裁判所から出頭するように命じられて出向くことを言いますが、「自主」の場合は、警察や特捜班などの捜査機関が犯人を特定をしていない時に、自ら名乗りを上げる時に使われます。

「出頭」と「自主」では刑のレベルが変わることも

「出頭」と「自主」の実質的な違いの一つに、「刑のレベル」があります。

「出頭」は、減刑事由には該当しませんが、「自主」をした場合は減刑が考慮される事由として扱われます。おおむね自分の罪を認め「自主」をするケースでは、量刑判断においてある程度の情状酌量が与えられます。

「出頭」の類語は？

「裁判所からの通達により捜査機関に出向く」という意味での「出頭」について、類語を挙げていきましょう。

「出廷」は「裁判に臨むこと」

「出廷」とは、裁判をするために裁判所に足を運ぶことを意味します。

「出廷」の「廷」には裁判を行う場所という意味があり、「法廷」「開廷」などのように使われます。そのため、「出廷＝廷に出る」で裁判が行なわれる場所に出席する、出向くことを表しています。

「呼び出しを食らう」は口語的に使われる

その他、「出頭」と言い換えができる表現には「呼び出しを食らう」があります。主に口語で使われる言い回しであるため、正式な文書や場面では適切ではありません。

「食らう」には、「びんたを食らう」「八つ当たりを食らう」などのように、ネガティブな事象に対して「こうむる」「受ける」という意味で使われます。そのため、「呼び出しを食らう」についても、呼び出しされた本人は心地よく思っていないことがうかがわれるでしょう。

まとめ

「出頭（しゅっとう）」とは、法律に基づいて裁判所から出頭命令が出され、捜査機関や裁判所などに出向くことを言います。また「出頭」には、他より抜きんでることや寵愛によって立身出世することという意味もあり、加えて名前の苗字でも使われる言葉です。

また、似たような行動を示す「出頭」と「自主」では、意味を混同してしまうことがあります。犯人が特定されている上で警察や裁判所に足を運ぶ「出頭」と、捜査段階で自分で名を挙げる「自主」では、意味の上で大きく異なります。それぞれ正しい意味と使い方を理解して、正しく用いるようにしましょう。