「有給」とは?意味や「有休」との違い・有給休暇についても解説

「有給」とは「給料が支払われること」という意味ですが、有給休暇の略語としても使われています。でも本来の略語は「有休」なのですが、どのように使い分けたらいいのでしょう。

今回は「有給」の意味や「有給休暇」や「有給付与日数」等の用語説明に加えて、「有休」との違いとパートの有給休暇の取得についても解説します。

「有給」の意味と例文

「有給」とは「給料が支払われていること」

「有休(ゆうきゅう)」とは、給料が支払われていることという意味です。「有給」の「有」はあることを、「給」は給料や手当を差します。

有休の対義語は「無給」で、給料が支払われないことという意味です。

「有給」を使った例文

  • 「有給でスキルアップのためのワークショップに参加する」
  • 「有給とはいえ残業の多さには辟易する」
  • 「即戦力とはならないが、学生をアシスタントとして有給で雇った」
  • 「これまでは無給だったが、やっと有給になった」

「有給」を使った用語の意味とは

「年次有給休暇」とは「一年間に取れる有給休暇」のこと

「年次有給休暇」とは一年間に取れる有給休暇のことで、労働基準法第39条に規定されています。ただし年次有給休暇を取得できる条件として、次のことが定められています。

年次有給休暇の取得条件
  • 同じ勤務先に6ヶ月以上の継続勤務
  • 契約書上で定められた労働日のうち8割以上の出勤

「有給付与日数」とは「年間に取得できる有給休暇の日数」のこと

「有給付与日数」とは一年間に有給休暇として与えられる日数のことです。有給付与日数は、労働者の労働時間と、週や一年間の勤務日数、さらに勤続年数によって違います。

例えば、勤続年数が6ヶ月以上1年未満なら、週30時間以上の勤務、もしくは週30時間未満ならば週5日以上で年間217日以上の勤務の場合、有給付与日数は10日です。

勤務年数が1年長くなるごとに年間で取得できる有給化の日数が1日ずつ、3年以上になると2日ずつ増えていきます。

勤務年数と有給付与日数の関係
勤務年数有給付与日数
6ヶ月10日
1年6ヶ月11日
2年6ヶ月12日
3年6ヶ月14日

また週の労働時間が30時間未満で週4日以下の勤務でも有給休暇はもらえますが、有給付与日数が少なくなります。

勤続年数が6ヶ月で週30時間未満の勤務の場合
勤務日数/週有給付与日数
4日7日
3日5日
2日3日
1日1日

「有給消化」とは「有給休暇を使う」こと

「有給消化」とは有給取得と同じ意味で、有給休暇を使うことを表す言葉です。

特に、退職にあたり「残っている有給休暇を使い切ってしまうこと」という意味でよく用いられています。

「有給」と「有休」の違いと使い分け方とは

「有休」は「有給休暇」の略語

「有休(ゆうきゅう)」は有給休暇の略語です。会話の中で「ゆうきゅう」という言葉が出てきたとき、「いつとるのか」や「どこに行くのか」など休みと関連した内容で話されていたのなら「ゆうきゅう」は「有休」だと思っていいでしょう。

「有給休暇」とは「給料が支払われる休暇」のこと

「有給休暇」とは出勤しているときと同じように賃金が支払われる休暇のことです。休日とは別に、労働者は有給休暇が取れることを労働基準法により定められています。休息や娯楽、教養のためなどの目的で有給休暇が取られます。

「有給」と「有休」は慣例に応じる

「有給」と「有休」のどちらも「ゆうきゅう」と読まれるが、その意味は違います。「有給」は賃金が支払われることなのに対して、「有休」は有給休暇の略語です。しかし企業によっては有給休暇の意味で「有給」を略語として使うケースが度々あります。むしろ有給休暇の略語に「有休」よりも「有給」を当てることも多いでしょう。

「有給」を有給休暇の略語として使われることが慣例になっている場合には、その慣例に従うのがいいでしょう。「有給」と「有休」の違いにあまりこだわらず使い分けるのがいいようです。

「有給」は取らなくてはならない休暇

有給休暇は義務化されている

2019年4月に労働基準法が改正されて、有給休暇は義務化されました。パートやアルバイトを含む労働者で、有休休暇の取得条件を満たしていれば、少なくとも年5日は有給休暇を取らなくてはならなくてはなりません。

もしもこの規定を守れなかった事業主は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられます。

有給休暇申請に理由はいらない

有給休暇は労働者が認められている権利ですから、特に理由は必要ありません。申請用紙に理由を書く欄があれば未記入でもいいのですが、一般的には「私用のため」と書かれることが多いです。

有給休暇を取得できないケース

有給休暇が義務化されていますが、有給休暇の申請が受け入れられないケースがあります。それは繁盛期などで人手を必要とする場合などです。

使用者側には、業務に著しい支障が出る場合、取得期間を変更させる時季変更権が認められています。有給休暇を取る期間は単に個人の都合ではなく、勤務先の状況と併せて上司などの意見も聞いてから休暇期間を決めましょう。

パートは有給休暇を取れるのか?

パートの有給休暇を取る条件は正社員と同じ

パートでも有給休暇を取ることができて、その条件は正社員と同じです。パートでフルタイム契約の場合に労働基準法39条に定められた条件が適用されます。同じ勤務先に6ヶ月以上勤務して、契約書上で定められた労働日のうち8割以上出勤していれば、年間10日の有給休暇を取ることができます。

また正社員が勤務年数や勤務時間によって有給付与日数が増減しますが、パートにもこの規定は適用されます。

有給休暇中の給与額の3つの計算方法

有給休暇中の給与額の計算方法は、次の3通りがあります。

  • 過去3ヶ月分の賃金の合計金額を勤務日数で割った金額が、有給休暇1日分の給料とする。
  • 通常と同じ賃金と同額を支払う。
  • 健康保健法に規定されている「標準報酬日程」を参考にして有給休暇一日分の金額を算出する。

まとめ

「有給」の意味は「給料が支払われること」なのですが、有給休暇の略語としても定着しています。そのため「有休」という言葉は、教養として有給休暇の略語だと知っておけばいいでしょう。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。