「通過儀礼」の意味とは一体なに?日本での例・一覧も簡単に紹介

「通過儀礼」という言葉をご存知でしょうか?日本はもちろん、東南アジア諸国やアフリカなど世界各国で古くから受け継がれている習慣や行事に対して、広い範囲で使われる言葉です。ここでは「通過儀礼」の意味を中心に、日本の通過儀礼の例を簡単に一覧としてご紹介します。

「通過儀礼」とは何か

「通過儀礼」の意味は「生涯における儀式」

「通過儀礼」とは、簡単に言うと「生涯における儀式」のことです。人が誕生してから一生を終えるまでに迎える成人、就職、結婚、長寿、そして死去までのそれぞれのステップで行う儀式や儀礼、行事のことを言います。

通常「通過儀礼」は年齢的にも重要な節目に行なわれ、その時点での「人生における重要な意義」を学ぶものとして経験していくものです。人が子供から大人へ成長していったり、学校を卒業して初めて就職する際や定年を迎えた時など、社会的に別の範疇へと移行する時に、大切な意義をもって行なわれる儀式を「通過儀礼」と呼んでいます。

「集団に入る時のイニシエーション」という意味も

「通過儀礼」は、グループや集団に入る時に行なわれる「イニシエーション(加入礼)」という意味も持ち合わせます。

たとえば、日本では小学校に初めてあがる子供達は、体育館や会場に一同があつまって「入学式」を行います。卒業の時期になれば「卒業式」にも参加することになるでしょう。同様に文化祭、体育祭、親子参観などのも「通過儀礼」の一つと考えられます。

「通過儀礼」の使い方と例文

「通過儀礼」を過酷な洗礼として比喩的に使うことも

「通過儀礼」とは産湯や七五三、成人式などのように、古来から続けられている由緒ある儀礼やしきたりのことを指しますが、比喩的に「集団やグループに入る時に経験する(させられる)儀式やしきたりを表す言葉として使うことがあります。

たとえば、大学一年生でサークル活動や部活動に入った時に、新人がビラ配りをしたり、掃除をするようなルールが長い間しきたりとして存在することもあるでしょう。このような場合に、ほぼ必ずと言ってレベルで経験する事柄を、比喩的な意味合いで「通過儀礼」と呼ぶことがあります。

しかし、比喩的に使う場合の「通過儀礼」には、意味もなく昔から行っていること、また「洗礼」という意味で、あえて新人に対して辛く厳しいことをさせることもあるようです。「通過儀礼」が持つ本来の意味とはかけはなれていることがあるため、使い方には注意をするようにして下さい。

飲み会を「通過儀礼」として使うのは賛否両論

社会人になってから目の当たりにする「通過儀礼」に飲み会があります。飲み会は日本独特の風潮の一つです。一般的には「通過儀礼だから、参加しないとならない」と思い込んでしまうこともあるようですが、ここで問題となるのは「強要されること」でしょう。

同様に、社会人になってから集団で参加すべき通過儀式として「忘年会」「新年会」「暑気払い」などが挙げられます。こちらも人によってはストレスになったり、集団行動への魅力を半減させる要因となることもなり得ます。

もちろん、飲み会は上司や同僚などと交流を深める手段としては有効的でもあるでしょう。その上で、チームワークを基調に社員一丸となって仕事に打ち込むことは大切なことです。しかし、少子化による個人主義の意識が高まる中、勤務時間外の活動を「通過儀礼」として位置づけることに対しては、賛否両論あるのが現状でしょう。

「通過儀礼」を使った例文

  • 人生初の通過儀礼の一つが産湯の習慣である。
  • 成人式は社会人になる前の大切な通過儀礼だ。
  • 近頃は、通過儀礼が持つ意義を知らずに、面倒だと嘆く人も多い。
  • 赤いちゃんちゃんこを切るのは嫌だというが、めでたい通過儀礼として無視できない。

日本の「通過儀礼」一覧

日本の「通過儀礼」として、よく知られているものを一覧でご紹介します。

日本での一般的な「通過儀礼」

  • 帯祝い:安産祈願の一つ。妊娠五か月目の戌の日に腹帯を巻く。
  • お七夜:子供が生まれて7日目の夜に、名前を書いた神を床の間に飾り出生を祝う。
  • お宮参り:生後31日から33日に土地を守る氏神様にお宮参りをする。
  • お食い初め:生後100日目に行う食べるまねごと。一生食べ物に困らないことを願う。
  • 初誕生祝:満一歳の誕生日に一升の餅をついて丸もちを作る。力強く育つことを願う。
  • 七五三:男の子は3歳、5歳。女の子は3歳、7歳に成長の節目を祝う。
  • 十三参り:数え年で13歳となる4月13日に知恵付け、厄払いをする。
  • 成人式:満20歳に成人を祝う。現在は1月の第2月曜に行う。
  • 結納:結婚を公に披露する儀式。両親に感謝し両家の繁栄を願う。
  • 祝言:結婚式のこと。神前、仏前、キリスト教、レストランウェディング、音楽婚など。
  • お披露目:結婚式の後、2人の親戚や知人が集まり交流を深める。
  • 葬式:亡くなった人を葬る儀式。通夜は家族で迎える。

結婚記念日に関する「通過儀礼」

  • 1年目:紙婚式
  • 5年目:木婚式
  • 10年目:銀婚式・アルミ婚式
  • 15年目:水晶婚式
  • 20年目:陶磁婚式・磁器婚式
  • 25年目:銀婚式
  • 30年目:真珠婚式
  • 35年目:珊瑚婚式
  • 40年目:ルビー婚式
  • 45年目:サファイア婚式
  • 50年目:金婚式
  • 55年目:エメラルド婚式

長寿に関する「通過儀礼」

  • 還暦:61歳
  • 古希・古稀:70歳
  • 喜寿:77歳
  • 傘寿:80歳
  • 米寿:88歳
  • 上寿:100歳

その他、前厄、本厄、後厄などの厄年に関する「通過儀礼」や、49日や三回忌など「法要」に関する「通過儀礼」などがあります。

また、世界に目を向けると、たとえば、アフリカでは「割礼」が通過儀式の一つとなっています。

「通過儀礼」の語源とは

「通過儀礼」はフランスの民俗学者が提唱

「通過儀礼」とはフランスの「Arnold Van Gennep(アーノルド・ファン・へネップ)」という人類・民族学者が提唱した言葉です。

幼少のころからフランスで教育を受けたファン・へネップは、エジプト学やアラビア語、宗教学を学びます。のちにアフリカや中南米など世界の民族が古くから行う儀礼や儀式において「年齢や社会的な身分が変わる時に行なわれる」ことを発見し、「通過儀礼(Les Rites de passage)」というタイトルの本を出版したことから「通過儀礼」という言葉が使われるようになりました。これが語源となっています。

まとめ

「通貨儀礼」は年齢的に大切な節目に行なわれる儀礼や儀式のことで、日本では七五三や成人式をはじめ、長寿を祝う古稀や米寿、また厄払いや法要に関しても数多く存在するものです。

日本に古くから伝わる「通過儀礼」には実際的にも深い意味があり、人生を歩む中で経験すべきイベントだとも言えます。ぜひ、この機会に、人生で経験すべき「通過儀礼」をマスターして、人生の意義を新たに見出してみませんか?