「執り行う」の意味や使い方は?類語との違いや敬語表現も解説

結婚式や葬儀などで「執り行う」という表現を耳にします。読み方は「とりおこなう」で、儀式や式典を行うという意味。「行う」の丁寧語ではありませんが、かしこまった丁寧な言い回しが「執り行う」です。

本記事では「執り行う」の意味や使い方、類語との違いなどを解説します。また、英語表現についても触れています。

「執り行う」の意味は?

「執り行う」とは「式典などを行うこと」

「執り行う」は「とりおこなう」と読み、意味は儀式や式典などを行うことです。「執り」は接頭語のひとつで、その下につく言葉を強調する役割があります。接頭語とは、その語句のみでは用いず、他の言葉の上について言葉を形成するもの。「行う」に強調の意味を持つ接頭語である「とり(執り)」をつけた「執り行う」は、儀式や式典などのかしこまった席で使用することの多い丁寧な表現です。

「執り行う」の丁寧語は「執り行います」

「執り行う」自体は敬語ではありませんが、「行う」よりも丁寧でかしこまった言い回しです。しかし「式典を執り行う」という表現では少々堅苦しい印象を与えてしまいます。その場合には「式典を執り行います」と丁寧語にすることで印象が変わりますので、使用するシーンに合わせて語尾を使い分けると良いでしょう。

「執り行う」の使い方と例文

葬儀や結婚式などかしこまった場で使う

「執り行う」という表現は、親しい友人同士のパーティーや身内だけの会など、カジュアルな場面ではあまり使用しません。葬儀や結婚式のような行事の際や、入学式や卒業式と言った式典についてなど、かしこまった場で使用することの多い表現です。単に「行います」や「始めます」でも意味は通じますが、「執り行う」と表現した方が、より格式高く立派な印象を与えます。

例文
  • ただいまより入学式を執り行います。
  • 先週、無事に結婚式を執り行いました。
  • 来週の土曜日に卒業式を執り行いますので、ご出席ください。

表彰式や重要な会議などでも使う

「執り行う」は、表彰式のような晴れがましい式典の場合にも使います。また、会社での会議でも使うことがあります。毎日行う定例会のような会議で「執り行う」と表現すると堅苦しい印象になってしまいますが、重役会議や特に重要な決議を行うような場合なら、「執り行う」と表現しても良いでしょう。

例文
  • 優秀な業績をおさめた社員の表彰式を執り行う。
  • 明日の10時より経営会議を執り行いますので会議室にお集まりください。

「執り行う」の類語は?

「挙行する」とは「式典を行うこと」

「挙行する(きょこうする)」とは、行事や式典などを公に行うことという意味。結婚式や記念式典などの行事や式典を行うこと自体をさし、あらたまった場で使う丁寧な表現です。

「執り行う」とほぼ同じ意味合いで、行事や式典ならば言い換えることも可能です。

例文
  • 結婚式を挙行する
  • 卒業証書授与式を挙行しました

「実施する」とは「実際に行うこと」

「実施する」とは、実際に行うことという意味。単に何かを行うだけではなく、あらかじめ決まっていた計画や予定をその通りに実際に行うというニュアンスを持つ表現です。

「執り行う」とほぼ同じ意味でもあり場合によっては言い換えも可能ですが、「執り行う」の方がより丁寧な表現になります。

例文
  • 本年度の入学試験を実施する
  • 本日も定例ミーティングを実施します

「開催する」とは「行事を行うこと」

「開催する」とは、式典やイベントなどの行事を行うという意味。「催」には「人を集める」や「会を開く」という意味があり、人が多く集まる催し物やイベントなどを行う際に使用する表現です。

「執り行う」の方がより丁寧な言い回しですが、集会やパーティーのような人が多く集まるイベントや催し物の場合に、「執り行う」と同じ意味として使えます。

例文
  • これからパーティーを開催します
  • 来月には開店記念イベントを開催する予定だ

「執り行う」の英語表現は?

「執り行う」は英語で「hold」や「carry out」

「執り行う」を表現する英語はいくつかあり、「hold」や「carry out」などが挙げられます。他に、式典や結婚式などを執り行う際に「conduct」を使う場合も。文脈によっては、単に「行う」という意味の「do」でも問題ありません。

例文
  • hold a ceremony(式典を執り行う)
  • carry out the event(イベントを執り行う)
  • conduct a wedding(結婚式を執り行う)

まとめ

「執り行う(とりおこなう)」とは「儀式や式典などを行うこと」という意味の言葉。簡単に「行う」としても意味は通じますが、結婚式や葬儀のような式典など、かしこまった場で使う丁寧な言い回しです。日常会話で使う言葉ではありませんが、ビジネスシーンやフォーマルな場で耳にすることも多い表現でしょう。

場合によっては類語の「実施する」や「開催する」などと言い換えることも可能ですが、「執り行う」の方がより丁寧でかしこまった印象になります。また、それぞれニュアンスが少しずつ違っていますので、シーンによって使い分けましょう。