ドイツの民族衣装とは?歴史とディアンドルなど名前や特徴を紹介

ドイツの民族衣装と言えば「オクトーバーフェスト」でも有名な「ディアンドル」と呼ばれるドレスを想像されるかもしれません。しかし「ディアンドル」は一部のドイツ人の民族衣装であって、ドイツ人の民族衣装ではありません。

今回は、ディアンドルをはじめ、ドイツの民族衣装の歴史の他、様々な民族衣装も紹介します。

※この記事の担当:Light1(ドイツ在住歴12年。ドイツの長い夏とドイツワインが好き)

ドイツ女性の民族衣装は「ディアンドル」ではないって本当?

ディアンドルとレザーホーゼンはバイエルン地方の民族衣装

ドイツの民族衣装というと、女性は胸が大きく開いた「ディアンドル(Dirndl)」というドレスと、男性は皮でできたズボン「レザーホーゼ」が有名ではないでしょうか。しかしこの「ディアンドル」と「レザーホーゼ」はドイツ人にとっての民族衣装ではありません。これはドイツ南部バイエルン地方からオーストリアにかけての民族衣装だからです。

「若いお嬢さんの装い」から衣装の名前になった

「ディアンドル」の頭文字「ディアン(Dirne)」には「若いお嬢さん」または農家に出稼ぎに来て働いていた「召使(Magd)」という意味があります。

そして彼女たちの着る洋服を「ディアンドルゲヴァンド(Dirndlegewand)」(※意味:若いお嬢さんの装い)と名付けたのですが、この名称が長いため短くして「ディアンドル」と呼ぶようになりました。

「ディアンドル」は労働着から貴族の日常着へと発展

「ディアンドル」は元々、女性労働者の洋服でしたが、1870年ごろに上流階級の女性たちのサマードレスとして用いられるようになります。またチロル風の伝統的なデザインを都会のファッションテイストとして取り入れられるようになり、「ディアンドル」は労働者の洋服から貴族の日常着として変化していきました。

ドイツの民族衣装の歴史

ドイツの民族衣装は各地で発展していった

最も古いドイツの民族衣装として1700年代の家族の洋服がわずかに残されていますが、ただ現在にも続くような民族衣装としての歴史は、約100年~150年だと言われています。

ドイツの民族衣装は、フランス革命からナポレオンがライプチッヒでの敗北までの経験からアンチ・フランスへの意識が高まりながら発展していったという経緯があります。

また各地の土着性も影響を与えたため、現在でも同様に、日本の着物のようなドイツ全体で共通する民族衣装はドイツにはありません。

民族衣装はお祝い事以外で着られることは少ない

ドイツで民族衣装を着る機会は少なく、民族衣装はお祭りや結婚式などのお祝い事で着られる程度です。普段着として着られることはほとんどなくなりました。

地域別のドイツの民族衣装

ドイツの民族衣装は地域ごとに発展していきましたが、ここでは現代にも残る有名な民族衣装を紹介します。

大きなボンボンの帽子「ボレンフート」が印象的な民族衣装

ドイツ南部にあるシュバルツバルド(黒い森)地方では、女性はボレンフート(Bollenhut)と呼ばれる大きなボンボンを付けた帽子をかぶります。赤いボンボンは未婚を、黒いボンボンは既婚を表しています。

麦わら帽子にボンボンを付けた帽子なのですが、その重さは1.5キロにもなります。

「赤ずきんちゃん」のモデルとなった民族衣装も

童話「赤ずきんちゃん」が生まれたと言われるシュヴァルム地方の民族衣装は、アクセントに赤色を用いて、白いエプロンも身につけます。鶏冠のような赤い飾りのついた頭巾をかぶった姿が赤ずきんちゃんのモデルになったと言われています。

またドイツ中部に位置するヘッセン州の民族衣装では、女性の着る黒いドレスが有名です。ジャケットや胴衣、ウエストを締めて大きく広がったスカートも深い黒色で、ドイツの他の民族衣装にない珍しい色遣いです。

ソルブ人の衣装は白いレースが印象的

ブランデンブルグ州とザクセン州にまたがる地域に暮らす少数民族ソルブ人の民族衣装は、白いレースが印象的な衣装です。

赤や緑のスカートの上に、白いレースのエプロンのようなスカートが重ね合わされて、ロシア風襟のついたシャツに、花の詩集をしたシルクの布とレースを組み合わせて左右に広げたラパという被り物をかぶります。

バイエルン州は「ディアンドル」と「レザーホーゼ」

南ドイツに位置するバイエルン州の民族衣装は、女性は既にご紹介した「ディアンドル」で、男性は皮製のズボン「レザーホーゼ」です。

地域によって違いはありますが、基本的には「ディアンドル」は胴衣とブラウス、広がったミモレ丈のスカート、エプロンからなり、胸もとが大きく開けられたデザインが特徴的です。しかし寒い季節にはハイネックのブラウスを合わせることもあります。胴衣やスカートに用いられる素材は木綿やウールなど、使われる生地には無地やチェック、ストライプなどさまざまなバリエーションがあります。

男性の履く「レザーホーゼ(Lederhose)」はサスペンダーの付いた鹿革製の半ズボンで、刺繍が施されています。足元はひざ丈のハイソックスに、伝統的にはオフホワイトのコットンシャツと青いネクタイを組み合わせます。

ドイツの民族衣装のほとんどが昔から同じデザインが採用されていますが、ディアンドルだけは例外で、現代風なアレンジが加えられたパターンも毎年のように出てきます。特に若い女性たちに人気で、お祭りなどではしゃぐときに着られています。

まとめ

ドイツの民族衣装には日本の着物のようなドイツ人全員にとっての民族衣装というものがありません。それは寂しい気もしますが、ドイツに残る民族衣装のどれもが色彩豊かで、個性的なデザインです。民族衣装によって、各地域の文化の違いが見て取れるのは興味深いことではないでしょうか。