「垣間見える(かいまみえる)」は「ちょっと見えてしまう」といったニュアンスで使われている言葉です。「垣間見える」の「垣間」とはどのような意味がご存知ですか?
ここでは「垣間見える」の意味をはじめ、「垣間見る」「垣間見れる」を含めた使い方の例文や類語をご紹介します。
「垣間見える」の意味とは?
「垣間見える」の意味は「物事の一画を知ること」
「垣間見える」とは、説明文でも触れたように「チラッと見えてしまうこと」ですが、実際での使い方で最も多い意味は以下の2つです。
- 物事の一画を知ること
- 事態や状況の一部を知ること
その他に「こっそりと覗き込んでみること」「ひっそり短時間のあいだ、覗くこと」という意味でも使われています。
また「垣間見える」は「かいまみえる」と読みます。「かきまみえる」と読まないようにしましょう。
そもそも「垣間」とは「庭にある仕切りの間」
「垣間見える」の「垣間」とは、「家の仕切りや垣の隙間」のことです。つまり「垣間見る」とは、基本的に「家の仕切りや垣根の間から、こっそり何かが見える」ことを指しています。
映画やドラマで、探偵や調査員などが垣根の陰から状況を覗くというようなシーンがありますが、まさにそれが「垣間見える」の基本となる意味となるイメージです。
転じて、「今まで知り得なかった物事や状況の一端を、予想外に知ってしまう」という意味で使われるようになりました。
「垣間見える」の使い方と例文
よく使う言い回しは「垣間見る」「垣間見れる」
「垣間見える」は「垣間見る」を別の言い回しに変化させたものです。
「垣間見える」は「垣間見る」とを比べると「予想もしていないのに、知ってしまう」「思わず、知ってしまう」というやや受動的な意味合いを含む言い回しとなります。以下の文章で、受け手への印象の違いを比べてみます。
「垣間見る」と「垣間見える」を比較した例文
- 相手の感性が垣間見える
- 相手の感性を垣間見る
このように、感性が見えてくるのか、それとも自分が感性を見ているのか、「○○が垣間見える」「〇〇を垣間見る」というように、どちらが主体になるのかが変わっています。
一方で「垣間見れる」は、「垣間見られる」という受け身や可能、自発や尊敬を表す言い回しです。いわば「ら抜き言葉」ですが、本来正しいのは「垣間見られる」となりますので気を付けましょう。
「垣間見える」「垣間見る」を使った例文
- 入社したての頃は、まるで大人の世界が垣間見えたような気がした。
- 普段優しい先輩の怖い面が垣間見えたのは、部下と激しい喧嘩をした時だった。
- 庭の竹垣から、お隣さんの喧嘩が垣間見える。
- プレゼンでの姿は、彼の成長が垣間見られた瞬間だった。
- 彼女のスピーチでの実力を垣間見たのは、昨年の選挙で当選した時だ。
- コンサートの様子を会場の外から垣間見ることはできない。
- 赤字収支の内訳を垣間見たが、それは圧倒的に経費によるものであった。
「垣間見える」の類語は?
「垣間見える」の類語は「一瞥する」「透き身する」
「垣間見える」の類語には「一瞥する(いちべつする)」「透き見する(すきみする)」などが挙げられます。
「一瞥する」はちょっと見たり、ちらっと見たりすることを意味しますが、「垣間見える」とはほぼ同じ意味ですが、使い方としては「一瞥しただけでは判断できない」「資料を一瞥しただけだ」というように「垣間見る」が持つ「影でこそっと覗くというニュアンスは含まれていません。
また「透き見する」は基本的には「のぞき見すること」「影でコソコソ覗くこと」という意味があります。しかし、比喩的に「彼の才能を透き見したようだ」「プレゼン資料を見て彼女の実力を透き見したような気がする」というように使われることもあります。
「垣間見える」の類語を使った例文
- 資料を一瞥しただけなので、完全に内容を理解することができませんでした。
- 彼女は私を一瞥するだけで、足早に通り過ぎた。
口語表現では「チラ見する」「パッと見る」
「垣間見る」と言い換えができる類語表現は多いとは言えませんが、口語表現として考えるなら「チラ見する」「パッと見る」なども使えるでしょう。
「垣間見える」の口語表現での類語を使った例文
- 外の様子をカーテンからチラ見した。
- 今日の株価の状況を、パッと見た。
このような感じで、日常的な会話で気軽に使うことができます。ビジネスシーンやフォーマルな場面では適切とは言えませんが、友人との食事や飲み会なので「垣間見える」を使ってしまうと、かえって堅苦しくなることもあるかもしれません。
まとめ
「垣間見える(かいまみえる)」は「垣間見る」を変形させた言い回しで、「ちょっと見える、チラッと見える」「物事や状況の一端を知ってしまう」また「垣根や門などの敷居から覗く」という意味を持つ言葉です。
使い方で最も多いのは「物事や状況の一部や、知られていない部分を知ってしまうこと」で、視覚的に見えるもの以外に、性格や性質など目に見えない感覚的なものに対しても使われます。
また「垣間見れる」は「ら抜き言葉」で、本来は「垣間見られる」が正当です。社会人としても、ぜひ、正しい日本語を話すように心がけていきましょう。