「不調法」の意味と使い方とは?読み方やお酒の席での例文・類語も

「不調法」は社会人になると小耳にはさむようになる3文字熟語の一つです。ビジネスシーンでは、相手の気持ちを逆立てないようにする時に放たれる言葉ですが、明確な意味や使い方について知りたい、という人は多いのではないでしょうか?

ここでは「不調法」の意味と読み方、お酒の席での使い方や例文、そして最後に英語も加えてご紹介します。

「不調法」の意味とは?

「不調法」の意味1「行き届かないこと」

「不調法」とは「行き届かないこと」という意味があります。物事の進行や手順での手際が悪く、成り行きが不行きである様子を指します。

「不調法」の意味2「不始末/過失」

「不調法」とは「不始末」や「過失」という意味もあります。仕事だけではなく、あらゆる粗相に対して「不調法」という言葉を使います。

「不調法」の意味3「酒・芸の嗜みが無いこと」

「不調法」には「酒の嗜みが無いこと」という意味もあります。つまり「あまりお酒が飲めない」「アルコールが苦手」という意味で使われます。たとえば、酒を勧められても、喜んで「いただきます」という感じではなく、「いやあ、飲めないのですみません」というように、「酒の付き合いがよくない」ことを指す言葉として使われます。

「不調法」の読み方は「ぶちょうほう」

「不調法」の正しい読み方は「不調法」です。「ふちょうほう」「ふしらべほう」などと誤読しないように気を付けましょう。

また「不調法」は「無調法」とも書くことができます。どちらも辞書に掲載されている語句で、どちらを表記しても間違いではありません。

「不調法」の状況別の使い方と例文

不調法の使い方① 商談や会議で部下が相手の質問に答えられない

たとえば、取引先との商談やミーティングなどで、部下がこれから話そうとする会議内容やプロジェクトに関する詳細について、情報不足なこともあるでしょう。もちろん、情報を把握していないので、相手からの質問に立往生してしまいます。賢い相手なら、簡単に論破されてしまうかもしれません。このように誰かの不手際や不行きについて語る時に「不調法」を使います。

例文
  • Aは開発分野には不調法でして、私が代わってお答えします。
  • ご質問の答えが不調法で申し訳ありません。こちらが詳しいデータです。

「不調法」は、状況がネガティブな雰囲気になった時に、何とか穏便に事を済ませることを目的として使われます。「不調法」は自分の非となる部分をへりくだるニュアンスがあるため、相手に失礼になることなく、いち早く気まずい状況から脱出することができます。

不調法の使い方② ミスをしてしまい取引先に迷惑をかけてしまった

仕事でミスをしてしまうことは誰でもあります。しかし、相手に多大な迷惑をかけてしまった時、「過失」「不始末」というストレートな言葉の代わりに、「不調法」を使えば、少しながらでも表現のクッションとして使うことができます。

もちろん、同じ過ちであることには変わりはありません。要するに言葉の伝え方で、受取手の感情を必要以上に逆なでしなくても済むかもしれない、ということです。

例文
  • 今回はうちの工場長の不調法で出荷漏れがあり、大変申し訳ありません。
  • 今回の不調法で、どれくらいの数が未出荷となったか、教えていただけませんか?

「不調法」はビジネスではよく見聞きする言葉です。使い過ぎに気を付けて、適切なシチュエーションで用いるようにして下さい。

不調法の使い方③ 勧められたお酒や芸をやんわりと断りたい

社会人になると、取引先との接待や会社の飲み会などで、お酒を飲む機会が増えてきます。もちろん、お酒が苦手な人やまったく飲まない人もいるでしょう。そのような際に、失礼にならないようにお酒を断る手段として「不調法」を使うことができます。芸を頼まれたり、歌をせがまれたりした時も同じです。

例文
  • お酒はとんと不調法でして、頂きたいのはやまやまなのですが…。
  • 私は芸は不調法なので、小話を一つ!

もちろん、「飲めません」「できません」ときっぱりと断ることが出来なくても、相手や周囲にへりくだって、やんわりと断ることができます。

「不調法」の類語は?

「不調法」の類語は「不手際」「不用意」「つたない」

「不調法」の類語には「不手際」「不用意」「つたない」などがあります。

類語の意味
  • 不手際:処理する行程や結果の仕上がりがまずいこと。手際が悪いこと。
  • 不用意:うっかりすること。心配りや配慮が足らないこと。
  • つたない:巧みではない。劣っている。

「不調法」の類語を使った言い換えの例文

「不調法」には大まかに3つの意味があるため、それぞれの意味にあった類語を選ぶことが大切です。以下で言い換えの例文を挙げてみます。

「不手際」を使って言い換える例文
  • うちの新人が提出した契約書が不調法で、申し訳ありません。
  • うちの新人が提出した契約書に不手際があり、申し訳ありません。
「不用意」を使って言い換える例文
  • スタッフの誘導が不調法で、ご迷惑をおかけしました。
  • スタッフの誘導に不用意があり、ご迷惑をおかけしました。
「つたない」を使って言い換える例文
  • まだまだ不調法ですが、一芸を披露させて頂きます。
  • まだまだつたないですが、一芸を披露させて頂きます。

「不調法」を英語でいうと?

「不調法」は「careless」や「negligent」を使う

英語で「不調法」を明確に示すフレーズは残念ながら見当たりません。しかしながら、「careless(不注意、不手際)」や「negligent(不注意、怠慢」」などの単語を使って、行き届かなかった点や過ちを表すことはできます。

また、酒や芸の嗜みがないという意味では、「I don’t drink(酒は飲まない)」や「lacking skil(芸がない)」というフレーズを使えば、言いたいことの意思はしっかり通じます。

「不調法」を使った英語例文

  • クライアントには外注の設計が不調法だったと、正直に伝えるべきだ。
    We shoud honesty tell the client that the design was total negligent and it was done by an out side suppier.  
  • うちの部下はみな酒が不調法でして、まだまだ経験が必要ですな。
    Our subordinates don’t drink much . Well, they need more experience, don’t they?

まとめ

「不調法(ぶちょうほう)」とは「行き届かないこと」「不始末」「過失」「酒や芸のたしなみがないこと」などの意味を持ちます。

ビジネスシーンでは、相手にへりくだってその場をまるく収めようとする時に「こちらの不調法で」「不調法ですみません」などのように使ったりします。とくにお酒の席での「酒は不調法でして」は定番のフレーズです。ぜひ、自分を守るためにも活用してみて下さい。