出かけた先から帰ることを表現する言葉のひとつに「帰路につく」があります。「つく」はひらがなでも問題ありませんが、漢字では「帰路に就く」が正しく、「帰路に着く」は間違った表記です。
今回は、「帰路につく」の意味や使い方と例文、類語の「帰途につく」などとの違いを解説。また、英語表現についても触れていきます。
「帰路につく」の意味とは?
「帰路につく」の意味は「帰り道の途中である」こと
「帰路につく(きろにつく)」とは、「帰り道についている」「帰っている途中」という意味。「帰路」とは「帰り道」や「戻る道」という意味であり、「つく」には「移動して、ある場所に到着する」や「その場所にいる」という意味があります。
「帰路につく」とは帰り道にいるということで、戻るべき場所へ戻っている途中であるという意味の言葉です。
「帰路に着く」は間違い
「帰路につく」の「つく」を漢字で書く場合には「帰路に着く」ではなく「帰路に就く」が正しい表記です。「就く」という漢字には、「ある地位や役職になる」という意味の他に、「ある行動をする」や「出かける」という意味があります。
「帰路に就く」は、「帰る道にいて、帰る行動している途中である」というニュアンスを含んでいます。
「帰路につく」の使い方と例文
「帰路につく」は手紙やメールなど文章で使う表現
「帰路につく」という言葉は日常会話ではあまり使う言い回しではありませんが、手紙やメールなどの文章において使う表現です。また、テレビなどのナレーションや小説の中でも良く使われます。
ビジネスシーンで使う場合には、出張先から帰る際にお礼のメールとして「本日はありがとうございました。無事帰路についております。」などと送ると、相手に丁寧な印象を与えるでしょう。
「帰路につく」は丁寧語で「帰路につきます」
「帰路につく」は敬語ではありませんが、「家に帰る」「会社に戻る」というよりも丁寧な表現です。ビジネスメールや手紙などでより丁寧な表現にするならば「帰路につきます」「帰路につきました」などと表現すると良いでしょう。また、「帰路につきましたことをご報告いたします」などもビジネスメールでよく使う表現です。
「帰路につく」を使った例文
- 研修旅行の全ての日程を終了し、全員無事に帰路につく。
- 本日は大変お世話になりました。無事、帰路につきましたことをご連絡いたします。
- 2時間前には新幹線で帰路についたと連絡があったから、もう到着するだろう。
「帰路につく」の類語・類義語は?
類語「帰途につく」は「家への帰り道の途中」
「帰途につく(きとにつく)」とは、帰り道をいく途中であるという意味。「帰途」には、「帰路」と同じく「帰り道」や「帰る途中の道」という意味があります。
「帰路につく」と「帰途につく」はほぼ同じ意味といえ、言い換えも可能です。しかし、前後の表現によっては「帰途」を使用すると不自然な表現になる場合もあります。
類語「帰途につく」を使った例文
- いつも寄り道をしてしまうけど、今日は真っすぐ帰途につくことにする。
- 用事がすんだので、帰途につきました。
類語「家路につく」は「家に帰る途中」
「家路につく(いえじにつく)」とは、家に帰っている途中であるという意味。「家路」は、字の通り「自分の家」や「自宅」という意味の言葉です。
「帰路につく」は帰る先が家以外の職場や学校などでも同じように使えるのに対し、「家路につく」はあくまで帰る先が自宅であると明確に示されているところが違います。
類語「家路につく」を使った例文
- 駅についたときには遅い時間だったので、家路につく人もまばらだった。
- 反対方向の友人と駅で別れ、私はひとりで家路につくことにした。
類語「帰宅する」は「自分の家に帰ること」
「帰宅する」とは、「自分の家に帰る行動」をさします。「宅」にはその字の通り「自宅」や「自分の家」という意味があります。「帰宅」とは自分の家に帰ることであり、「その行動を行う」という意味の「する」がつくことで「家に帰る行動をおこなう」というニュアンスです。
帰る先が自宅や職場などでも使うことができる「帰路につく」よりも、帰る先が自宅であると明確に示されている「家路につく」の方が「帰宅する」と同じニュアンスであると言えるでしょう。
類語「帰宅する」を使った例文
- 残業で遅くなったので急いで帰宅する。
- 彼から1時間ほど前にバスに乗ったとメールがあったから、そろそろ帰宅するだろう。
- ここで1時間もバスを待つならタクシーで帰宅する方が早いです。
「帰路につく」の英語表現は?
「帰路につく」は英語で「on one’s way home」「leave for home」
「帰路につく」のニュアンスを英語で表現するには「on one’s way home」や「leave for home」が当てはまります。
「家に帰る」という意味の英語として「go home」が思い浮かびやすいですが、こちらは帰り着いた状態やこれから移動を始めるというニュアンスの方が強い言葉。帰る道の途中であるというニュアンスの「帰路につく」なら、「on one’s way home」や「leave for home」で表現する方が伝わります。
まとめ
「帰路につく」とは「帰る道の途中である」という意味の言葉で、「つく」を漢字で書くならば「帰路に就く」が正しい表記です。帰るという言葉から自宅への帰り道をイメージしやすいですが、必ずしも自宅というわけではなく、職場や学校などに戻る場合にも「帰路につく」と表現できます。
類語の「帰途につく」はほぼ同じ意味ですが、同じく類語の「家路につく」や「帰宅する」は、帰る先が自宅であるというニュアンスを含んでおり、「帰路につく」の方が幅広く使えます。また、「帰路につく」はビジネスメールなどで丁寧な表現としても使える言葉です。