「ブランディング戦略とは…」というような話題をよく耳にします。なんとなく使っている 「ブランディング」やその関連語ですが、定義があいまいなため、会話がかみ合わないということはありませんか?
ここではブランディングの意味や定義をまとめ、成功事例などの具体例も挙げて「ブランディング」とは何かを解説します。
「ブランディング」と「ブランド」の意味とは?
「ブランディング」の意味を確認するために、原語となった英語の意味を確認します。
「ブランディング(branding)」の意味は「ブランド化」
「ブランディング」の意味は、「ブランド化」「ブランド戦略」です。英語「branding」が原語のカタカナ語です。英語、日本語(カタカナ語)とも、意味は同じです。
「ブランド(brand)」の意味は「商標」「種類」など
「ブランド」もカタカナ語として定着している言葉です。原語である英語「brand」の意味は次の通りです。
- 商標、銘柄
- 種類、区分
- (家畜に押した)焼き印
カタカナ語「ブランド」は英語の意味1または2の意味で使われています。
英語「brand」の言葉の起源は3の意味である、所有者を示すために家畜に押した焼き印であるといわれています。
つまり、「ブランド」とはその言葉の起源からも「区別するための目印」であるといえますが、狭義の意味では「高級ブランド」を指すことがあります。
ブランディングの定義とは?
「ブランド」は「区別するための目印」という意味で、「ブランディング」は「ブランド化」という意味でした。では「ブランド化」とは具体的にどのようなものなのでしょうか?
ブランディングの手法は一定ではない
ブランディングは、ユーザーにある一定の差別化されたイメージを持ってもらうことを目的として、広告宣伝や顧客へのPR活動といったマーケティングを戦略的に行うことです。
その時、単なる差別化ではなく、そのものの「価値を最大限に高めるための差別化」を行うことがブランディングのポイントとなります。それにより、市場シェアや固定ファンを獲得し、長い期間で利益を得ることを期待します。
ブランディングはあらゆる業界で行われているマーケティング手法であり、ある一定の手法を指すものではなく、ブランド価値を最大限に高めるためのマーケティングを行う時にベースとなる概念であるといえます。
ブランディングは戦略である
ブランディングは広範囲かつ長期的にマーケティング活動を行うものです。そのため、長期的な視野と複合的な思考のもと、さまざまな資源を総合的に運用する戦略の立案と実行が求められます。
「ブランディング」の意味にはそもそも「ブランド戦略」の意味があり、またしばしば「ブランディング」に「戦略」を付け加えて「ブランディング戦略」と呼ばれることも、このような「ブランディング」の概念を示しているといえます。
ブランディングで向上させる
「ブランディングで向上させる」と言う時は「ブランディングで価値を向上させる」ということを意味します。
ブランディングの成果として狙うのは、価値の向上により、ユーザーや社会の共感を得ることです。目に見えない無形の資産を形成することがブランディングの目的です。
ブランディングの関連語とは?
次に「ブランディング」の関連語を説明します。
「企業ブランディング」
企業とユーザーの信頼関係や、良いイメージを高めるマーケティング策のことを「企業ブランディング」といいます。製品やサービスのブランディングを行う時は、企業のブランディングもあわせて行うのが一般的です。
「セルフブランディング」
個人が自分自身をブランド化させることを目的として活動することを「セルフブランディング」と呼びます。他者と差別化できる知識や技能を身につけることで自己の価値を高め、その結果として認知度を高めたり、ファンを集めたりすることを期待します。
「パーソナルブランディング」
個人の個性や技能、さらにイメージなどを「ブランド」として確立し、ビジネスを展開していくことを「パーソナルブランディング」と呼びます。
「自分ブランディング」「個人ブランディング」ということもあり、その意味で「セルフブランディング」との明確な区別がされずに用いられることもあります。
「ブランディングデザイン」
統一されたブランドの世界観を戦略的に立案し、設計することをブランディングデザインと呼びます。その内容は多岐にわたりますが、狭義では視覚的なロゴやパンフレットなど意匠設計を指すこともあります。
ブランディングの成功事例とは?
スターバックス
ブランディングの成功事例として代表的なものはアメリカのコーヒーチェーンであるスターバックスです。コーヒーを楽しむ時間を持ちたい時はスターバックスへ行く、と誰もが考えるような強いブランド力を確立することに成功しています。
Apple
スマホといって思い浮かべるのはiPhoneで、パソコンを持つならiMac、と誰もが共通のイメージを持つ製品を次々と生み出し、高いブランド力を持つのがアメリカのIT企業、Appleです。
ブランディングの成功により、ファンは「信者」とも呼ばれるほど熱狂的にAppleやその製品を支持することで知られています。
無印良品
日本の企業でブランディングの成功事例の代表とされるものは無印良品です。無駄なものを省くという一貫したコンセプトで他に類を見ないブランドを確立させました。
シンプルで質の高い生活用品を買うなら無印良品へ、と誰もが発想するということが、ブランディングの成功を示しています。
まとめ
数ある選択肢の中から、ユーザーに選んでもらう企業や製品、あるいは個人になるために必要なのがブランディングです。ブランディングに成功している企業はどれも魅力的で、その企業の製品やサービスをもっと知りたいと思わせる何かを持っています。
ブランディングを扱った書籍は多数出ていますので、気になる本があれば読んでみることをおすすめします。自分の個性を最大限に発揮するビジネスパーソンを目指す人にも参考になるでしょう。