「貴店」の意味とは?「貴社」「御店」「御社」との違いや例文も

相手のお店や店舗のことをさす言葉に「貴店」があります。口頭ではなくメールなど文章において使うやや堅い表現で、ビジネスシーンなどで相手に敬意を表す尊敬表現です。

この記事では、「貴店」という言葉の意味や使い方をはじめ、類語である「貴社」「御店」「御社」との違いについて解説。対義語についても紹介します。

「貴店」の意味とは?

「貴店」の意味は「店舗に対する尊敬表現」

「貴店」は「きてん」と読み、意味はお店や店舗をさす言葉。相手のお店や店舗に敬意を表して使う尊敬表現です。「貴」という字には、「身分や価値が高いさま」などの他に「相手に敬意を表す」という意味があり、「店」は「商家」や「商売をする場所」のことを表します。

会社組織や大きなチェーン店ではなく個人経営のお店や店舗などに対して、「明日の朝、貴店に伺います」などと使います。

「貴店」は口頭で使っていいの?

「貴店」は口頭ではなく、メールや手紙で使う

「貴店」は、文語に当たります。文語とは、口頭で伝えたり日常会話などで使ったりする話し言葉ではなく、メールや手紙などの文章において使う書き言葉のこと。やや堅苦しい表現ではありますが、ビジネスシーンにおいてメールや書類などを書く際に使います。

就職活動やアルバイト応募などでも使える

「貴店」という言葉は、取引先だけに限らず就職活動やアルバイトなどの応募の際にも使える言葉です。応募動機などを書く欄などで使用します。「貴店」は敬語表現のため、「貴店様」のように敬称をつけると二重敬語に当たります。二重敬語は間違った日本語のため注意しましょう。

「貴店」を使った例文

  • 明日の朝10時に、貴店に伺いますのでよろしくお願いいたします。
  • 貴店には日頃より絶大なるご支援をいただいており、お礼申し上げます。
  • 以前より貴店の商品を利用させていただいております。
  • 新しい商品につきましては、貴店に直接届くよう手配済みです。

「貴店」と「貴社」「御店」「御社」の違いは?

「貴社」は「相手の会社」のことで、文語表現

「貴社(きしゃ)」は、相手の会社に対して使う尊敬表現です。文章において使う文語で、メールなどで連絡する場合に「明日の朝、貴社に伺います」のように使います。「貴社」は敬語のため、「貴社様」や「貴社殿」とすると二重敬語であり間違った使い方です。

「貴店」はお店や店舗に対して使いますが、「貴社」は会社に対して使います。

例文
  • 明日の13時に貴社に伺いますので、よろしくお願いいたします。
  • 貴社から発送していただいた郵便物を先ほど受け取りました。

「御店」は「相手の店や店舗」のことで、「貴店」の話し言葉

「御店」とは、相手のお店や店舗に対して敬意を払って使う尊敬表現で、会話などで使う口語に当たる言葉です。「御店」は「おたな」と読み、「御」には尊敬や丁寧の気持ちを表す意味があります。また、「店」は「みせ」の他に「たな」とも読みます。

「貴店」はメールや書面など文章上で使いますが、「御店」は口頭で伝える場合に使う言葉です。しかし、もともとは奉公人や出入りの商人などが商店を敬って使っていた呼び方で、現代ではあまり一般的な表現ではありません。堅苦しい印象にもなるため、シーンによっては「こちらのお店で」や「そちらの店舗で」などと表現しても問題ないでしょう。また、会社名に「様」をつけた「〇〇社様」という呼び方も一般的に使われている表現です。

例文
  • 急な申し入れにもかかわらず御店の見学をさせていただきありがとうございました。
  • 御店には家族ともども大変お世話になっております。

「御社」は「相手の会社」のこと、話し言葉として使う

「御社(おんしゃ)」は、「貴社」と同じく相手の会社に対して使う尊敬表現です。一般的には話し言葉として使う口語にあたりますが、文語としても使える言葉。取引先などの会社へ「のちほど御社へ伺います」などと使います。

「貴店」はお店や店舗に対して文章において使う言葉ですが、「御社」は相手の会社に対して話し言葉としても文章においても使える言葉です。

例文
  • 先日の出張で御社へお伺いした際には、大変お世話になりありがとうございました。
  • 本日より御社の担当になりましたので、よろしくお願いいたします。

「貴店」の対義語・反対語は?

「弊店」は「自分の店」の謙譲表現

「弊店」は「へいてん」と読み、自分の店のことをへりくだっていう謙譲表現です。「弊」には、「つかれ」や「わるい」などの他に「へりくだった表現」としての意味があり、自分に関する言葉に添えることで謙遜を表します。同じく、自分の会社についてへりくだる場合には「弊社(へいしゃ)」と表現します。

「貴店」の相手のお店や店舗に敬意を払う尊敬表現に対し、「弊店」は自分の店や店舗のついてへりくだる謙譲表現です。

まとめ

「貴店(きてん)」とは、相手のお店や店舗に敬意を表して使う尊敬表現で、メールや書類上など文章において使う文語です。話し言葉の場合には「御店」が当てはまりますが、それほど一般的ではないため、代わりに「こちらのお店で」や「そちらの店舗で」などと表現しても問題ないでしょう。

自分の店のことを相手に伝える場合には、自分がへりくだって謙遜を表す謙譲表現の「弊店」を使います。