「約款」の意味とは?「定款」「契約書」「規約」との違いも解説

「約款」は契約書に読みにくいほどの小さな文字で事細かに書かれているのをよく目にします。今回はこの「約款」の意味と読み方に始まり「定型約款」との違いや、約款と似たような役割のある「定款」「契約書」「規約」との意味の違いも解説します。難しい内容ですが、整理しながらわかりやすく説明します。

「約款」の意味と読み方とは?

「約款」とは「契約のために決め事」のこと

「約款」とは契約や条約などのために定められている条項のことです。わかりやすく言い換えるのなら契約や条約を締結するための決まり事です。

約款は特に多数と契約をするような場合に用いられています。事前に約款として契約条項を定めることで、定型的な契約を速やかに進めることができます。

約款の例
  • 保険約款
  • 銀行取引約款

「約款」の読み方は「ヤッカン」

「約款」とは「ヤッカン」と読みます。「約」「款」の音読み「ヤク」と「款」の音読み「カン」が連結するとき、「ヤク」の語尾が促音となり詰まるような発音になるのがポイントです。

言葉が促音化されるのにはいくつかのルールがあるのですが、「約款」の場合、「約」が「く」で終わりカ行で始まる漢字が続くと促音化が起こります。同様の例として「学校(がっこう)」や「月光(げっこう)」があります。

「約款」と「定型約款」の違いとは

「定型約款」とは「定型取引上での決まり事」のこと

「定型約款」とは定型取引のときに用いられる決まり事です。定型取引とは、不特定多数を対象にした取引で、双方が全部または一部においてお互いに合理的な取引のことです。

定型約款は民法改正(2020年4月施行)により定義されました。かつては約款やその同義語として規約が使われるなど契約者にとってわかりにくかったのですが、民法改正により約款から切り離して「定型約款」としてその意味が定義されたのです。

民法上で定義されているため「定型約款」は法的効力がありそうですが、契約において相手方の利益を一方的に害するようなことがあれば法的な拘束力はありません。

定型約款に該当するのは運送約款や保健約款など

何が定型約款に該当するのかのガイドラインは詳細に決まっていません。そこでここでは国会審議などを通して挙げられた定型約款の例の一部を紹介します。

定型約款の例
  • 運送約款
  • 保険約款
  • 預金規定
  • 証券総合サービス約款
  • ソフトウェアライセンス規約
  • インターネットサイト利用約款など

一方、定型約款に該当しないものは事業間の契約書のひな形や労働契約書などで、不特定多数を対象としているのではなく特定の相手を対象とした契約では定型約款にはならないとされています。

しかし住宅ローン契約など不特定多数を対象としたとは言えない契約が定型約款に含まれる点で、何を定型約款とするのかの判断が分かれるところです。

「約款」と「定款」「契約書」「規約」との違いとは

「定款」とは「組織内での決め事」

「定款(ていかん)」とは、会社や公益法人などの組織においての根本規則のこと、つまり組織内での決め事という意味です。定款は組織を運営する際には作成しなければならないもので、次の3つの事項を記載する必要があります。

定款の3つの記載事項
  • 絶対的記載事項:定款に定めていないと違法となる組織の決め事に関する基本事項
  • 相対的記載事項:記載しなくてはならない事項ではないが、定款の一行として決められたことは記載しなければならない事項
  • 任意的記載事項:任意の事項で、単に定款に記載されている事項

「約款」との違いは、「約款」は契約のための決め事に対して「定款」は組織を運営するための決め事という違いがあります。

「契約書」とは「契約内容が具体的に書かれている書類」

「契約書」とは事業者間または事業者と個人の間での契約内容の内容が書かれた書類です。取引される商品の名称や個数、代金に加えて支払日など契約内容の具体的な内容が記載されています。

「契約書」と「定型約款」のどちらも契約において取り交わされるものですが、「契約書」には具体的な契約内容が記されているのに対して「定型約款」は契約する不特定多数の相手に向けられていて、その内容は契約に関する決まり事についてです。

「規約」とはあっても無くてもいい組織内での決め事のこと

「規約」とは組織内で定められた規則のことですが、この定義からすると「定款」と同義になります。しかし「定款」は組織にとってなくてはならないものですが、「規約」はなくても構わないという点で違います。

「約款」と「規約」の違いは、「約款」は契約を結ぶうえで取り交わされるのに対して、「規約」は契約締結が前提になっていません。契約がされなくても「規約」は決めることができます。

「規約」=「約款」のこともある

もしも契約を結ぶ上で「規約」であればそれは約款と同じ扱いになります。実際のビジネスでは「約款」の代わりに「規約」という言葉が使われていることがあります。

約款の代わりに規約が使われている例
  • オンラインサービスの利用規約
  • クレジットカード規約

「約款」の英語表現とは

「約款」は「clause」や「terms」

「約款」を表す英単語には「clause」や「terms」などが使われています。「clause」は契約書に書かれている約款にのみ使われる言葉ですが、「terms」は契約書に書かれていなくても使われる言葉なので、「terms」が契約書に書かれていれば「約款」と訳せて、契約書に書かれていない条項なら約款よりは規約と訳したほうが正確でしょう。

「約款」の英語例文
  • insurance clauses
    保険約款
  • I make a contract by accepting of deposit terms.
    預金約款を認識して契約を結ぶ。

まとめ

「約款」とは組織内で決められた条項という意味で、不特定多数の相手と定型契約を結ぶときに用いられています。

とても小さい字で書いてあることが多く約款すべてに目を通さずに契約を結んでしまうことも多いかもしれませんが、もしもその契約によって不利益が生じれば民法によって消費者は守られているので法的な保護が受けられます。実際に約款を全て理解しようと思ったら専門的な知識が必要だとも言われています。ですから契約の際には約款はできる範囲で理解に努めれば十分だと思われます。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。