「やむを得ず」とは「仕方なく」を意味する言葉です。漢字では「止むを得ず」や「已むを得ず」と表す「やむを得ず」の、ビジネスシーンでの使い方が分からないという方もいるでしょう。この記事では「やむを得ず」の語源や例文、類語の「心ならず」を解説します。くわえて「やむを得ず」の英語表現も解説しましょう。
「やむを得ず(やむをえず)」の意味とは?
「やむを得ず」の意味は「仕方なく」
「やむを得ず(やむをえず)」とは「仕方なく」や「どうしようもなく」を意味する言葉です。本当はやりたくないが、どうしようもない事情により仕方なくやっている状況を表します。
漢字では「止むを得ず」「已むを得ず」と表す
「やむを得ず」の漢字表記には「止むを得ず」「已むを得ず」が当てはまります。どちらも漢字表記としては正しいですが、「止むを得ず」を記載している辞書が多いことから一般的には「止むを得ず」が使用されます。
平仮名を使って「やむをえず」と表すこともあるものの、「やむおえず」は誤用となるため注意しましょう。
「やむを得ず」の語源は2説ある
「やむを得ず」の語源には2つの説があります。まず1つ目が「止事を得ず(やむことをえず)」の略だという説です。「止事を得ず」とは「とどまることができない」「仕方がない」を意味する表現で、797年に完成した『続日本紀(しょくにほんぎ)』や1330年頃に完成した『徒然草(つれづれぐさ)』にも使用されています。
もう1つは「不得已」という漢文を訳したものだという説です。「不得已」を口語になおすと「已むを得ず」になることから、現代でも「やむを得ず」として使われています。
「やむを得ず」のビジネスでの使い方
ビジネスでは断りを入れる状況で使える
「やむを得ず」はビジネスシーンで断りをいれる状況で使用されます。欠席の申し出や相手の期待を裏切る状況などで「やむを得ず」を使うことにより、自分の本意ではないことを表せます。
「やむを得ず中止」は「仕方なく中止」を表す
「やむを得ず」の使い方の1つが「やむを得ず中止」です。「やむを得ず中止」は「仕方なく中止」を意味しています。本当は中止にしたくないが、どうしようもない理由から中止せざるを得ない状況で使用しましょう。
・やむを得ず中止との連絡がきて、肩を落とした。
・台風の影響により、やむを得ず中止とさせていただきます。
「やむを得ず」を使った例文
- お気に入りのものが置いてなかったから、やむを得ず購入したのだ。
- 遅れるとの連絡を受けたわたしは、やむを得ず1人で向かうことにした。
- お金に困っていた友人は、やむを得ず祖父の遺品を手放したらしい。
- やむを得ず犯したとはいえ、罪はしっかりと償うべきだ。
- やむを得ず帰宅することにしたが、まだ仕事が残っている。
「やむを得ず」の類語とは?
「やむを得ず」の類語は「心ならず」
「やむを得ず」と似た意味の言葉(類語)には「心ならず」が当てはまります。「心ならず」とは「不本意ながら」を意味する言葉で、「心ならずも」の形で多く使われます。「やむを得ず」と「心ならず」はどちらも「納得がいかないながらも、そうするしかない様」を表しているため、類語に当てはまるのです。
とくにビジネスシーンでは、相手を気遣いながら断りを入れる言葉として使用されるため、言い換えてみましょう。
・当日は遠方にて用事があるため、心ならずも出席できません。
・先日は心ならずもご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした。
日常会話では「仕方なく」へ言い換えも可
日常会話にて「やむを得ず」が堅苦しいと感じる場合は、「仕方なく」へ言い換えてみましょう。「やむを得ず中止」や「やむを得ず帰る」を「仕方なく」で言い換えて、「仕方なく中止」や「仕方なく帰る」のように使用できます。
・どうしても会いたいと言われたため、仕方なく会いに行った。
・自分でどうすることもできないため、仕方なく彼に頼ったのだ。
「やむを得ず」の英語表現とは?
「やむを得ず」は英語で「I have no choice but to」
「やむを得ず」の英語表現に適しているのが「I have no choice but to」です。「I have no choice but to」とは「せざるを得ない」を意味する表現で、それ以外に選択肢がないことを表します。
たとえば「Cancelled(中止)」をくわえた「I have no choice but to cancelled」という文章だと、「中止にせざるを得ない」「やむを得ず中止にする」という意味になります。
まとめ
「やむを得ず」とは「仕方なく」や「どうしようもなく」を意味する言葉です。漢字では「止むを得ず」「已むを得ず」と表し、ビジネスシーンでは断りを入れる状況などで使用されます。
類語には「心ならず」や「仕方なく」が当てはまるため、言い換えてみましょう。
どうしても外せない用事があり、やむを得ず欠席いたします。
意味:どうしても外せない用事があり、仕方なく欠席します。