「ごとに」は「1日ごとに」のように「ごとに」に付く前の言葉の内容が繰り返されるときに使われる表現ですが、似たような使い方をする「~おきに」や「~たびに」とはどのように違うのでしょうか。
今回は「ごとに」の漢字や意味の他に、「おきに」や「たびに」との違いや英語表現も例文と併せて解説します。
「ごとに」の意味と例文とは?
名詞/動詞の連体形+「ごとに」で「たびに」の意味になる
名詞でも数詞や動詞の連体形のあとに「ごとに」が続くと「~するたびに」という意味になります。ある行為が行われるときやある物事においていつもという意味です。
数詞とは1本や1枚などの数字を使って数量や順序を表す表現のことで、動詞の連体形とは動詞の活用形の一種で「信じる人」や「そびえたつ山」など体言を修飾するときの形です。
- 「紙一枚ごとに名前を書く」
- 「1試合ごとに記録を更新した」
- 「食べるごとに辛さが増してくるようだ」
- 「失敗するごとに学べばいつかきっと成功する」
名詞+「ごとに」で「それぞれに」という意味になる
「ごとに」の前に名詞が付くことでそれぞれにという意味になることがあります。名詞が表すものが複数個あり、そのひとつひとつにという意味で使われます。
- 「チームごとに違う色のゼッケンをつける」
- 「ジャンルごとに区分けされている」
- 「同業種でも会社ごとに採用条件が違う」
「ごとに」の漢字とは?
「ごとに」は漢字で「毎に」と書く
「ごとに」は漢字で「毎に」と書き表します。
「毎」は象形文字で、女性が髪飾りをつけて髪を結っている姿から生まれた漢字です。女性が毎日のように髪を結うことから「毎」には「常に」という意味になりました。
「ごとに」の「~するたびに」や「そのいずれもが」などの意味も同様に物事が繰り返されることから「毎」という漢字が当てられています。
「ごとに」は接尾語の「ごと(毎)」に、助詞の「に」で成り立っています。
「ごとに」はひらがな書きがわかりやすい
「ごとに」は「毎に」と漢字で書き表すことができるのですが、実用的には「ごとに」のように平仮名で書いた方が読みやすいため、ひらがな書きにされることが通例です。特に「ごとに」が名詞に続く場合にはひらがな書きがいいでしょう。
×「点検終了毎に上司からサインをもらう」
→ 〇「点検終了ごとに上司からサインをもらう」
「ごとに」と「おきに」との違い
「おきに」は「~の間隔をあける」という意味
「おきに」とは「~の間隔をあける」という意味の接尾語です。漢字では「置き」と書き表せますが、ひらがなで書かれることが多いでしょう。
時間や距離、数量などを表す語の後に付いてそれだけの間隔をあけるという意味で使われます。
たとえば「一日おきに」という表現があれば「一日の間隔をあけて」という意味になりますので、月曜日が最初の予定日ならば次の予定日は水曜日になります。
「1日おきに」と「2日ごとに」は同じ意味
「おきに」を使った表現を「ごとに」で言い換えると、例えば「1日おきに」は「2日ごとに」なります。「1日おき」とは1日分の間隔をあけるという意味ですから2日の周期で繰り返されることになり、「ごとに」で言い換えると「1日ごとに」になります。
- 「10センチごとに記しをつける」=「9センチおきに記しをつける」
- 「市長は4年ごとに選挙する」=「市長は3年おきに選挙する」
「おきに」と「ごとに」が同じ意味で使われることもある
「おきに」と「ごとに」が時間と距離を表す表現に付いたときには、「ごとに」の意味のひとつである「~するたびに」という意味で使われることがあります。時間を表す「秒」「分」「時間」、距離を表す「ミリ」「センチ」「メートル」などのあとに「おきに」または「ごとに」が続くと、両方とも「~するたびに」という意味になります。
- 「1分おきに」=「1分ごとに」
- 「1メートルおきに」=「1メートルごとに」
「ごとに」と「たびに」との違い
「たびに」とは「ある時はいつも」という意味
「たびに」とは「たびに」の前にくる言葉が表す行為が行われるときはいつもという意味で、「会うたびに大きくなる」のように使われます。漢字では「度に」と書き表します。
「ごとに」との違いは、「たびに」は動詞の連体形に付くか、名詞の後に付く場合は「の」が必要ですが、「ごとに」は動詞の連体形と名詞の後に直接つけることができます。
- 「旅行に行くたびにお土産にキーホルダーを買ってくる彼」
- 「会議のたび仕事を増やさない方法を知りたい」
「ごとに」の英語表現
「~するたびに」の意味の「ごとに」は英語「every」を使う
数詞の後に付く「ごとに」は「every」を使って表現できます。
- “every other day” 「2日ごとに」
- “every third day”「3日ごとに」
- “He takes the medicine every six hours.”「彼は6時間ごとにその薬を服用する」
また「every week」のように名詞の前にeveryをつけて副詞句が作られることもあります。
「それぞれに」の意味の「ごとに」には「by」を使う
物事のまとまりを単位として捉えられる表現が「ごとに」の前に来る場合には「それぞれに」という意味になり、英語では助詞「by」が使って表されます。
- “by type”「種類ごとに」
- “by item”「項目ごとに」
- “day by day”「日ごとに」
また他の「ごとに」の英語表現として、無冠詞の単数名詞の前に付く「per」や、数量や機関を表す名詞の前に「a」を使われることもあります。
まとめ
「ごとに」は「1日ごとに」や「1時間ごとに」などの数詞の後に付くこともあれば、「家ごとに」のように名詞に付くことがありますが、どちらの場合でも「ごとに」の前に来る物事が繰り返されることを意味しています。「おきに」との使い分けは間違えやすいので、しっかりと整理して覚えておきましょう。