「前門の虎後門の狼」の意味とは?由来や類語・例文も解説

「前門の虎後門の狼」とは「立て続けに災難に見舞われること」を意味することわざです。前後を虎と狼に挟まれていることから「挟み撃ち」という意味で使う人もいますが、正しくは誤用だと知っていますか?この記事では「前門の虎後門の狼」の由来や例文、類語を解説します。くわえて、英語表現も解説しましょう。

「前門の虎後門の狼」の意味とは?

「前門の虎後門の狼」の意味は「災難から逃れたあとに別の災難にあうこと」

「前門の虎後門の狼(ぜんもんのとらこうもんのおおかみ)」とは「1つの災難から逃れたと思ったら、別の災難に見舞われること」を意味することわざです。自分にふりかかるトラブルをどうにか解決したあとで、さらにトラブルがふるかかる状況を「虎」と「狼」で例えています。

「前門に虎を拒ぎ後門に狼を進む」が由来

「前門の虎後門の狼」は中国の学者である「趙弼(ちょうひつ)」が書いた『評史(ひょうし)』に由来しています。『評史』には災いが立て続けにふりかかることという意味で「前門に虎を拒ぎ後門に狼を進む」という言葉が登場します。

「前門に虎を拒ぎ後門に狼を進む」とは「前門から入ってこようとする虎をなんとか防いだのに、次は後門から狼が入ってこようとしている」を意味する言葉です。「前門に虎を拒ぎ後門に狼を進む」を省略して「前門の虎後門の狼」という形になりました。

心理学ではコンフリクトに該当する

心理学では「葛藤」のことを「コンフリクト」と呼びます。そもそも葛藤とは「心にある2つの欲が同程度の強さをもっていることから、どちらを選択するか迷っている状態」を意味する言葉です。そのコンフリクト(葛藤)を、心理学では3つの種類に分類します。

  1. 接近-接近型…魅力的な2つのものから、1つを選ぶ状況。例)バナナもリンゴも好き。どちらを食べようか?
  2. 回避-回避型…避けたいものの中から、1つを選ぶ状況。例)行きたくないけど単位を落とすのも嫌。
  3. 接近-回避型…魅力的なものと避けたいものが同時ある状況。例)ケーキは好きだけど太りたくない。

2つ目の「回避-回避型」はどちらも避けたいものを表していることから、「前門の虎後門の狼」で例えられることがあるのです。

「前門の虎後門の狼」の使い方と例文

「前門の虎後門の狼」は災難が続く状況で使う

「前門の虎後門の狼」は災難が続く状況で使用されます。1つの災難から逃れられたあとに、次の災難が襲いかかってくる状況で「まさに前門の虎後門の狼だ」のように表します。

たとえば、病気が完治してやっと退院できた次の日に、事故にあったとしましょう。1つ目の「病気」という災いから逃れられた次の日に、「事故」という災いがふりかかっている状況はまさに「前門の虎後門の狼」と言えます。

「挟みうち」という意味での使用は誤用

「前門の虎後門の狼」を「挟みうちされる」という意味で使用するのは誤用です。「前門の虎後門の狼」は前門の虎を防いだところに、後門から狼がやってきたことを表すため「挟みうち」ではなく「災難が次から次へと襲ってくること」という意味をもちます。

辞書によると「前門の虎後門の狼」に「挟みうち」という意味は含まれません。しかし、前後に虎と狼がひかえている状況から、「挟みうち」という意味での誤用が広まっているのです。

「前門の虎後門の狼」を使った例文

  • 上司の説教がおわったと思ったら、次は取引先から呼び出しをくらった。まさに前門の虎後門の狼だ。
  • なくした財布が戻ってきたため喜んでいたら、鞄ごとひったくられた。前門の虎後門の狼とはこのことだ。

「前門の虎後門の狼」の類語とは?

「前門の虎後門の狼」の類語「一難去ってまた一難」

「前門の虎後門の狼」の類語には「一難去ってまた一難(いちなんさってまたいちなん)」が当てはまります。「一難去ってまた一難」とは「災難から逃れられたあとに、別の災難に見舞われること」を意味することわざです。

「前門の虎後門の狼」と「一難去ってまた一難」は「災難が次々と襲いかかってくる」という意味が共通しているため、類語に当てはまるのです。

例文

・上司の怒りが収まったところで、部下のミスが報告された。一難去ってまた一難だ。

・一難去ってまた一難だねと笑われたが、笑いごとではない。

四字熟語「前虎後狼」への言い換えも可

「前門の虎後門の狼」は四字熟語の「前虎後狼(ぜんここうろう)」へ言い換えることもできます。「前虎後狼」とは「次々と災難が襲いかかってくることの例え」を意味する四字熟語です。「前門の虎後門の狼」を省略した言葉であるため、言い換えてみましょう。

例文

・怪我がなおった途端、謎の高熱におかされるなんてまさに前虎後狼だ。

・次から次へと災難がふりかかり、前虎後狼の状況に置かれている。

「前門の虎後門の狼」と「四面楚歌」は意味が違う

「前門の虎後門の狼」と「四面楚歌(しめんそか)」は意味に違いがあります。「四面楚歌」とは「周囲が敵ばかりで助けがないこと」を意味する四字熟語です。

「好ましくない状況」という意味では共通していますが、「四面楚歌」に「次々と災難がふりかかる」という意味はないため混同しないようにしましょう。

例文

・今の会社のやり方を非難したら、周囲から目を付けられ四面楚歌になってしまった。

・友人や教師、家族から詰め寄られているこの現状は、まさに四面楚歌である。

「前門の虎後門の狼」の英語表現とは?

英語では「To take one foot out of the mire and put in the other」

「前門の虎後門の狼」の英語表現には「To take one foot out of the mire and put in the other」が適しています。「To take one foot out of the mire and put in the other」とは「片足を泥から抜き出し、もう片方の足を泥に踏み入れる」を意味する言い回しです。

災いから逃れられたと思ったそばから、災いがふりかかる様子を表せます。

まとめ

「前門の虎後門の狼」とは「災難から逃れたあとに別の災難にあうこと」を意味することわざです。よくある誤用として「挟みうち」という意味で使われることがありますが、正しくは「立て続けに災難に見舞われる」という意味であるため注意しましょう。

「前門の虎後門の狼」以外の表現を使いたい場合は、類語の「一難去ってまた一難」や「前虎後狼」へ言い換えが可能です。

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大阪在住の新人ライターです。学生時代にビジネスマナーや医療事務・秘書などの検定を取得し、前職は医療秘書として医院勤めでした。料理とスポーツが得意なので、いつか記事にできたらなと思っています。よろしくお願いします。