「わかりました」の正しい敬語は?メールでの使い方や英語も紹介

相手に「わかりました」(分かりました)と伝えたいとき、いつもどんな言葉を選んでいますか?「わかりました」は「ます」を含む丁寧語ですが、目上・先輩の人には失礼に感じられてしまう場合もあります。友人同士で使える「了解です」も改まった場面では使いにくいことも。

今回は「わかりました」の正しい敬語としての使い方と言い換え表現を、メールでの例文や英語表現を含めて解説します。

「わかりました」は敬語として使える?

「わかりました」は丁寧語として使える

「わかりました」は、「わかる」に敬語のひとつである「丁寧語」の用法「です・ます」を続け、過去形にした言葉です。敬語として使用可能なので、あらゆる立場の人に広く使えます。日本語の敬語は「尊敬語」「謙譲語(謙譲語Ⅰ)」「丁重語(謙譲語Ⅱ)」「丁寧語」の5つに区分されますが、尊敬語や謙譲語が相手の立場を高くするのに対し、丁寧語は自分と相手との間に一線を引くことで相手の立場を尊重し、礼節を表現するという効果があります。

丁寧語は敬意レベルが低い

丁寧語は、「お話しする(話す)」や「お水です(水だよ)」のように、日常語に「お・ご・です・ます」を付け足して改まった表現にしたものです。ほかの敬語(尊敬語・謙譲語)を使う際の基礎となり、だれに対して使用しても失礼にあたることはありませんが、ほかの敬語に比べて敬意の度合いは控えめであることから「丁寧語は敬語に入らない」と感じる人もいるようです。

敬語は立場の違いだけでなく、シーンによっても使い分けなくはなりません。たとえば、近所の商店街でお店の人に「わかりました」と言われるのは平気でも、高級リゾートホテルのフロントで同じことを言われるとぞんざいな印象を受けます。これは丁寧語が最上位の敬語ではないためで、相手との関係がフォーマルな場合や、へりくだった態度が必要なシーンでは少し横柄に感じられることがあります。

「了解です」も丁寧語のため注意が必要

「わかりました」だけに限らず、敬語なのに敬意が足りないという意味では「了解です・了解しました」も微妙な言葉になりつつあります。本来の「了解」は「納得する・理解する」程度の意味しかありませんが、近年では仲間内の意思疎通にふさわしい「軽い承認」という認識が広がりつつあるため、目上の人や取引先に対して使うのは失礼とする説もあります。言葉のニュアンスは時代とともに刻々と変化しますので、あくまで当人同士の信頼関係に応じて使い分けることが大切です。

「わかりました」の敬語を使いこなすポイント

なにが「わかった」のかを伝える

同僚や取引先の人の敬語になんとなく違和感を覚えるけれども、「敬語の作り方としては間違っていないし、敬語って難しい」と感じたことはないでしょうか。敬語を適切に使うためのポイントはおもに2つあり、どちらを外してもスッキリしないようです。まず相手と自分との立場の違いを把握することはもちろんですが、相手がそのやり取りに何を求めているのかという点を外さないことも敬語を使う上でとても大切です。

相手が取引先の場合は「承知しました」

そもそも「わかる(解る・分かる・判る)」は理解をあらわす言葉ですが、自分が何をどのように理解したかによって「わかりました」の敬語も変わってきます。たとえば「わかりました」の言い換えとして一般的な謙譲語は「かしこまりました・承りました・承知いたしました」などですが、これらはおもに顧客の依頼や要望といったことを正しく理解し、それに「対応できます」と伝えたいときに使う意思表示の言葉です。

上司やバイト先の先輩には「わかりました」でよい

これに対し、相手に言われたことの主旨を自分が理解できたという場合は、たとえ相手が目上の立場の人であっても「わかりました」が基本です。上司や先輩から仕事上のミスを注意されたときには、「わかりました」の表現に気を遣うよりもまず「はい」と一旦受け切ることが大切で、続けて「反省しております・申し訳ございません」などの言葉を続けることでビジネスマナーの基準を満たします。

同僚や就活には内容の確認を

自分が相手からの話の内容を理解して「わかりました」と相手に伝えたい場合には、「わかりました」と言うよりも話の内容を反復するほうがよいこともあります。たとえば、就活中の人が採用担当者から面接日程のメールを受け取ったときなどは、「ありがとうございます」などのあいさつに続けて「では、〇月〇日の〇時にご指定の場所へ伺います」のように伝達内容を確認します。同僚から業務の連絡を受けた場合も同じく、「わかりました」「〇〇ですね」と内容を確認する一言を添えるなどして伝達ミスを防ぎましょう。

「わかりました」の敬語を使った例文

ビジネスメールの例文

  • このたびご依頼いただきました〇〇の件、承知いたしました。
  • お名前とお電話番号を確かに承りました。
  • かしこまりました。それではのちほどご連絡いたします。

「わかりました」の英語表現

  • sure thing.(かしこまりました)
  • Certainly.(了解です)
  • All right, no problem.(承知しました)
  • Certainly, I understand. (確かに承りました)

まとめ

「わかりました」は丁寧語なのでそのまま使用しても失礼になることはありませんが、最上位の尊敬表現ではないためシーンによっては適切でない場合もあります。ビジネスで使う場合、話の内容によっては「かしこまりました・承知しました」などに言い換えましょう。「了解です・了解しました」も「わかりました」と同じ丁寧語として気軽に使う人もいますが、近年では「同等か目下への了承を意味する」との理解も広まっているようです。その時々に応じて、主流となっているルールに従うのが得策でしょう。