「判断」の意味と使い方とは?類語「決断」との違いも例文で解説

「判断」とは「物事の真偽などを見極めて決めること」という意味ですが、「決断」や「断定」などの類語もよく使われるので、その使い分けに迷うことがありませんか。

今回は「判断」の意味と併せて例文を紹介して、「判断がつく」や「判断を仰ぐ」などの言い回し表現や類語、英語表現も解説します。

「判断」の意味とは?

「判断」とは「真偽または善悪などを見極めて決めること」

「判断」とは物事の真偽または善悪などを見極めて、自分の考えとして真か偽か、または善か悪かなどを決めることです。どのように決めるのかは個人差がありますが、一般的には「判断」は物事を正しく理解して、ある一定の基準があればそれに従い判定を下す行為を指します。

占いで「判断」は「吉凶を見分けること」という意味がある

占いで「判断」が使われるときには、吉凶を見分けるという意味になります。吉凶とは縁起の良し悪しのことで、占われる対象の縁起がいいのか悪いのかが問われます。

例文

「姓名判断で吉凶を占う」

論理学で「判断」は「事実の知性的な断定」を意味

論理学で使われる「判断」にはある事実を断定することという意味があります。事実の断定とは、二つの事柄を結び付けるときに結びつくならば肯定して、結びつかなければ否定する行為のことです。例えば、本などを通して知識として得たリンゴと、目の前にあるリンゴが結びつき肯定することを「判断」と言います。

論理学にはさらに詳しく「判断」を3つの種類に分けています。

論理学における「判断」の3つの種類
  • 「定言判断」:あることAが別のことBだと言い切れる判断。「AはBである」
  • 「仮言判断」:Aが正しいならBも正しいとする判断。「AならばB」
  • 「選言判断」:Aが選ばれならBも選ばれるという考え方の判断。「AさもなければB」

「判断」の使い方と例文

「判断」を使った例文

  • よく考えて判断しよう。
  • 人は見かけではないから、相手をよく見てから判断する方がいい。
  • 最終的な判断を任された。
  • チームリーダーが悪い判断を下してしまったため、結果は最悪になった。

判断が行われるときには「判断がつく」

判断するときの表現に「判断がつく」があります。今まさに判断をするといったときに使われる表現で、この「…がつく」の「つく」は漢字で「付く」などを当てることができますが、ひらがな表記が一般的です。

「判断がつく」の例文
  • 善悪の判断がつく
  • 私では判断がつきかねるため、上司が代わって対応いたします。

「目上の人の判断を求める」という意味の「判断を仰ぐ」

「判断を仰ぐ」とは目上の人に判断を求めるという意味の表現です。「仰ぐ」には上を向く尊敬するなどの意味がありますが、「判断の仰ぐ」の「仰ぐ」は教えや援助などを求めるという意味で使われています。

「判断を仰ぐ」の例文
  • 上司の判断を仰いでから決定しよう。
  • どうするべきか迷った部下は、判断を仰ぐような目線を向けた。

「判断力」とは「物事を理解して評価する能力」のこと

「判断力」とは物事を正しく理解して、それを評価する能力のことです。判断力が備わることで、状況に応じた判断ができるようになり、長期的な目線で物事を捉えて目標を立てられるようになるといったメリットがあると言われています。

「判断力」を使った例文
  • 彼は判断力があり、物事をシンプルに分析できる。
  • 判断力が優れていると、ビジネスでも有利だ。

「判断しかねる」とは「判断しにくい」という意味

「判断しかねる」とは判断がしにくい、または判断ができないという意味で使われる表現です。「判断しかねる」の「しかねる」は遠回しな言い方で断るときの表現で、漢字では「為兼ねる」と書きます。しかし、ひらがなで「しかねる」または一部漢字を用いて「し兼ねる」と表記されることが多いでしょう。

「判断しかねる」の別表現には「判断いたしかねる」もあります。

「判断しかねる」の例文
  • 現時点では判断しかねますので、一度社内にて検討致します。
  • まだ上司の意見を仰いでおりませんので、判断いたしかねます。

「判断」の類語と例文

「決断」との違いは意志の強さ

「決断」とは意思をはっきりと決めるという意味もありますが、「判断」の類語としての「決断」は善悪を見定めて決めることという意味です。

「判断」と「決断」のどちらも善悪などを見定めて決めるという意味がありますが、両者の違いは「決断」の方が決断をする人の意志がより強く、結論として下される決定に対してよく用いられることです。

「決断」を使った例文
  • 散々迷った挙句、A君の意見を採用することを決断する。
  • 決断をうながされた彼は困り果てた。

「決定」とは「物事をはっきりと定めること」

「決定」とは物事をはっきりと定めることはっきりと定められたことの意味で、不明瞭だったことが一つの決断に至るとき、またはその至った内容を指します。

「判断」との違いは、「判断」はある物事の理解をしたうえで決めることですが、「決定」には物事の理解という点は抜け落ち、単に決めるということに集約されているという点で違います。

「決定」を使った例文
  • コンテストの優勝者を決定する。
  • 現在もなお協議中なので、最終的な決定は下されていません。

「断定」とは「はっきりとした判断を下すこと」

「断定」とははっきりとした判断を下すことという意味で、こうであると決めつける行為だとも言い換えることができるでしょう。「断定」とは「判断」の一種で、判断の中でも特にはっきりと判断された場合に使われる表現です。

「断定」を使った例文
  • 県警はAが犯人として断定を下したそうだ。
  • Aが犯人だと断定していいのか。
  • 県警は断定的な口ぶりだったが、Aを犯人だと決めるにはまだ早い。

「判断」の英語表現とは

「判断」は英語で「judgement」または「decision」

「判断」の英語表現には「judgement」や「decision」などが使えます。「judgement」は判断の他に「審査」や「裁判」という意味があり、「decision」には「決断」や「決定」という意味もあります。

「judgement」の方が「decision」よりもかしこまった表現になるため、日常的に使われる「判断」なら「decision」を使い、日常的に行われる判断の中でも最終決定のようなかしこまった意味合いが含まれるときには「judgement」を使うといいでしょう。

例文
  • The manager was entrusted with the final judgement.
    上司は最終的な判断を任された。
  • He thinks carefully before making a decision.
    彼はよく考えてから判断をする。

「判断する」は「judge」や「decide」

「判断する」は「judgement」の動詞形である「judge」、または「decision」の動詞形である「decide」がよく使われます。「judge」は判断するのほかに、審理する審判するといった意味があります。一方「decide」には「決定する」や「決める」「決心する」という意味があります。

例文
  • You should not judge the person by appearances.
    人を外見で判断してはいけない。
  • She decided that her subordinate was too early to be a manager.
    彼女は彼女の部下がマネージャーになるには早すぎると判断した。

まとめ

「判断」には「判断がつく」や「判断の下す」などの独特な言い回しがあり興味深い言葉です。類語の「決断」や「断定」などは「判断」と意味が似通っている上によく使われる言葉でもあるので、それぞれの意味をよく理解して状況に合わせた正しい使い方をしましょう。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。