「敬遠」の意味とは?語源・類語や野球用語としての使い方を解説

「敬遠」は野球用語でよく使用され、スコアブックにもフォアボールと分けて記入されます。また、一般的な文章にも見られます。漢字の意味から受けるイメージとは違う使い方をされるので、意味をしっかり確認しましょう。更に「嫌煙」「倦厭」との違いもご説明します。

「敬遠」の意味

「敬遠」の意味とは「(態度は敬っているが)人や物事を避けること」

「敬遠(けいえん)」の基本的な意味は「人や物事を避けること」です。単純に嫌って避ける様子にも使われますが、主に使われるのは「態度だけは敬っているかのように丁寧だが、実際には関わらないように避けている」場面です。

「敬遠」という文字だけ見ると「敬いながら遠ざける」という印象を受けるかもしれません。しかし、実際には全く敬っていなかったり、敬うふりだけで内心は嫌っていたりする意味を持ちます。

野球用語の「敬遠」は「投手が故意にフォアボールにすること」

野球用語の「敬遠」は、投手が故意にフォアボールにすることを意味します。敬遠するために投げる球を「敬遠球」と呼びます。「故意四球」とするのが正式な呼び方です。

「敬遠」と呼ばれる理由は「強打者との戦いを避ける」ために故意四球をすることが多いからだと考えられます。フォアボールになると打者は無条件で一塁へ進むため、通常は攻撃側に有利なルールです。攻撃側は、ホームランを打てれば少なくとも1点取れますし、出塁している選手が他にいれば2点、3点と獲得できることもあります。

そのため防御側は「この打者はホームランをよく打って危険だから、一塁に行かせて次の打者でアウトを狙おう」と戦術的な理由で「打者を敬遠する」のです。

「敬遠」の語源は中国の古典

「敬遠」の語源は、中国の古典で使われる表現だと言われています。そこでは「神や霊魂などを敬って遠ざかる」という意味で使われています。だんだんと「敬う」意味合いが薄れていって、現在使われる意味に変化したのでしょう。

野球の「敬遠」の場合は、相手を強打者だと認めているとも言えます。「敬って遠ざかる」という本来の意味に近い使い方です。

「敬遠」の使い方と例文

「敬遠」は文章で使われることが多い

「敬遠」はどちらかと言うと会話ではなく文章で使われます。ややかしこまった単語であるためです。ただし、野球用語として使う場合は、会話でも自然に使われます。

例文
  • 昨日の敬遠球は興ざめだったな。勝負してほしかったよ。
  • 敬遠も立派な戦術だぞ。

「敬遠する(される)」は人や物事と関わらないようにする際に使用する

「敬遠する」「敬遠される」は、人や物事と関わらないように避ける様子を表現する際に使用されます。表向きは敬っている場合にも、明らかに嫌って避けている場合にも使用できるため、前後の文脈から判断しましょう。

例文
  • 納豆を敬遠する外国人は多いと聞いている。
  • 部長は言うことがころころ変わるため、職場のみんなから敬遠されている。
  • 以前の災害のせいで〇〇県は観光客から敬遠されている。

「敬遠する」は相手に配慮しながら断る様子にも使われる

相手に配慮して断ったり、丁寧に辞退したりする様子の表現に「敬遠」を使うことが可能です。直接、断る際の文言としてはあまり使わず、第三者が様子を文章に残す場合などに使われます。

例文
彼は「私では力不足ですので……」と、新しい仕事を敬遠した。

「申告敬遠」とは申告すればフォアボールしたことになる野球の制度

「申告敬遠」は野球用語です。通常の敬遠はボールを投げる必要がありますが、申告することでボールを投げずにフォアボールしたのと同じ処理が行われます。

日本のプロ野球では2018年から採用されました。試合時間が短くなる、投手の体力が温存できるなどの利点があります。しかし「敬遠球を強引に打ってホームランにする」ようなドラマチックな展開がなくなることから、残念に思う野球ファンもいるようです。

「敬遠」の類語

「敬遠」の類語は「忌避」「回避」

「敬遠」の類語は「忌避」「回避」です。

【忌避(きひ)】 人や物事を嫌い、避けること。自分に責任があることや義務を避けること。
例文:課長は、会議への出席を忌避している。

【回避(かいひ)】 不都合な事態や物事を避けること。
例文:最悪の事態は回避できた。

「回避」には「物にぶつからないように避ける」という意味もあります。「飛んできたボールを回避する」のように使います。「敬遠」や「忌避」にはない意味合いです。

「嫌煙」「倦厭」は音が似ているだけで無関係

「嫌煙」や「倦厭」は、発音が似ているので「敬遠」の類語だと思うかもしれません。しかし、実際には無関係の言葉になります。意味も違うため、誤用しないよう注意しましょう。

【嫌煙(けんえん)】 他人のタバコの煙を嫌って避けること。
例文:私はヘビースモーカーなので、嫌煙家の彼とは相性が悪い。

【倦厭(けんえん)】 同じことが続いたため、飽きて嫌に思うこと。
例文:基礎練習ばかり繰り返しているので、みんな倦厭している。

まとめ

「敬遠」は「人や物事を避ける」という意味です。表向きは丁寧な態度をとる場合にも、あからさまに嫌がる場合にも使用されます。野球用語としては、故意にフォアボールをすることを意味します。

野球用語のイメージが強い言葉ではありますが、微妙なニュアンスが伝えられますのでぜひ文章に活用してみてください。

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「いず あむ」と読みます。 一般事務、営業事務としてビジネスメールを送信する機会が多くありました。複雑な事柄でも、分かりやすく説明することを目標としております。