「後援」の意味や使い方は?類語や「協賛・共催」との違いを解説

イベントや映画のクレジットで「後援」として企業や自治体の名前を見ることがあります。他に協賛や共催などもありますが、それぞれの正しい意味合いは案外知らない人も多いのではないでしょうか。

この記事では「後援」の意味や使い方、メリットや依頼について解説。類語・対義語や英語表現についても紹介します。

「後援」の意味とは?

「後援」の意味は「活動の応援や支援をすること」

「後援」とは、物事などの後ろ盾となって援助することです。興行やイベントにおいては、その活動に賛同して応援や支援をすること、または応援や支援をする人や団体のことをさします。社会的信用のある大きな企業や自治体など、公共性の高い団体が行うケースが多いです。

また、イベントなどのクレジットに「後援」として名前がある企業については、名義の使用だけで特に金銭などの提供をしていない場合もあります。政府機関や自治体などが援助は行わず、お墨付きのようなニュアンスで後援として名義使用を認めている場合もあります。

「後援」には「後方に控える援軍」の意味もある

「後援」にはもうひとつ、後方に控える援軍という意味もあります。戦に出ていく兵の後方で控えて待ち、劣勢になったり加勢が必要になったりした場合に、援軍としてかけつける兵のことです。

「後援」を使った例文

  • 今回のイベントは開催地の自治体が後援しています。
  • 大企業から後援への名義使用の許可を得た。
  • 応援する歌手の後援会に入ったら、チケットの割引が受けられました。

「後援」にはどんなメリットがある?

「後援」することでイメージアップにつながる

企業や団体が賛同する興行の「後援」を表明すると、その興行の趣旨や内容によってはイメージアップにつながることがあります。開催告知のポスターなどに「後援」として団体名を入れることで知名度がアップするなど、広報活動にもつながります。

また、社会的信用のある大きな企業や自治体などに「後援」となってもらうことは、そのイベントの信用性が上がるため興行を行う主催者側にとっても大きなメリットです。イベントの告知ポスターなどを「後援」企業や自治体で掲示してもらえるなど、広報の協力を得やすいこともメリットのひとつ。また、他団体との関係や交流が生まれる可能性もあります。

「後援」は依頼することもできる

多くの企業や自治体などでは、後援の名義使用の依頼を受け付けています。ホームページなどで指定様式の申請書がダウンロードできる場合もあるため、事前に確認が必要です。イベントの主催者側は、企業や自治体などに「後援」の名義使用を依頼しイベントの趣旨や目的に賛同してもらうことで、後援としてクレジットに名義を使用します。

「後援会」はファンクラブのような団体

「後援会(こうえんかい)」とは、ある団体や人物の活動を応援し支持する人が集まった団体のことです。一般的には資金の援助や協力を行い後ろ盾となる団体をさしますが、純粋に応援を行う芸能人や有名人などのファンクラブ的団体を後援会と呼んでいる場合もあります。

「後援」と「協賛・共催・協力」との違い

「協賛」は「趣旨に賛同し協力すること」

「協賛(きょうさん)」とは、イベントや興行の趣旨に賛同して協力をすることです。「協」には「力をあわせる」などの意味が、「賛」には「たすける」という意味があります。ドラマや映画などでは、金銭的な援助や商品の提供などを行う代わりにクレジットに会社が入ることで宣伝になります。

「共催」は「運営を共同で行うこと」

「共催(きょうさい)」とは、イベントや興行の運営を共同で行うという意味で、その中心になる団体などもさします。「共」は「仲間」や「いっしょに」という意味があり、「催」は「もよおし」や「会をひらく」という意味です。複数の団体または個人が、共同でイベントや興行などの催しを開催運営する場合に「A社とB社の共催です」などと表現します。

「協力」は「物品や場所の提供などを行うこと」

「協力(きょうりょく)」とは、皆で力を合わせて目標を達成すること。イベントや興行においては、場所や物の貸し出しを行ったり金銭の提供を行ったりする団体や個人をさします。

映画やドラマなどでは、撮影のために店舗を貸し出したり撮影の小物を提供したりする企業や店舗などの名前を、「協力」としてクレジットに記載します。

「後援」の類語・対義語は?

類語「後ろ盾」は「かげながら援助や支援を行うこと」

「後ろ盾(うしろだて)」とは、後方から後押しをしたり援助を行ったりすること。また、そのような援助を行う人のこともさしています。かげながら協力をする団体や個人がいることを「彼女には大きな後ろ盾がついている」などと表現します。

類語「支援」は「物品の提供などを行うこと」

「支援(しえん)」とは、力を貸して相手を助けたり支えたりすること。金銭を提供したり労力や物品を提供したりして、イベントや興行などの物事が進むよう手助けをすることをさします。クレジットには「協賛」や「後援」として記載される場合も多く、「後援」とほぼ同じ意味合いです。しかし、「後援」の場合は名義使用のみで金銭や物品の提供などはしていない場合も含まれます。

対義語「主催」は「イベントなどを開催する中心のこと」

「主催(しゅさい)」とは、イベントや興行の中心となって行事を行うことです。そのイベントや興行を開催し管理する団体または個人を「主催者」とも呼び、企画者であり責任者でもあります。「後援」は支援や援助を行いますが、「主催」はその支援や援助を受ける側です。

「後援」の英語表現は?

「後援」の英語表現は「sponsored」「support」

イベントや演奏会などの興行においての「後援」には、「sponsored by」や「supported by」を使うのが一般的です。「sponsored by」の場合は金銭や物品の提供などを行っているというニュアンスもあります。支援や協力といったイメージなら「supported by」の方が当てはまります。

まとめ

「後援」とは、イベントや興行などの後ろ盾となって支援や援助を行うことです。社会的信用のある大きな企業や自治体などをさすことが多く、金銭や物品の提供はなく名義のみの使用の場合も多いでしょう。

「後援」することは、企業や団体のイメージアップや広報活動のひとつにつながります。また、社会的信用のある大企業や自治体に「後援」してもらうことで、そのイベントの信用性が上がるため主催側に大きなメリットです。