「生活保護費」の金額はいくら?計算方法や内訳・加算金も解説

不安定な雇用の拡大を背景に、生活保護制度について知りたいと思う人が増えているようです。この記事では、生活保護費に焦点をあて、保護費の原則や計算方法、扶助の種類や各種加算を解説します。

社会保障の中で最後のセーフティネットである生活保護の基礎と仕組みをおさえておきましょう。

「生活保護費」の金額はいくら?計算方法を解説

「生活保護費」の受給額は「最低生活費」から「その世帯の収入」を引いた額

前に紹介した生活保護法の規定からは、生活保護費は健康で文化的な最低限度の生活水準を維持できる金額として国(厚生労働大臣)が定めるものであり、その世帯の努力による金銭収入や物品で満たすことのできない不足分を補うものであることがわかりました。

最低限度の生活が維持できる費用を「最低生活費」と呼びます。「最低生活費」は、要保護者の年齢や世帯構成、居住する地域ごとに設定された基準によって計算されます。

生活保護費の考え方

「生活保護費」=「最低生活費」-「その世帯の収入」

「生活保護費」の内訳は「生活扶助」+「各種扶助」+「各種加算」

「生活保護費」は、その世帯の状況に応じた各種の扶助や加算を組み合わせた金額です。主たる扶助は「生活扶助」で、生活扶助には寒冷地では「冬季加算」があり、さらに状況に応じて障害者加算や児童養育加算などの各種加算があります。

加えて教育扶助や住宅扶助などさまざまな種類の扶助も支給されます。各種扶助・加算は金銭給付と現物給付があります。生活保護費(金銭給付)の内訳は次のようになります。

生活保護費(金銭給付)の内訳

「生活保護費」=「生活扶助」+「各種扶助」+「各種加算」

つまり、最低生活費は、世帯の個別の状況によって変動するものです。参考例として、平成30年における3人家族(33歳、29歳、4歳)の生活保護費(児童養育加算を含む生活扶助)は、東京都で約15万円、地方部で約13万円です。賃貸住宅に住んでいる場合は住宅扶助が上限以内で加算されます。

※算出方法は厚生労働省の資料「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法」参照

「生活保護費」の受給額/支給額はどのように決まるのか

生活保護制度において受給できる生活保護費は、生活保護法に規定された「最低生活保障の原理」と「基準及び程度の原則」に基づき、厚生労働大臣が決定します。

制度の概要をまとめると、生活保護は困窮して生活ができない世帯に対して、最低限度の生活が維持できる費用(最低生活費)を国が支給する仕組みです。

その際、世帯が得ている収入がある場合は、その差額を支給します。生活保護は世帯単位が原則です。原理・原則は次の通りです。

最低生活保障の原理(生活保護法第3条)

この法律で保障される最低限度の生活は健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。

最低生活保障の基準及び程度の原則(生活保護法第8条)

保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。

前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない。

「生活保護費」の”8つの扶助”と各種加算

生活保護費には、その費用の性格によって分類された8種類の扶助があり、生活扶助に加えて必要な扶助が支給されます。

組み合わせて支給する「8種類の扶助」

扶助ごとの内容と給付方法は次の通りです。

  1. 生活扶助

    食費や被服などの個人単位の生活費と、世帯全体として支出される光熱費や家具などの経費
    世帯人数別、居住地別に計算され、世帯員が多くなるほど額は大きくなる
    原則として金銭給付
    ※寒冷地ではその地域ごとに決められた「冬季加算」を加算

  2. 教育扶助

    義務教育の就学に必要な費用(教科書、通学用品、給食、交通費など)
    ※高等学校の就学に必要な費用は「生業扶助」で対応
    通常は生活扶助とあわせて金銭給付

  3. 住宅扶助

    住宅の確保(家賃、地代)、補修など住宅の維持に必要な費用
    通常は生活扶助とあわせて金銭給付

  4. 医療扶助

    病気やけがなどにより治療や入院が必要となった場合に行う給付
    指定医療機関で治療等を行う現物給付

  5. 介護扶助

    要介護状態または要支援状態にある65歳以上の者、または要支援状態にある40歳以上65歳未満の者が介護サービスを受ける際に給付
    指定介護機関で行う介護サービスの現物給付

  6. 出産扶助

    出産、入院に要する必要最小限度の額
    原則として金銭給付

  7. 生業扶助

    稼働能力を助長することによって自立を図ることを目的として給付
    生業費、技能習得費、就職支度費がある
    原則として金銭給付

  8. 葬祭扶助

    火葬・葬祭に最低限必要なものにかかる費用を一定の範囲内で給付
    原則として金銭給付、必要な場合は現物給付

扶助に加算される「各種加算」

世帯の個別的な事情により、8つの加算が加算されて支給されます。

8つの加算

母子加算 妊産婦加算 児童養育加算 障害者加算 介護保険料加算
介護施設入所者加算 在宅患者加算 放射線障害者加算

主な加算の内容は次の通りです。

  • 母子加算
    ひとり親世帯、あるいは両親にかわって父母以外の人が児童を養育する場合の需要に対して居住地に応じた額を加算
  • 妊産婦加算
    妊娠中および出産してから6か月間加算
  • 児童養育加算
    児童(18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)の学校外活動費用に該当する額を加算
  • 障害者加算
    身体障害者福祉法による障害等級が1級から3級に該当する人、および国民年金障害者基礎年金の1級・2級に該当する人に対して加算

まとめ

健康で文化的な最低限度の生活を送るための「最低生活費」が生活保護では支給されます。その額とは、被保護者があらゆる努力をしても満たすことのできない不足分を補うものであり、あわせて「最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであり、かつこれをこえないもの」と定義されています。

最低生活費は、世帯構成(年齢、人数)や居住地などによって定められた計算基準から算出され、加えて必要に応じてさまざまな扶助や各種加算が行われます。

いわば生活保護費はその世帯ごとのオーダーメードであると言え、またその状況に応じて変動してゆくものです。被保護者の最低限の生活を保障するものであるため、紹介したようにきめ細かな種類の扶助が用意されています。

さらにまた、生活保護に至る前に早期の支援を行う「生活困窮者自立支援制度」も平成27年から開始されており、就労支援や家賃支援などを受けることができます。これらの制度は本人が申請しなければ利用することができないため、社会保障制度について日頃から関心を持って情報を得ておくことも大切です。