「還る」の意味と読み方は?「帰る」「返る」との違い・類語も解説

「還る」とは「かえる」と読むのですが、あまり見慣れない漢字だと思われませんか。「還る」は常用漢字外なのでひらがなで表記されることが多いからです。

今回は「還る」の意味と読み方に加えて、同じ読み方をする「帰る」と「返る」との違いを解説します。また「還」を使った熟語や漢文、類語の他に英語表現も紹介します。

「還る」の意味と読み方とは?

「還る」の意味は「元の場所にもどる」

「還る(かえる)」とは元の場所に戻る元の状態に戻るという意味があり、いろいろな経過を経て元のところに戻ってくるという意味合いが含まれています。

「還る」には本来、円を描いて元へ戻る、または一度去った場所に戻るという意味があるため、「還る」は戻ってくるというプロセスが暗に焦点が当てられるときに用いられることがあります。「土に還る」が一例で、「土に還る」は亡くなって埋葬するという意味ですが、その意味の裏に人の一生において、さまざまな経緯を経て物質が有機化されて土へと戻っていくという一生というプロセスに重点が置かれるときに使われる表現です。

また「還る」には振り返る元の場所や所有者に返すという意味もあります。

「還る」は「かえる」と読む

「還る」は「かえる」と読みますが、常用外漢字のため読みにくい漢字のひとつでしょう。そのため「かえる」は「還る」よりも「帰る」という表記されることが一般的です。

「還る」を使った例文

  • 「無事に還ってきた子供を見てほっとした」
  • 「捕まえた虫を自然に還そう」
  • 「故郷を離れた息子が数年ぶりに往き還る(ゆきかえる)」

「還る」と「帰る」「返る」との違い

「帰る」の意味は「元いた場所に戻る」

「帰る(かえる)」とは元いた場所に戻るという意味で、「還る」と同じ意味の常用漢字での表記になります。「家に帰る」や「故郷へ帰る」など元いた場所や住んでいた場所に戻るという意味で使われます。

「帰る」と「還る」の違いは、「帰る」は人に対してのみ使われる言葉ですが、「還る」は人以外にも使えるという点、また「帰る」には今いるところを去るという意味もあることです。「お客さんがお帰りになる」のように使われて、今いる場所を去って元の場所に戻るという状況で使われます。

「帰る」の例文
  • 妻が出産のために実家に帰った。
  • お腹が空いたから家へ帰ろう。

「返る」の意味は「ひっくりかえる」や「元に戻る」

「返る(かえる)」には物の表と裏、または上と下など向きや位置が正反対になるという意味があります。「裏返る」や「ひっくり返る」という表現と置き換えられます。

そのほかの意味には変化したものが元の状態に戻る手放したものが戻ってくる相手の反応が戻ってくるといった意味があり、共通していることは元に戻るという意味合いが含まれていることです。

「還る」では場所に限定して使われるに対して、「返る」には物の向きや位置、状態の変化において使われるという違いがあります。

「返る」の例文
  • コインがひっくり返る。
  • 失くした財布が返ってくる。
  • 頬を叩かれて我に返った。

「還る」を使った熟語・漢文

「還」を使った熟語には「奪還」「帰還」「生還」など

「還」を使った熟語はたくさんありますが、「奪還(だっかん)」「帰還(きかん)」「生還(せいかん)」など「還る」の意味が反映した言葉になっています。「奪還」は奪われたものを取り戻すことという意味であり、「帰還」は遠くから帰ってくるという意味で「帰還兵」などのように使われています。「生還」は危険な状態から生きて帰ってくるという意味と、野球では走者が本塁に帰ってくるという意味もあります。

「還」を使った他の熟語

召喚(しょうかん)、返還(へんかん)、送還(そうかん)、還付(かんぷ)、還元(かんげん)など。

漢文「錦を衣て郷に還る」とは「出世して故郷に帰ること」

「錦を衣て郷に還る(にしきをきてきょうにかえる)」とは出世して故郷へ帰るという意味です。「錦」とは金や銀の豪華な意図を織り込んだ織物のことで、主に絹織物を指します。その織物で仕立てられた衣服を着ているということは、それほどの衣服が着られるほどに出世したと考えられます。また「錦を衣て郷に還る」は「衣還錦郷(いかんきんしょう)」という四字熟語にもなっています。

「錦を衣て郷に還る」は中国の南北朝時代(439年~589年)の南朝について書かれた歴史書『南史(なんし)』が出典で、読むときは「衣て」を「きて」と読むことに注意しましょう。

「還る」の類語

「戻る」や「帰る」で「元の場所に戻る」という意味

元の場所に戻るという意味の「還る」の類語には「戻る」や「帰る」があります。「戻る」は場所の移動に加えて、移動した場所の環境などの影響を受けることがありますが、「帰る」には元の場所に本来所属していたところという意味があるため、まだ行ったことがない場所でもその場所が本拠となるならば「帰る」が使えるという違いがあります。

例文
  • 会社に戻ったら誰もいなかったので驚いた。
  • 初めて祖国に帰ることになった。

「戻す」は「元の場所や状態に返す」という意味

「還る」の元の場所や状態に返すという意味の類語には「戻す」があります。ただ「戻す」には逆の方向に返すなどの「還る」の類語としての意味以外の意味もあるため、文脈により「還る」の類語かどうかの判断が必要です。

「戻す」の例文
  • (「還る」の類語としての例文)借りていた本を戻す。
  • (「還る」の類語ではない例文)時計の針を戻す。

「還る」の英語表現

「還る」は英語で「return」

「元の場所に戻る」という意味の「還る」なら、英語で「return」が相応しいでしょう。ただ「return」には仕事や活動に戻るという意味もあり、具体的な場所に戻るという意味以外でも使われる多様性のある言葉です。

「return」の例文

“He returned alive.”
「彼は生きて還った(生還した)」

まとめ

「還る」とは元の場所に戻るなどの意味がありますが、常用漢字ではないので「帰る」と表記するかひらがなで表記する方が一般的です。あまり使われないため読みにくい漢字ですが使っていけないわけではありません。「還る」を使う場合には、意図的に「還る」を使うという意識を持って使うといいでしょう。