「不退転」という言葉はどのような意味で使われているかをご存知ですか?政治家や力士の間ではお馴染みの言葉であり、口にしている様子をテレビなどで見かけますが、ビジネスで用いられることもあります。
そこで今回はこの「不退転」の意味を理解して正しく使えるよう解説していきたいと思います。
「不退転」とは?
正しい使い方の前にまずは「不退転」の意味と語源から説明していきます。
不退転の意味は「決して諦めない様子」
「不退転」の意味は、「決して諦めない様子」です。後ろに退いたり何かに屈することはない様子を意味する言葉です。読み方は「ふたいてん」です。
不退転は仏教用語
不退転の語源は仏教用語であり、現在使われている不退転とは意味が少々異なります。仏教用語では、努力を惜しまず修行をすれば不退転の境地に至れるという意味で使われていました。逆に、修行をせずに悪行を行うことを「退転」と言います。
仏教の「不退転」は幸福を意味する
仏教では、不退転の境地に至れるよう頑張って修行に励むのですが、そもそも、なぜ不退転の境地に至りたいのでしょうか。
それは、仏教の不退転は幸福を意味するからです。不退転の境地に至るということは、例えどのようなことがあっても、自分の命が危険に晒されたとしても揺るぎない幸福なのです。
「不退転」を使った3つの表現
「不退転」は単体で使うのではなく「不退転」+「の〇〇」といった形で使われます。ここでは3つの「不退転」の使い方について説明しましょう。
「不退転の覚悟」の意味
「不退転の覚悟」とは、例えどのようなことがあっても決して諦めることなく前に進み続けるという心構えで物事に取り組むということです。
「不退転の決意」の意味
不退転の決意とは、例えどのようなことがあっても決して諦めることなく前に進み続けると決心をすることです。
「不退転の意思」の意味
不退転の意思とは、例えどのようなことがあっても決して諦めることなく前に進み続けるという心構えを意味します。
「不退転」の類語
不退転という言葉を使ったことがなくても類語であればほとんどの方が一度は口にしたことがあるのではないでしょうか。例えば、「強い意志」「固い意志」「負けない」「諦めない」「屈しない」「くじけない」などが不退転の類語となります。
ここでは不退転の類語となる四字熟語に注目してみましょう。
類語①「七転八起」の意味
「七転八起(ななころびやおき・しちてんはっき)」という四字熟語も不退転の類語となります。七転八起とは、何度失敗しても諦めずに都度起き上がり、努力することをやめないという意味があります。
類語②「不撓不屈」の意味
「不撓不屈(ふとうふくつ)」とは、強い意志をもってどんなに辛くてもくじけないという意味があります。この言葉は貴ノ花が横綱昇進の口上で述べたことから聞いたことがあるという方も多いかもしれません。
類語③「勇猛果敢」の意味
「勇猛果敢(ゆうもうかかん)」とは、勇ましく決断力をもって前に突き進んでいくという意味があります。勇猛果敢は他人が自分を評価するときに使う言葉となりますので、自分をアピールするときには使いません。
ちなみに、「勇猛果敢」と「猪突猛進(ちょとつもうしん)」は前に突き進むという点で意味が似ていることから類義語であると認識している方もいるのですが、猪突猛進はただやみくもに突き進むだけなので、勇猛果敢の類義語であるとはいえず、不退転の類義語でもありません。
「不退転」を使った例文
ビジネスで使える例文3選
不退転の意味を理解したところで、次に気になるのが具体的な言い回しでしょう。ビジネスで使える不退転を使った例文を3つご紹介します。
- 不退転の覚悟で新規事業に挑む
- 不退転の決意をもって仕事に臨みます
- あなたは不退転の意思があるから安心して仕事を任せることができる
「不退転」を使う際の注意点
不退転の意味や使い方を理解するとビジネスで用いられるというのも納得でしょう。しかし、気軽に使っても良い言葉ではなく使用する際には注意が必要となります。
安易に使うと信用を失うことになる
「不退転」は「絶対に諦めない」「決して後ろには退かない」というとても強い言葉です。そのため、不退転の覚悟を相手に伝えたのに挫折をしてしまうようなことがあれば、相手に嘘をついたと捉えられかねません。
「不退転」は自分の熱意を相手に伝えるのに便利な言葉ではありますが、簡単に相手の信用を失ってしまう恐れのある言葉なので、やり遂げられる自信がない場合は使わないように注意をしましょう。
まとめ
「不退転」はビジネスで用いられることがあるといってもそう頻繁に使われる言葉ではありませんので、その意味を調べるに至らなかったという方もいるかもしれません。
しかし、「不退転」をここぞというタイミングで正しく使うことができれば、相手に良いアピールになりますので、これを機に「絶対に諦めない」という決意を相手に伝えたいときには「不退転」を使ってみましょう。