「~なのであしからず。」で終わるメールをもらって、なんだか気になった経験はありませんか?本来「あしからず」とはどのように使うべき言葉なのでしょうか?
今回は、相手に不快感を与えることのないように「あしからず」の正しい使い方や、類語や言い換え方などを紹介します。
「あしからず」の意味や語源は?
「あしからず」の正しい意味と、基本的な使い方について説明します。
意味は「どうか悪くとらないで」
「あしからず」の意味は、「どうか悪くとらないでほしい」です。「あしからず」は「悪しからず」とも書き、事情を説明した上で、その気持ちを表す言葉です。
「あしからず」は副詞であるため、修飾する言葉が必要です。例えば「応募者が多数の場合は抽選となりますので、あしからずご了承ください」などと用います。
「あしからず」の語源は「悪くないように」
「あしからず」の語源は古語の「悪しくあらず」で「悪くないように」とされています。「悪しからず思ってください = 悪くないように思ってください」というように使われていました。
ビジネスシーンなどでの使い方
「あしからず」の使い方を例文を用いて説明します。
あしからずご了承ください
頻出する言い回しのひとつに「あしからずご了承ください」があります。「了承」とは「相手の事情などを納得して承知する」という意味です。
つまり「あしからずご了承ください」は「こういった事情ですが、どうか悪くとらないでいただき、納得して承知してください」という意味になります。
- 雨天の場合は予告なく中止となる場合がありますので、あしからずご了承ください。
- 個別のご連絡はしておりませんので、あしからずご了承くださいませ。
あしからずご容赦ください
「ご容赦ください」と言うこともできます。「容赦」とは、「相手の失敗や過ちなどを赦すこと」「大目にみること」という意味です。つまり「あしからずご容赦ください」は「こういった事情ですが、どうか悪くとらないでいただき、大目にみてください」という意味になります。
「ご容赦ください」は「お許しください」という意味のため、「承知してください」とは意味合いが異なります。承諾を得たい事情によって使い分けます。
- 輸入品のため、箱に汚れがある場合がありますが、あしからずご容赦ください。
- 在庫が不足しているため、お届けに1カ月かかる見込みです。あしからずご容赦くださいませ。
「あしからず」を文末に使うのは失礼
「~なのであしからず。」で終わってしまうと、一方的にこちらの事情だけを述べて終わりというような、上から目線の言い方になってしまいます。
「あしからず」を使う時は、相手にとってなんらかの不都合な事情が生じると考慮するシーンが多いです。つまり許可がほしい、または赦してほしいという状況であるため、文末は「ご了承ください」など、お願いの表現を入れるのが適切です。
さらに丁寧に言う場合は「あしからずご了承のほど、よろしくお願いいたします。」というように、「~のほど」のようなクッション言葉を入れたり、「よろしくお願いいたします」とお願いする言葉を入れたりするのがよいでしょう。
「あしからず」をビジネスメールで使う時は、相手に失礼な印象を与えないように配慮することが大切です。
「あしからず」の類語と言い換え
「あしからず」は相手の意見を聞いたり、話し合うことなく、一方的にこちらの事情を伝える時に便利に使える言葉です。そのため、相手との関係性や状況によっては「あしからず」を使わない方がよい場合もあります。
「あしからず」と同じ表現ができる類語と例文を紹介します。
類語①申し訳ございませんが
在庫が不足しているため、お届けに1カ月かかる見込みです。大変申し訳ございませんが、ご容赦くださいますようお願いいたします。
類語②恐縮でございますが
在庫が不足しているため、お届けに1カ月かかる見込みです。誠に恐縮でございますが、ご容赦くださいますようお願いいたします。
類語③何卒/どうか
在庫が不足しているため、お届けに1カ月かかる見込みです。何卒ご容赦くださいますようお願いいたします。
まとめ
「あしからず」はこちらの事情を相手に伝える時に、「どうか悪くとらないで」という意味を伝えるための表現です。相手の意見を聞いたり、話し合ったりせずに一方的にこちらの事情を伝えることになるので、ビジネスシーンでは配慮が必要な言葉です。
言葉の意味を知ることにより、その言葉を使うのに適さない状況を判断することができます。知らないうちに相手に不快な思いをさせてしまうことのないよう、心掛けたいものです。