女性のように見える男性、逆に男性のように見える女性をジェンダーレスな男性や女性と言いますが、ここで使われている「ジェンダー」とは詳しくはどのような意味なのでしょうか。
今回は「ジェンダー」の概念や具体例に併せて、ジェンダーレスとジェンダーフリーの違いの他にジェンダーアビールケーキなどの用語も解説します。
「ジェンダー」の概念と例とは?
「ジェンダー」とは「社会的・文化的な性別の違い」のこと
「ジェンダー」とは、社会的または文化的な観点から見た性別の違いという意味です。生物学的な性別の違いでは「セックス」という言葉が使われます。
ジェンダー問題は80年代以降生まれた社会的な関心事
男性は働き女性は家庭を守るといった伝統的な性別による役割が80年代以降、問題視されて、雇用における男女差別をしないことや、政界への女性進出など性差を超えて対等な立場として男性と女性を見ようする社会的な傾向が生まれました。このような社会的および文化的な性別による不平等・平等に関する一連の問題は、ジェンダー問題として扱われています。
ジェンダー問題の具体例
ここでは、ジェンダー問題として考えられる具体例の一部を紹介します。
- 女性だからとお茶汲みをさせる会社。
- 夫婦間では男性が働き、家事をしなくてもいいという考え方。
- 育児は母親がするものだという考え方。
- 女の子とはピンク、男の子は青という色分け。
- 男の子には男らしく振る舞うように指導し、女の子には女らしく行儀に気を付けさせる、など。
ジェンダーレスとジェンダーフリーとの違いとは?
「ジェンダーレス」とは男女の区別がなくそうとする考え方
「ジェンダーレス」とは男女の区別がない状態を指し、社会的または文化的な性別による差別をなくそうとする考え方でもあります。
このジェンダーレスの考え方は2010年代に入って流行したジェンダーレスファッションに根づいています。男性らしいファッションや女性らしいファッションといった従来の性別で分けられたファッションから脱却して、性別差のない中世的なファッションが生まれました。女性が男性らしいファッション傾向やファッションアイテムを取り入れることもあれば、その逆なども一例です。
「ジェンダーレス男子」の中性的な魅力に注目が集まる
ジェンダーレスファッションの流れに乗って近頃注目されているのが「ジェンダーレス男子」です。男性でありながらフェミニンな装いをする男性や、一見では男性か女性なのかがわかりにくいおしゃれな男性のことを指します。また、中世的な見た目をした男性のことを「ジェンダーレス男子」と呼ぶこともあります。モデルやタレント、女性向け漫画などでもジェンダーレス男子が描かれています。
「ジェンダーフリー」とは男女差なく平等になろうとする考え方
「ジェンダーフリー」とは、伝統的な性別の違いによって割り当てられた役割にこだわらず、個々が平等で、公平に行動しようとする考え方のことです。男性は外に働きに出て、女性は家事をするといった一般社会のステレオタイプ的な考えに対抗する考え方です。
「ジェンダーフリー」は日本では90年代の半ばから広がった考え方で、学校などの教育現場で取り入れられていきました。例として、制服をスカートとズボンのどちらかを選択できる、性別を限定しないトイレなどが挙げられます。
「ジェンダーレス」との違いは、「ジェンダーレス」は性別の差を超えた中世的な状態を目指すのに対して、「ジェンダーレス」では社会での性別における男女差をなくそうとする点です。
「ジェンダーフリー」の同義語「ジェンダーニュートラル」
「ジェンダーニュートラル」は「ジェンダーフリー」の同義語として考えられます。性別という意味の「ジェンダー(gender)」と中立を意味する「ニュートラル(neutral)」から成り立っています。
「ジェンダー」を使った用語
「ジェンダーリビールケーキ」とは性別発表に使うケーキのこと
「ジェンダーリビールケーキ(gender reveal cake)」とは性別を明らかにするケーキという意味で、このケーキは妊娠中に赤ちゃんの性別発表を行うパーティ「ジェンダーリビールパーティ」で使われます。
ケーキの見た目からは赤ちゃんの性別はわからないのですが、ケーキを切るとスポンジやクリームの色などから赤ちゃんの性別がわかる仕掛けになっています。性別の違いは、青が男の子、ピンクが女の子としているのが一般的です。
「ジェンダーギャップ指数」とは男女格差を表す指数のこと
ジェンダーギャップ指数(GGI)とは、WEFが毎年公表している男女格差を表す指数のことで、経済活動や政治への参画度、教育水準、健康分野など項目別に男女の違いにより生じる格差を数値によって表しています。数値が「1」なら男女格差がなく、「0」だと男女格差があることを示しています。
WEFとは世界経済フォーラム(World Economic Forum)の略語で、非営利の国際機関です。通称「ダボス会議」とも呼ばれ、世界中の経営者や政治家、学者などがグローバルな視点に立って世界情勢について年の初めにスイスのダボスで話し合われます。
2019年12月に公表された『ジェンダーギャップ指数2020』では、日本は149か国中121位でかなり男女格差がある国とみなされています。特に経済と政治活動の面で男女間の不平等が大きいという結果になっています。
まとめ
「ジェンダー」とは社会的および文化的な性差のことで、男女不平等が取り沙汰されるときによく聞かれる言葉です。現代日本でジェンダーに注目される機会が多いですが、その理由は性別の違いではなく個性に重点を置こうという考え方が広がっていることが挙げられます。