「共鳴」の意味とは?物理や化学での使い方や例文、類語も解説

「共鳴(きょうめい)」は、他人の行動や思考などに対して同感するさまを表す言葉です。実際には物理や化学分野で使われる専門用語でもあり、ビジネスシーンでは販促における重要な戦略として用いられます。

ここでは「共鳴」の意味をはじめ、類語などを含めてご紹介します。

「共鳴」の意味とは?

「共鳴」の意味は”他人の行動や思考に共感する”

「共鳴」の意味は、“他人の行動や思考などに心から共感する様子”です。他人が持つ物事への考え方や活動を理解し、真から賛成するさまを表します。

「共鳴」とは、純粋に”良いと思う・賛成する”というニュアンスではなく、他人の考えや行いについて心を通わせ、気持ちがピッタリと合うような様子を表します。心が結ばれ通い合う状態、人と人とが強く結ばれ気持ちが繋がることを「共鳴」と言います。

「共鳴」の物理的な意味は”一方を鳴らすと他も音を発する”

「共鳴」の物理的な意味は、振動体が固有振動数と同等の外部振動を受け取ると、振動の幅が増す様子”です。これは、音が空気を通ることで、離れている同等の物体にも音を発生させる現象を指します。

つまり、外部から振動数の刺激を受けて、振動の幅を増す仕組みのことを指します。振動数が同じ二つの音叉があり、1つを鳴らすと、もう一つも鳴り始めることを表します。

このように、物理的な観点での意味は少し難しくなりますが、主に「音」が自然振動することを共鳴と呼んでいます。

「共鳴」の化学的な意味は”二つ以上の式をあわせて表す状態”

化学における「共鳴」とは、“エネルギーが示す期待値が2つ以上(複数)の状態で近似に綿形結合をする時のこと”を指します。このような状態を「量子力学的に共鳴している」と表現します。化学分野での「共鳴」の意味は難解になりますが、専門的な環境でない限りほとんど使われないでしょう。

ちなみに化学分野での共鳴は、ドイツの物理学者「ヴェルナー・カール・ハイゼンベルク」が「ヘリウム原子の状態を指す」意図で提唱したものです。

「共鳴」のビジネスでの意味は”顧客がブランドに共感を持つ”

「共鳴」とは、ビジネスに欠かせない販促用語の一つとしても使われます。

ビジネスでの「共鳴」の意味は、顧客に便益のある情報を提供することで得られる「連鎖」を指します。つまり、企業が提供するブランドや商品の価値提案をすることで、顧客が「なるほど、良い商品である」と共感するさまを表します。

商品やサービスを売るためには、顧客に共鳴を求め、心から賛同することが大切です。企業が発信するブランド・コンセプトを顧客に根差すことで、売り上げを伸ばすことが目的ですが、何より顧客へのマインド戦略の一つとして企業が狙う現象の一つでもあります。

「共鳴」の使い方と例文とは?

「共鳴」の一般的な使い方は”他に共感すること”

前述のように、「共鳴」は物理・化学的な意味を含め、複数の意味を持つ言葉です。しかし、日常的な会話では、物理や化学分野における意味で使うことはあまりありません。

たとえば、普段から使用している携帯電話やテレビ、音楽関係で使用するスピーカーなどは物理的な分野で「共鳴」をフルに活用したものです。なかでも、スピーカーの電源を入れた時に「ピー」「キーン」と不快な音を出すのは、共鳴が上手く行っていない証拠となります。

物理的な意味での「共鳴」は、知らず知らずに生活に浸透していると言えます。その他、携帯電話やテレビの音量や音声が人の耳に心地よく伝わるのは、共鳴の原理を賢く応用したものですが、ビジネスを含め一般的な会話では「他に共感すること」という意味で使うことがほとんどとなります。

「共鳴」を使った例文

「共鳴」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 彼女が波乱万丈な人生をこくこくと語った時、なぜか私は心から共鳴した。
  • 国民が共鳴したのは、誠意と熱意にあふれる、一人の政治家の演説であった。
  • 休日も惜しまず仕事をする部長の姿に、部下達はいくぶん共鳴した様子である。
  • 大学の講習で私の考えは変わった。それは教授が研究した論文に共鳴したからであろう。
  • 国の主導者は、国民に新政策への共鳴を求めた。
  • 顧客に共鳴してもらうことで、ブランディングを成功させよう。
  • 共鳴効果を高めるために、口コミや高評価のコメントを多く掲載することにした。

「共鳴」の類語とは?

共鳴の類語①「共振」は”物理的な意味での電気振動・音波”

「共振(きょうしん)」とは、物理的な意味において「共鳴」と言い換えができる言葉です。「共鳴」は音や電気などが振動を伴って他方に伝わる現象を表しますが、この時、電気回路を通じ「電気振動」や「音波」などを専門的に「共振」という言葉で表すことがあります。

「共鳴」の類語”共振”を使った例文

「共鳴」の類語”共振”を使った例文をご紹介しましょう。

  • 外部から与えられた振動が別の物体に伝わり、振動が増大する仕組みで共振である。
  • スマホのスピーカー開発では、共振の原理を最大限に活用されている。

共鳴の類語②「意気投合」は”他人と気持ちがピッタリと合う”

「意気投合(いきとうごう)」とは、他人と気持ちが考え方などがピッタリと一致することを意味します。お互いに気が合い、フィーリングや意見、共通の趣味や趣向がマッチすることを表します。

「共鳴」と「意気投合」と違いとしては、「意気投合」の場合、すでに双方の考えや気持ちが同じで、お互いがそれを言い表すことで同じ感情をシェアするようなことを指します。

一方「共鳴」の場合は、自信の考え方やコンセプト、行動などを示すことで相手の心が動き、次第に共感を得ていくような様子に対して使うことが多いです。

つまり、話をしていくうちに、お互いの共通点を見出し話が弾むような状況が「意気投合」、そして最初は異なる考えを持っていても、最終的に「なるほど、賛同できる」と心が通じ合うような状態が「共鳴」となります。

「共鳴」の類語”意気投合”を使った例文

「共鳴」の類語”意気投合”を使った例文をご紹介しましょう。

  • お互いに初めてのお見合い。最初はギクシャクしたが次第に意気投合していった。
  • 彼と意気投合したのは、テニスとゲームが趣味であったからだ。

まとめ

「共鳴」は物理的・化学的な分野を含め、複数の意味を持ちますが、日常的には「他の考えや活動などに心から賛同し、共感を得るさま」を表す言葉として使われます。

とくにビジネスシーンでは、ブランディングを成功させる秘策として「共鳴」は欠かせません。企業としては顧客にブランド価値を提供し、心から納得して選んでもらうことが狙いとなりますが、現代ではSNSを活用し「共鳴」を広めることが効果的だと言われています。