「光芒」の2つの意味とは?光芒一閃と使い方・類語もあわせて解説

「光芒(こうぼう)」とは、抽象的に光の線を表す時に用いられる言葉です。「光芒一閃(こうぼういっせん)」という四字熟語があるように、主に特別な光の筋を表す時に使われますが、具体的にはどのような光なのでしょうか?ここでは「光芒」の意味や使い方の例文、類語についてご紹介します。

「光芒」の2つの意味とは?

「光芒」の意味①尾を引く光の筋

「光芒」の意味は、“尾を引いている光の筋”のことです。「光芒」は長さの光の筋に対して使われる言葉で、一筋の光や、光の中で最も目立つ部分「ほさき」を表す時に用いられます。

「光芒」は、一般的に太陽系の天体の一種である「彗星」に対して使われます。彗星が空を流れる時、ガス体の尾を引きますが、この際に見られる放物線を描いたように映る「ほうき状」の細長い光の筋のことを「光芒」と呼んでいます。

また「光芒」の「光」は読んで字のごとく”ひかり”のこと、「芒」は”のぎ”と読み、米や稲などの小穂を形成する鱗片にある突起部分を意味します。つまり「光芒」は、光の線にある突起部分、また最も目立つ場所ということになります。

「光芒」の意味②他より優れている部分

「光芒」は“他よりも優れている部分”という意味もあります。ある物事や人を比較した時に、他より抜きんでて輝いているところや箇所を表す時に「光芒」という表現を用います。

これは「光芒」の”尾を引く光の筋・ほさき”、つまり「目立つもの」という意味が転じたもので、「物事や人などが一段と目立っている」というニュアンスで使われます。

「光芒」の使い方の注意点と例文とは?

「光芒」は太陽や電灯の光に対して使わない

「光芒」という言葉を純粋に”光”という意味で、無意識に使っている人もいるでしょう。しかし「光芒」とは、太陽や室内灯などの”一般的な光”を表す言葉ではありません。

「光芒」とは、多くの場合「彗星」が放つ「ほうき状」の光の筋やその穂先を意味します。「光芒」は普通の光とはちょっと異なり”特別に輝く一筋の光”といったニュアンスで理解しておくとベターです。

下記で誤った使い方の例を挙げてみますので確認してみて下さい。

誤用例

x今日は太陽の光芒が眩しい。
xうっすらと電灯の光芒が夜道を照らす。
x窓から月明かりの光芒が入ってくる。

次に正しい「光芒」の使い方をした例文を挙げてみます。

正しい使い方

〇本日、夜空に細長く伸びる光芒を確認した。
〇ニュースでは、今晩、数年に一度の光芒が期待できると大騒ぎだ。
〇ウェブサイトで、美しく夜空に伸びる光芒の写真が公開された。

「光芒」を使って長所や成果をハイライトする

「光芒」には”他より一段と優れているところや部分”という意味があります。そのため、人の長所や優れた成果をハイライトする時に、あえて用いることがあります。

たとえば、商品比較を例に挙げてみると、「この商品は光芒とも言うべく優れた機能性を持つ」「我が社は顧客満足度100%を誇る光芒を維持している」などのように使うことができます。

また、企業において社員の成果を誇張したい時に「Aさんが達成した成果の光芒の影に、人並ならぬ努力とリサーチ量が隠れている」「開発部の光芒とは、オリジナリティへの執着である」などとも表現することができます。

「光芒一閃」は”事態が急激に変わること”

「光芒」を使った四字熟語に”光芒一閃(こうぼういっせん)”があります。「光芒一閃」とは、物事や事態が急激に変わったり、瞬時に変化することを意味します。瞬きのように光りを放つかのごとく、素早くパッと状況が一変するような時に使われます。

また「光芒一閃」と似たような意味を持つ四字熟語に”紫電一閃(しでんいっせん)”があります。こちらも状況が急激に変化することを表す時に使われます。

例文
  • 平静を保っていた議会は光芒一閃、両派は激しくぶつかり合う事態へと発展した。
  • 光芒一閃ともいうべく、注目の判決は予想を反し有罪となった。

「光芒」の類語とは?

類語①「一条の光」とは”暗黒に差し込む一筋の光”

「一条の光(いちじょうのひかり)」とは”暗黒に差し込む一筋の光・暗闇に光る細い一本の光”のことです。転じて、絶望や暗愚での救いの光、希望の光という意味もあり、一般的にはこちらの意味合いで使うことが多いです。

例文
  • 経営破綻が直前の企業に、一条の光が見えてきた。
  • 一条の光を求めるがごとく、捜査範囲を広げて聞き込みを始めた。

類語②「紫電」とは”刀を一振りしたような鋭い光”

「紫電(しでん)」とは、”鋭く研ぎ澄まされた刀を一瞬で振り下ろしたように、眩しくひらめく閃光”を意味します。「紫電」はもともと紫色の電光のことですが、意味が転じ、鋭い眼光や精彩を放つような光を表す時に使われています。

例文
  • 研ぎ澄まされた刀が放つ紫電に目を細めた。
  • 夕暮れの空に紫電のような眩しい線を見た。

まとめ

「光芒」には”細長い光の筋、ほさき”また”他より一段と優れているところ、箇所”という2つの意味を持ちます。

通常「光芒」は主に彗星が放つ一筋の光を表し「特別な光の筋」と言ったニュアンスで用いられますが、物事や人が持つ「抜きんでている部分」を指す時にも使われます。

ビジネスシーンでは「我が社の光芒は〇〇である」「このサービスが誇るべき光芒は〇〇」というように、やや堅めな印象を狙って使っても良いでしょう。ぜひ、表現のマンネリ化を防ぐためにも、新しい言葉を文章に取り入れてみてください。