「一富士二鷹三茄子」とは”初夢に出ると縁起がいいもの”を意味することわざです。なぜ富士や鷹、茄子の夢を見ると縁起がいいのか、気になる方もいるでしょう。
この記事では「一富士二鷹三茄子」の読み方や語源、続きの「四扇五煙草六座頭」について解説します。くわえて「一富士二鷹三茄子」の英語表現も解説しましょう。
ことわざ「一富士二鷹三茄子」の意味や読み方とは?
「一富士二鷹三茄子」の意味は”初夢に出ると縁起がいいもの”
「一富士二鷹三茄子」の意味は、“初夢に出ると縁起がいいと言われるもの”です。大晦日から1月1日にかけて見るといいと言われていましたが、現代では「1月1日から2日の夢」や「1月2日から3日の夢」でも問題ないとされています。
「一富士二鷹三茄子」の読み方は”いちふじにたかさんなすび”
「一富士二鷹三茄子」の読み方は“いちふじにたかさんなすび”です。「茄子」は”なす”とも読みますが、ことわざ「一富士二鷹三茄子」の場合は一般的に”なすび”と読まれます。
なぜ富士や鷹が?語源は諸説ある
なぜ「富士」や「鷹・茄子」の夢を見ると縁起がいいと言われているのでしょうか?江戸時代から使われている「一富士二鷹三茄子」の語源は、諸説あります。1つ目は徳川家康と縁のある駿河(現在の静岡県)の名物を並べたという説です。
日本の象徴とも言われる「富士山」とそこに住む「鷹」、家康も好んでいたとされる「初物の茄子」を並べたと言われています。また、駿河のなかで高いものを順に並べたという説や、語呂合わせとして「富士」は”無事”を、「鷹」は”高いこと”を、「茄子」は”成すこと”を表しているという説もあります。
「一富士二鷹三茄子」の続きとは?
続きは「四扇五煙草六座頭」
「一富士二鷹三茄子」の続きには”四扇五煙草六座頭(しせんごたばころくざとう”が当てはまります。なぜ「扇(おうぎ)」と「煙草・座頭」が続くのかについても諸説あります。
一説によると「扇」は”形が末広がりであるため子孫繁栄”を、「煙草」は”上にのぼる煙が運気の上昇”を、「座頭」は”髪の毛がないことから怪我をしないこと”をそれぞれ表しているのです。ちなみに「四扇」の読み方は複数あり、「しおうぎ」や「よんせん」とも読まれます。
四番目は「葬式」、五番目は「雪隠」と表すことも
「一富士二鷹三茄子」には「四扇五煙草六座頭」と続くことを解説しましたが、四番目には「葬式」が、五番目には「雪隠(せっちん)」が使われることもあります。「雪隠」とは”便所”を指しており、「葬式」も「雪隠」も縁起の良いものではありません。
「葬式」と「雪隠」が使われた理由には”逆夢(さかゆめ)”が関係しています。古くからある言い伝えでは、悪い夢をみると現実では良いことが起こるとされているため「葬式」や「雪隠」が加えられたと言われています。
四番目以降は後付けという説もある
「一富士二鷹三茄子」の続きには複数の表現がありますが、それらは後付けだという説もあります。「一富士二鷹三茄子」について記載している書物は数多くありますが、その続きについて言及している書物はわずかです。
また「四扇五煙草六座頭」や「四葬式五雪隠」は”一富士二鷹三茄子”ということわざを使った言葉遊びだと説明する書物もあることから、後付だとも言われています。
「一富士二鷹三茄子」の英語表現とは?
初夢の風習がないため英語表現はない
「一富士二鷹三茄子」に適した英語表現はありません。英語圏では「初夢」の風習がないため、新年の最初にみる夢に日本ほどの関心はないのです。「初夢」の代わりに「New Year’s resolution(新年の目標)」という文化があり、英語圏では1年の目標をたてます。
表すとしたら「Dreams of Mt.Fuji, a hawk or an eggplant」
「一富士二鷹三茄子」に適した英語表現はないものの、表すとすれば”Dreams of Mt.Fuji, a hawk or an eggplant”となります。「富士山や鷹、茄子の夢」を意味しており、「初夢」は”First dream of the new year’s(新年の最初にみる夢)”と表せます。
昔の人がやっていた良い夢をみる方法とは?
枕の下に「宝船」の絵をいれて寝る
室町時代では枕の下に「宝船(たからぶね・ほうせん)」の絵をいれることで、良い夢を見ることができると言われていました。「宝船」とは縁起物の1つで、七福神(しちふくじん)やお宝が乗っている船を意味します。
悪夢をみた場合は絵を川に流す
宝船の絵を枕の下に入れているにもかかわらず悪夢を見てしまった場合、絵を川に流すという風習もあります。縁起直しとして「悪夢」を「穢れ」に例えて水に流すことで、現実では悪いことが起きないとされていました。
まとめ
「一富士二鷹三茄子」とは”初夢に出ると縁起がいいと言われるもの”を意味することわざです。「一富士二鷹三茄子」の続きには「四扇五煙草六座頭」や「四葬式五雪隠」がありますが、それらは後付けだという説もあります。
「一富士二鷹三茄子」は英語で”Dreams of Mt.Fuji, a hawk or an eggplant”と表せます。しかし、英語圏には初夢の風習がないため「縁起がいいこと」や「語呂合わせ」などの理由から富士や鷹が使われていると、説明した方がいいでしょう。