「ほぼほぼ」の意味や類語とは?ビジネスで使う場合の注意点も解説

「ほぼほぼ」は日常会話や作品名・商品名など、一般的に使われるようになりつつある言葉です。しかし「昔は聞かなかった、いつから使っているんだ」「方言か?」と疑問に思っている人もいるようです。意味や類語とあわせてご紹介します。また、ビジネスやかしこまった場面で使える言葉なのかどうかも確認しましょう。

「ほぼほぼ」とは?

「ほぼほぼ」の意味は”完全に近いが、完全ではない状態”

「ほぼほぼ」の意味は、“完全に近いが、完全ではない状態”のことです。「ほぼ」を強調した言葉です。ただし「ほぼ」をどう強調するか統一されていません。どちらかと言うと「完全に近い」を強調している(ほぼほぼ>ほぼ)印象を受ける人の方が多いようです。ただし、「完全ではない」の強調(ほぼほぼ<ほぼ)だと受け取る人も多くいます。また、多くはありませんが「聞き取りやすいように重ねているだけで意味は『ほぼ』と変わらない」と思う人もいるようです。

なお、漢字で書く場合は「粗粗」や「略略」ですが、一般的ではないため平仮名で書く方が良いでしょう。

「ほぼほぼ」は方言や誤用ではない

「ほぼほぼ」は方言や誤用ではないため、文法の観点で考えれば、地域や場面を問わず使えると言えます。

「誤用ではない」ことが意外に感じる人も多いかもしれません。しかし、日本語には「繰り返さなくても意味が通じる言葉を、強調のために繰り返す」ことが伝統的に行われていました。例えば「いやいや・のちのち」などです。「ほぼほぼ」もこの伝統に沿う使い方のため、新語ではあれど誤用だとはされません。

ただし、詳細は後ほど説明しますが、使用を避けた方が良い場面はあります。

「ほぼほぼ」が使われ始めたのは1990年代

「ほぼほぼ」が一般的に使われ始めたのは1990年代とされています。新語として話題になったのは2016年ですが、それ以前から徐々に広まりつつあったようです。

使われ始めたのがおよそ30年前のため、現在では20代・30代のビジネスパーソンの中にもよく使う人がいます。「若者の流行言葉」とは言い難い状況になりつつあります。

「ほぼほぼ」の使い方と例文とは?

意味の説明にあった通り「ほぼほぼ」の使われ方には差があります。ここでは「ほぼ」と違う使い方をする場合の例をご紹介します。

「ほぼほぼ」は”『ほぼ』より完全・完成に近い”場合に使う

「ほぼほぼ」の使われ方のひとつめは”『ほぼ』より完全・完成に近い”場合です。「ほぼ」のポジティブな面を強調している使い方だと言えます。

例文
  • 大掃除はほぼほぼ終わっているので、年末はゆっくり過ごせそうだ。
  • A君の予想はほぼほぼ当たっていた。

「『ほぼ』より完全・完成から遠い」場合にも使われる

「ほぼほぼ」は”『ほぼ』より完全・完成から遠い”意味で使われることもあります。ひとつめの使い方との文章上の違いはないため、前後の文脈で判断する必要があります。自分が話し手の場合、可能ならば具体的な数字を出した方が伝わりやすいでしょう(「90パーセント完了している」など)

例文
  • ほぼほぼ問題ないのだが、ここは修正しておいてほしい。
  • 作業はほぼほぼ完了したので、なんとか納期に間に合いそうだ。

「ほぼほぼ」はビジネスシーンでも使われている

「ほぼほぼ」は使われ始めてから30年ほど経っているため、ビジネスパーソンでも使用する人が増えています。中には取引先や上司にも使用する人もいるようです。

意味が広まりつつあるため、敬語をしっかり意識する必要がない場面(親しい上司など)なら「ほぼほぼ」を使っても問題になる可能性は低いでしょう。ただ、「ほぼ」でも意味は伝わるため、無理に「ほぼほぼ」を使う必要はありません。

「ほぼほぼ」の類語とは?

「ほぼほぼ」の類語は”だいたい・おおよそ”

「ほぼほぼ」の類語は“だいたい・おおよそ”です。類語としての意味はどちらも「詳細を除いた主要な部分」になります。漢字で書く場合は「大体・大凡」ですが、大凡は一般的ではないため平仮名で書く方が良いでしょう。

また、言い換えるだけなら「ほぼ」でも問題ありません。ただし、どの類語でも具体的な進展具合が分からない言葉です。場合によっては具体的に伝えた方が良いこともあり得ます。

「ほぼほぼ」の注意点とは?

「ほぼほぼ」は嫌いだという人もいる

「ほぼほぼ」を誤用だと感じて、嫌いだという人は少なくありません。特に、若者に手本を示すべき大人や、丁寧に話すべきビジネスパーソンが使っているとがっかりするという意見もあります。気心が知れた相手以外には使わない方が無難かもしれません。

また「ほぼ」だけでも曖昧な表現で信用できないと感じる人もいます。話に説得力を持たせたい場合は「ほぼ」も「ほぼほぼ」も避けるのが良い方法かもしれません。

年配の人やかしこまった場では使用を避ける

「ほぼほぼ」は年配の人やかしこまった場など、敬語や文法を正す必要がある場面では使用を避けた方が無難です。誤用に感じる人がいるだけではなく「くだけた若者言葉」だと思う人も多いからです。

「ほぼほぼ」が一般的に使われ始めたのは1990年代ですが、2016年に新語だと話題になったことから「2010年代に生まれた若者言葉」だと思われがちです。例えば、2018年の文化庁の調査では、50代以降の人で「ほぼほぼ」を使っている人は30パーセント以下でした。どの年代の人にも受け入れられるようになるには、まだしばらくの時間がかかりそうです。

まとめ

「ほぼほぼ」は”ほぼ”を重ねた言葉です。「ほぼ」より完全・完成に近い場合に使う人も、遠い場合に使う人もいます。

新語だと話題になったのが2016年のため「若者の使う間違った日本語」だと嫌悪感を抱く人もいます。使用して問題ないか配慮してから発言する方が良いでしょう。