近年「ありがとう」などの「大和言葉」が注目されています。大和言葉を学べるアプリがあるなど、若い人も関心を持っているようです。かっこいい・美しい印象もあるため、男女問わず子どもの名前によく使われます。また、ビジネスで活用できる場面もあります。大和言葉の意味や、自然に使える変換の一覧をご紹介します。
「大和言葉」とは?
「大和言葉」の意味は”日本古来の言葉”
「大和言葉(やまとことば)」の意味は、“日本で生まれた日本古来の言葉”です。平仮名で書くか、漢字の場合は「訓読み」をする言葉です。日常的に使うくらい受け入れられた言葉でも、海外で生まれたものは基本的に含まれません。現在ではほとんど使われていませんが”和歌・平安時代に使われる品の良い言葉”という意味もあります。
ここでの「大和(やまと)」は日本のことです。都が大和にあった時代があることから、日本の異称として使われています。
「大和言葉」の美しい響きが注目される
「大和言葉」に注目が集まっているのは、メール・SNSが広まったためのようです。これらは文字数に制限があることも多いため、文章を短くまとめることに向いている漢語(中国で生まれた言葉)がよく使われています。おしゃれな印象のあるカタカナ語も頻繁に見かけます。
しかし、漢字ばかりの文章に堅苦しさを、見慣れないカタカナ語によそよそしさを感じる人が増えてきました。また、短い文章にこだわるあまり、味気ない文章になっていると思う人も多いようです。
そのため、響きが美しく柔らかい印象の「大和言葉」が人気になりました。ただし、文章すべてを大和言葉にするのではなく、ワンポイントとして使うことが一般的です。
「大和言葉」の使い方とは?
「大和言葉」は気持ちを伝えたいときに使う
「大和言葉」は気持ちを伝えやすい言葉だと言われています。個人差はありますが、柔らかさや温かみがある印象を受ける人が多いためです。日本生まれの言葉のため、日本人の感性に合っているのかもしれません。
例えば「感謝いたします」より「ありがとうございます」の方が、気持ちが伝わると感じる人が多いのではないでしょうか。口頭・文章を問わず、気持ちを伝えたいときには大和言葉を使ってみてください。
ネガティブなことを柔らかく伝えられる
ネガティブなことや言いにくいことも、柔らかく表現できるのも「大和言葉」の特徴です。依頼や催促、断る機会が多いビジネスメールでも活用できます。
例えば「私には無理ですので、協力していただけませんか?」と言われたら「もっと頑張ればいいのに」と不満を感じる人もいるかもしれません。しかし「私には荷が勝ちますので、お力添えいただけませんか?」なら、快く受け入れてもらえることが期待できます。
「大和言葉」を使う際の注意点
「大和言葉」を使うときは、以下の点に注意してください。
- あいまいにならないようにする
柔らかい印象が魅力ですが、度が過ぎると「結局なにを言いたいのか分からない」と相手に思われてしまう可能性があります。 - 難しすぎる表現は避ける
美しい大和言葉でも、相手に意味が伝わらなければ逆効果です。相手に合わせて使い分けましょう。 - 無駄に長いという印象を持たれないようにする
多くの大和言葉は漢語より文字数が多くなります。「無駄に長くて疲れる」と思われてしまわないよう注意しましょう。大和言葉はワンポイント程度に抑えた方が無難です。
「大和言葉」の言葉・名前の例とは?
「大和言葉」に変換できる表現一覧
使いやすい大和言葉を一覧にしました。変換しやすいよう()内に漢語表現を記載してあります。ぜひ使ってみてください。
古風でおしとやか・かっこいいため名前にも使われる
「大和言葉」の単語は子どもにつける名前にも人気があります。上品でおしとやかな名前は女の子の、知的でかっこいい名前は男の子の名前に選ばれやすいようです。
- 女の子によく使われる名前
さくら(桜、咲良など)
はな(花、葉奈など)
ちとせ(千歳など) - 男の子によく使われる名前
みなと(湊など)
はやと(隼、隼人など)
そら(空、宙など) - 性別を問わずよく使われる名前
あおい(葵、蒼など)
かおる(薫、香、嘉流など)
「大和言葉」の類語と対義語とは?
「大和言葉」の類語は”和語”
「大和言葉」の類語は“和語”です。意味は全く同じのため、言い換えることが可能です。
「漢語・外来語」とあわせて言語の話をする際は「和語」の方が向いています。和語の方が”言葉の種類を表す用語”という意味合いが強くあるためです。また、他の2つは漢語表記ですので、同じく漢語の「和語」の方が統一感があります。
「大和言葉」の対義語は”外来語”
「大和言葉」の対義語は“外来語”です。「外来語」は”海外から伝わった外国語が、自国の言葉として定着したもの”です。日本の場合、主にヨーロッパやアメリカの言葉によく使われます。
なお、外来語と外国語の差は人によって異なります。例えば、仕事でよく使う人にとっては「アジェンダ(計画・予定)」は外来語です。しかし、日常会話ではあまり使用されないため、外国語だと思う人もまだ多いでしょう。
「漢語」も対義語だが単語は日本語として扱われる
「漢語」も「大和言葉」の対義語です。日本で使われる意味は”中国から伝わり日本語として定着したもの”です。意味だけ見ると外来語と似ているのですが、漢語が外来語に含まれることはあまりまりません。例えば、バラエティー番組で「日本語以外の発言禁止」のミニゲームを行う際、漢語が日本語として扱われていても違和感を覚える人は少ないでしょう。
日本に伝わった時期が古いことや、日本語に与えた影響が大きいことが理由だと考えられます。
まとめ
「大和言葉」は”日本古来の言葉”です。上品な印象や温もりのある表現ができることから注目を集めています。
簡潔さが基本のビジネスでは向かない場面もあります。しかし、言いにくいことを柔らかく伝えられるのも大和言葉の特徴です。ここぞというときに活用すれば、心配りができる人だと評価が高まるかもしれません。
ありがとうございます(感謝します)
心を打たれました(感動しました)
心ならずも(不本意ですが)
おかまいなく(結構です)
お引き立て(世話になっている)
お力添えください(協力してください)
恐れ入りますが(恐縮ですが)
お手すきの際に(暇があれば)
折り合いをつけて(妥協して)
やむなく(仕方なく)