コンプライアンスの意味と使い方とは?企業・医療での事例も紹介

近年、企業では「コンプライアンス」の取り組みが重要視されています。簡単には「法令遵守」と訳されますが、他にもいろいろな意味を含んで使われるため、ぼんやりした印象がある言葉かもしれません。

今回は「コンプライアンス」の意味や言葉の使い方をはじめ、コンプライアンスが注目されるようになった背景も解説します。

「コンプライアンス」の意味と語源

企業が社員にむけてコンプライアンス研修や勉強会を行ったり、コンプライアンスの専門部署を設けて積極的に取り組んだりすることが、近年は一般的となりました。コンプライアンスの取り組みは、企業のリスクマネジメントのひとつとして重要であると捉えられているためです。

カタカナ語「コンプライアンス」の意味は法令遵守

企業活動において「コンプライアンス」と言う時は、大枠として「法令遵守」の意味で用いられますが、法令の他にも社会規範や倫理を守り、公正に経済活動を行うという概念を含めて使用されます。

さらに、業務マニュアルや社内規則など、企業内部のきまりごとへの遵守も含めて「コンプライアンス」と表現されます。

語源は英語「compliance」

「コンプライアンス」は英語「compliance」を語源とするカタカナ語です。英語の意味は次の通りです。

【compliance】(名詞)

  • 命令・規則・法令・規格などに対する遵守
  • 規則などへの適合性、準拠、整合性
  • 過度に相手に合わせること、従順であること
  • 服薬順守(患者が指示に従って服薬すること)

動詞は「comply」で「法令などに従う」という意味です。

「コンプライアンス」の使い方

コンプライアンスの背景が整理できたところで、次に「コンプライアンス」を具体的に理解するために、どのような言葉とともにどのような意味で経済活動において使われているのかを説明します。

「企業コンプライアンス」とはどんな意味か

企業の不正行為の防止と、長期的な企業価値の増大に向けた経営を行うことを目的として行う企業のコンプライアンスを「企業コンプライアンス」といいます。

不正行為が行われた時は企業のコンプライアンス体制が問われる事態となり、体制の不備による倒産のリスクもあるため、企業コンプライアンスの徹底が必要とされています。

「コンプライアンス経営」の意味とは

コンプライアンスの概念を基礎にした責任と誠実、加えて公正な経営のことをコンプライアンス経営といいます。コンプライアンス経営を実施するためには、企業内行動規範の整備と社員教育の徹底や、コンプライアンス体制の構築が必要とされます。

「社内コンプライアンス」とはどんな意味か

社内コンプライアンスとは、社員が企業内のルールや規定を守り、高い倫理意識を持つことを指します。社内コンプライアンスの徹底のためにはきめ細やかな研修が必要とされます。

「コンプライアンス」の取り組み事例

「コンプライアンス相談窓口/ヘルプデスク」の設置

近年、「コンプライアンス相談窓口」や「コンプライアンスヘルプデスク」を設置する企業が増えています。

この窓口は、その企業や取引関連の会社で働く人が、当社内で「法令遵守に反する行動や、反する恐れのある行為を認識したとき」に相談や通報をすることができるものです。

これは法令違反行為を通報した労働者に対し、解雇等の不利益な取扱いをしないよう、事業者のコンプライアンス経営を強化するために策定された「公益通報者保護法」の趣旨に基づいて整備されたコンプライアンスの取り組み事例です。

医療分野の「コンプライアンス」とは服薬順守を意味する

経済活動におけるコンプライアンスの他に医療現場では、英語の意味のひとつである「服薬順守」の意味として使われています。

患者が医療者の指示に従って薬を服用することを「コンプライアンス」といいます。例えば「コンプライアンスが良い」という場合は、患者が指示通りに服薬していることを意味します。

コンプライアンスの違反事例

企業のコンプライアンスの違反事例は枚挙にいとまがありません。

具体的には、自動車メーカーの燃費データの偽装、不正競争防止法の違反(性能データの偽装)、食品衛生法違反、個人情報の流出、粉飾決済や赤字隠蔽などの不正会計処理、助成金や補助金の不正受給、労働基準法違反などが日々報道されています。

ニュース報道で見たことがある、という具体的な事例を思い浮かべることができるのではないでしょうか。

「コンプライアンス」の目的と背景

コンプライアンスの目的はリスクマネジメント

現在、コンプライアンスを徹底させることは、企業にとって当然の社会的責任であると認識されており、違法行為や倫理に背く行為が発覚すると社会から信用を失い、事業の継続が不可能になるなどの大きなリスクがあります。

このようなことから、コンプライアンス体制の構築と運用は、企業にとって欠かせないリスクマネジメントとなっており、逆にいえば、コンプライアンスの徹底が企業価値向上とともに企業が健全に存続するための施策であるともいえます。

コンプライアンスが注目される背景

1900年代の後半以降、規制緩和とともに企業に責任ある行動が求められ、コンプライアンスに対する法整備が行われたことなどから、社会にコンプライアンスを重視する流れが生まれました。

同時期に海外においても、大企業が法令違反行為を行って社会から批判される事例が相次ぎ、厳しいコンプライアンス経営を求める機運が生まれ、欧米などで法制度の整備が進みました。

日本においてもグローバルな取引が増えるに従い、コンプライアンスの世界的な流れに対応する必要性が生まれるとともに、国内でも大企業の違法行為が相次いだことからも、その重要性が認識されるようになりました。

このようなことから、日本では「コンプライアンス」を「法令遵守」と訳す流れが生まれたといえます。

まとめ

「法例遵守」と訳される「コンプライアンス」の言葉の背景には、企業を取り巻く環境の変化がありました。また、コンプライアンスは企業のリスクマネジメントであることもわかりました。

身近なところでは、社員が無自覚にソフトウェアの違法コピーを行ってしまったり、管理が不十分で個人情報を流出させてしまうというようなことも、企業のコンプライアンス違反として責任を追及されることになります。

会社員として自分自身の行動も、企業コンプライアンスの概念の中に含まれているということを理解しておきましょう。