「災い転じて福となす」とは”災難をうまく利用して良いことにする”という意味。由来は中国語で、実話の要約としても使われることわざです。コロナ禍の中、リモート会議などが進んだことは「災い転じて福となす」かもしれません。
この記事では「災い転じて福となす」の意味を始め、類語や英語表現について解説します。
「災い転じて福となす」の意味とは?
意味は「悪いことをうまく利用して成功すること」
ことわざ「災い転じて福となす(わざわいてんじてふくとなす)」の意味は、“失敗や災難などがあってもそれをうまく利用して、自分にとって良いことになるよう努力すること”です。「災い」とは、不幸なことや災難をさし、「福」は幸運や幸せをさします。
不幸なことや災難があってもそれが転じて幸運となるように努力や工夫をすることが「災い転じて福となす」です。
四字熟語「転禍為福」が由来
「災い転じて福となす」ということわざの由来は、中国の説話集”戦国策(せんごくさく)”や歴史書である”史記(しき)”に出てくる四字熟語「転禍為福」です。
「転禍為福」は”てんかいふく”と読み、マイナスなものをプラスにするという意味。「禍を転じて福と為す」とも表記し、ここから「災い転じて福となす」の由来になったと言われています。
「災い転じて福となす」の使い方と例文とは?
失敗したことが幸運のカギになるときに使う
「災い転じて福となす」は、失敗をしてしまったが、それが幸運のカギとなったときに使います。
例えば、転勤で通勤時間が倍かかるようになったが、その時間を活用して本を読んだり学習したりすることで自分の知識を向上させるよう努力した場合です。このようなときには「災い転じて福となすとなるよう通勤時間を有効利用しました」などと表現できます。
失敗した人を励ますときに使う
「災い転じて福となす」という言葉は、失敗して落ち込んでいる人を励ますときにも使えます。
例えば、プレゼンで失敗をしてしまい落ち込んでいる後輩へ言葉をかけるときなどです。「災い転じて福となすというし、この失敗が成功のカギになるよう次回に向けて頑張ろう」などと言うことで、励ましの言葉になります。
実例や実話の要約としても使う
「災い転じて福となす」という言葉は、自分自身の体験談を話すときや過去の実話を話すときなど、実例や実話の要約としても使えることわざです。「ようするに災い転じて福となすということ」と表現することで、要約として話の内容を相手に伝えやすくなります。
「災い転じて福となす」を使った例文
- 災い転じて福となすと言うし、失敗を嘆いていないで成功に結び付けるよう頑張ります。
- ケガで入院したがおかげで積んでいた本を読むことができた。災い転じて福となすとはこういうことだね。
- 会社が倒産したが独立して成功したので、まさに災い転じて福となすだ。
「災い転じて福となす」の類語
「雨降って地固まる」とは”悪いことの後に良いことがある”
「雨降って地固まる(あめふってじかたまる)」とは、”悪いことの後にはかえって良い結果が訪れるものである”という意味のことわざ。雨が降ると地面はびしょぬれになりますが、止んだ後に乾くと地盤がしっかりとするものです。そこから、特に人間関係についてもめ事や争いごとでぶつかり合った後には、かえって分かり合えて仲が良くなるという意味で使います。結婚式でのスピーチでも良く使われるフレーズです。
「災い転じて福となす」は災難にあっても幸福になるよう工夫や努力をすることをさしますが、「雨降って地固まる」はもめ事や争いごとの後には良いことが待っているというニュアンスです。
「楽あれば苦あり」とは”良いことも悪いこともある”
「楽あれば苦あり」とは、”楽しいことがあれば苦しいこともある”という意味のことわざ。「楽あれば苦あり、苦あれば楽あり」や「苦あれば楽あり、楽あれば苦あり」などとも表記されます。良いことばかりは続かないが悪いことばかりも続かないということから、人生は浮き沈みがあるものだという意味を表現した言葉です。
悪いことが起きても良いことになるよう努力するという「災い転じて福となす」に対し、良いことも悪いことも繰り返すものだというニュアンスなのが「楽あれば苦あり」です。
「怪我の功名」とは”失敗が良い結果を生むこと”
「怪我の功名(けがのこうみょう)」とは、”失敗したり間違えたりしたことが、意外に良い結果を生む”というたとえ。ここで言う「怪我」とは失敗や過ちなどをさし、「功名」は手柄を立てることをさします。失敗や過ちをしたことで良い結果に結びつき手柄を立てることになったことが「怪我の功名」です。うっかり道を間違えて遠回りをしたら前から探していたお店を見つけることができたときなどに、「怪我の功名だね」と表現します。
「災い転じて福となす」の災難が幸運になるよう努力するという意味に対し、「怪我の功名」は失敗や災難が思いのほか良い結果を生むというニュアンスです。
「災い転じて福となす」の英語表現とは?
「災い転じて福となす」は英語で”Good comes out of evil”
「災い転じて福となす」の英語表現には、”良いものは悪いものから現れる”という意味の「Good comes out of evil」というフレーズが当てはまります。「evil」には”邪悪なもの”や”不吉な”という意味があり、災難だと嘆かずに違う視点から見れば良いことが見えてくるというニュアンスです。また、前後を入れ替えて「Out of evil comes good」と表現することもあります。
まとめ
「災い転じて福となす」とは、”失敗や災難などをうまく活用して自分にとって良いことになるよう工夫や努力をすること”という意味。災難にあってもそれを成功のカギになるよう工夫したり、失敗して落ち込んでいる人を慰めたりするときに、使えることわざです。
類語には「雨降って地固まる」や「怪我の功名」などがあり、それぞれ少しずつニュアンスが違うため、うまく使い分けできるよう意味をしっかり理解しましょう。