「アナログ」の意味とは?俗用の使われ方やデジタルとの違いを解説

「時計アプリを使って、スマホにアナログ時計を表示させている」「アナログゲームにハマっています」のように、日常的に「アナログ」は使われています。しかし「アナログ」は本来の意味で使われることが少ない言葉です。反対の意味を持つ「デジタル」とあわせて、意味や違いを解説します。

「アナログ」の意味とは

「アナログ」の本来の意味とは「連続的に変化する情報」

「アナログ」は英語で「analog」または「analogue」と書きます。意味は「連続的に変化する量で表す情報」です。段階的に区切ることはせず、連続的に情報を扱います。

イメージしやすいのは水銀温度計です。水銀の熱膨張を利用し、長さで温度を測ります。水銀の長さは区切りなく連続的に伸び縮みするため、アナログ方式にあてはまります。

「アナログ」の俗用は「電気を使わないもの」「古いもの」

「アナログ」の俗用(一般的に用いられること)される意味は「電気を使わないもの」や「古いもの」です。アナクロ(アナクロニズムの略)と混同して「時代遅れ」という意味で使われることもあります。

これらは厳密には誤用です。しかし、広く使われているため、無理に訂正しない方が良い場面も多いでしょう。相手を混乱させてしまう可能性があります。

「アナログ」と対義語「デジタル」の違い

「アナログ」と「デジタル」の違いは情報の扱い方

「アナログ」と対義語「デジタル」の違いは、情報の扱い方です。「デジタル」は「段階的に区切った量」で情報を扱います。デジタル方式で身近なものは、パソコンやスマートフォンにも使われる二進法です。情報を0と1という2つに区切る方式です。

段階的に区切るということは、言い換えると「中間部分を捨てる」ということになります。そのため、アナログよりも少ない容量に圧縮できるのがデジタルの利点の1つです。ただし、音質や画質など、元の情報の再現度に優れているのはアナログです。

「アナログ」の俗用が広まった理由

俗用が広まった理由は、コンピュータなどのデジタル方式の電子機器の普及が関係すると推測されます。デジタル方式=電気を使う機械という誤解から、対義語のアナログは「電気を使わないもの」だとイメージする人が増えたようです。

また「古いもの」というイメージも「デジタル」の誤解から生まれたと考えられます。インターネットで処理しやすいなどの利点があることから、近年は情報のデジタル化が推進されています。そのことから「アナログ」に古くて時代遅れの印象が強くなったようです。

「アナログ」の使い方

「アナログ時計」は針の角度で時間を示す時計

「アナログ時計」とは、針と文字盤を使って時間を表す機械です。針の角度が連続的なことから、アナログと呼ばれます。秒針がカチカチと段階的に動く時計は、厳密に考えるとアナログ時計ではないと言う意見もあります。ただし、実際には液晶などを使わず針を用いている時計は全て「アナログ時計」だと思う人の方が多いようです。

「アナログレコード」は音波をそのまま溝に刻んでいる

「アナログレコード」は音声・音楽を録音した円盤のことです。元の音声・音楽の音波をそのまま刻んでいることからアナログに分類されています。段階的に区切ってカットしているデジタルより、アナログの方が生音に近いのが魅力だとされます。ディスクが劣化しやすいことやサイズの大きさがデメリットです。

「レコード」と略されることもありますが、「記録」という意味でも使われるため、混同しないよう注意しましょう。

「アナログ回線」は主に電話で使用されていた

「アナログ回線」はデータ・音声をアナログ方式の信号で送受信する回線です。以前は電話回線に多く用いられていました。

現在ではノイズが少なく、距離が離れても劣化しないデジタル回線の電話が増えています。また、アナログ回線の電話は2024年頃に廃止し、デジタル回線に移行する予定になっています。(基本的に利用者の回線工事や電話機交換は不要です)

「アナログ(俗用)」の使い方

「アナログゲーム」は電子機器を使わないゲーム

「アナログゲーム」は、トランプやすごろく、将棋などの「電子機器を使わないゲーム」に使われます。日本で生まれた和製英語です。「電源不要ゲーム」や「テーブルゲーム」と呼ばれることもあります。

一部のアナログゲームは、パソコンやスマートフォンで再現されています。インターネットを利用することで、直接会えない相手とも一緒に遊ぶことが可能です。

「アナログイラスト」は電子機器を使わないイラスト

「アナログイラスト」はパソコンやタブレットなどの電子機器を使わずに描かれたイラストのことです。絵具や色鉛筆、カラーペンなどの昔からある画材を使用します。また、アナログイラストを書くことを「アナログ作画」と呼びます。

「アナログ人間」は最新の機械やシステムが苦手な人

「アナログ人間」は、最新の電子機器を含めた機械類やシステムが苦手な人のことです。「私はアナログ人間だから分からないよ」のように、自虐や言い訳のために自称することが多くあります。他人を指摘する際に使うこともできますが、悪口に受け取られることが多いため避けた方が良いでしょう。

まとめ

「アナログ」の意味は「連続的に変化する量で表す情報」です。「電気を使わないもの」「古いもの」という意味は正式ではありません。広く使われているため無理に避ける必要はないのですが、かしこまった場面や記録に残る文書では、注意した方が良いでしょう。