「被疑者」とはどんな意味?被害者や容疑者・被告人との違いも解説

「被疑者」とは”罪の疑いをかけられた人”を意味する言葉です。似た言葉に「容疑者・被告人・加害者」などがありますが、違いが分からない人もいるでしょう。

この記事では「被疑者」にまつわる勾留や取調べの流れ、保釈の要件などについて解説します。くわえて「被疑者」に関係する類義語・対義語や英語表現についても紹介しています。

「被疑者」とは?

「被疑者」の意味は”疑いをかけられた人”

「被疑者」の意味は、“罪を犯したのではないかと疑われている人”です。「被疑」とは、”疑いをかけられる”ことを指します。捜査の対象にはなっているものの、検察官に起訴されていない人を表す状況で使われます。ちなみに「起訴」とは”検察官が裁判所に訴えを起こすこと”を意味します。

被疑者になると勾留されて取調べを受ける

被疑者として警察に逮捕されると、48時間以内に検察官に引き渡されて勾留の可否が決められます。「勾留」とは”被疑者を刑事施設に拘束すること”を意味しており、逃亡や証拠隠滅などの恐れがある場合に行われます。

勾留期間は最大で20日となっており、その間に検察官が被疑者に対して取調べを行うのです。

被疑者死亡の場合は不起訴処分になる

被疑者が死亡した場合、規定により不起訴となります。日本の刑事訴訟法には「公訴棄却(こうそききゃく)」というものがあり、訴えが取り消された場合や被告人が死亡した場合は、手続きを打ち切らなければなりません。

刑を受ける被疑者が死亡すると公訴棄却により裁判自体が開かれないため、不起訴処分となるのです。

「被疑者」と容疑者・被告人・加害者の違いとは?

「被疑者」と「容疑者」に違いはなく、同じ意味

「被疑者」と「容疑者」はどちらも”罪の疑いをかけられている人”を意味します。同じ意味でありながら2通りの呼び方がある理由は、「被疑者」と「被害者」の字面や読み方が似ていることにあります。

「被疑者」を「被害者」と聞き間違えないよう、テレビなどのメディアでは「容疑者」が使われるようになったのです。

被疑者…罪の疑いをかけられている人。法律用語。

容疑者…罪の疑いをかけられている人。主にメディアなどで使われる。

「被疑者」と「被告人」の違いは起訴にある

「被疑者」と「被告人」の違いは訴訟されているか否かにあります。「被疑者」は”罪を犯したと疑われているものの、起訴はされていない人”を指します。一方で「被告人」は”罪を犯したと疑われた上で、検察官に起訴された人”を意味するのです。

「被疑者」と「被告人」はどちらも疑われている段階であり、裁判で有罪判決がくだることで「犯罪者」となります。

被疑者…起訴されていない人。

被告人…検察官に起訴された人。

「被疑者」と「加害者」の違いは”罪の確定”

「被疑者」と「加害者」の違いは罪の確定にあります。「加害者」とは”他人に対して加害行為を行った人”を意味する言葉です。「被疑者」のように罪を犯したと疑われるのではなく、罪を犯したと確定している状況で使われます。

「加害行為を行った人」を指すため、有罪判決がくだる前である「被疑者」や「被告人」を”加害者”と同一視することはできません。

被疑者…罪を犯した疑いがある人。

加害者…加害行為を行った人。

「被疑者」になったらどうすればいい?

前科や逃走の可能性の有無によって保釈されることも

犯罪の疑いがあり身柄を拘束されたとしても、一定の要件を満たしていれば保釈が認められます。保釈されるための要件には「証拠隠滅の恐れがないこと」や「氏名と住所が分かっていること」「過去に重罪を犯していないこと」などがあり、それらを全て満たす必要があります。

ただ、上記の要件を満たしていたとしても、起訴される前の「被疑者」が保釈されることはありません。起訴されて「被告人」になった段階で要件を満たしていれば、保釈制度が適用されます。

国選弁護人に依頼することも可能

刑事事件にて被疑者の弁護活動を行う弁護士を「弁護人」と呼びます。弁護人には「私選弁護人」と「国選弁護人」の2種類があります。原則としては私選弁護人を選任しますが、資金不足などの理由がある場合は「国選弁護制度」を利用して、国選弁護人を選任することができるのです。

「国選弁護人」と「私選弁護人」の違いは費用を誰が負担するかにあるため、仕事内容や権限に違いはありません。

「被疑者」の対義語と英語表現とは?

「被疑者」の対義語は”被害者”

「被疑者」と反対の意味をもつ言葉(対義語)には“被害者”が当てはまります。「被害者」とは”被害を受けた人”を意味する言葉です。「被疑者」は疑いの段階ではあるものの”罪を犯したとされる人”を指しているため、「被害を受けた人」を意味する「被害者」が対義語となります。

「被疑者」は英語で”Suspect”

「被疑者」の英語表現に適しているのが“Suspect”です。「Suspect」とは”疑う”や”怪しむ”を意味する単語で、犯罪や病気などネガティブなものを疑う状況で使われます。「Suspect of ○○」と使うことで「○○の被疑者」を表せます。

例文
  • The suspect was taken.

意味:被疑者が連行された。

まとめ

「被疑者」とは”罪を犯したのではないかと疑われている人”を意味する言葉です。似た言葉に「容疑者・被告人・加害者」などがありますが、「起訴されているか」や「罪が確定しているか」によって使い分けましょう。

ABOUT US
hana
大阪在住の新人ライターです。学生時代にビジネスマナーや医療事務・秘書などの検定を取得し、前職は医療秘書として医院勤めでした。料理とスポーツが得意なので、いつか記事にできたらなと思っています。よろしくお願いします。