「浸漬」とは「液体に浸す」または「思想や噂が広まること」を意味する言葉です。「浸漬」の読み方には「しんし」と「しんせき」がありますが、どちらが正しいか分からない方もいるでしょう。
この記事では「浸漬」の使い方として、医療や米・酒、コーヒーの関連用語を紹介します。「浸漬させる」などの例文や類語・英語表現も解説しましょう。
「浸漬」の意味と読み方とは?
「浸漬」の意味は”液体に浸す・思想が次第に広まる”
「浸漬」の意味は、“液体に浸すこと・思想や噂などが次第に広まること”です。
2つの意味をもつ「浸漬」ですが、主に”液体を浸す”という意味で使用されます。
読み方は「しんし」、慣用読みで「しんせき」とも読む
「浸漬」の読み方は“しんし”です。また、「浸漬」の「漬」には旁(つくり)に「責(せき)」が使われていることから、“しんせき”とも読まれます。本来であれば「漬」に”せき”という読みはないため誤読となりますが、慣用読みとして認められています。
「浸漬液」の意味は”浸すための液体”
「浸漬」を使った言葉に「浸漬液(しんしえき)」があります。「浸漬液」とは“浸すための液体”を意味する言葉です。浸漬するときに使用される液体を指す状況で使用しましょう。
「浸漬」の使い方と例文とは?
「浸漬させる」「浸漬する」のように使う
「浸漬」は”浸漬させる”や”浸漬する”のように使います。「浸漬させる」と「浸漬する」は、主に”液体に浸す”状況で使用されます。「30分浸漬させる」や「果物を浸漬する」のように使用しましょう。
- 豆腐を作るために、まずは大豆を水に浸漬させる。
- 果物を洗って水気をとったら、専用の液体に入れて浸漬する。
「浸漬法」とは医療業界で使う言葉
「浸漬」を使った言葉に「浸漬法(しんしほう)」があります。「浸漬法」とは医療で使われる消毒法の1つで、”消毒剤をいれた容器に、器具を浸して消毒すること”を意味する言葉です。また、医療以外でもコーヒーの抽出方法や、塗装方法の1つとして「浸漬法」という言葉が使われます。
「浸漬法」が使われる業界は様々ですが、いずれも「しんしほう」または「しんせきほう」どちらの読み方でも問題ありません。
「浸漬式」はコーヒーの抽出方法の1つ
コーヒーの抽出方法には、「浸漬式(しんししき)」と「透過式(とうかしき)」の2種類があります。「浸漬式」とは”コーヒー粉を一定時間お湯に漬けこんで抽出する方法”を意味しており、「透過式」は”コーヒー粉にお湯を通して抽出する方法”を意味します。
「浸漬式」と「透過式」ではコーヒー粉がお湯にふれる時間が異なるため、味に違いが出るのです。「浸漬式」でコーヒーを淹れると粉がお湯にふれる時間が長いため、コーヒーの成分が多く抽出されます。そのため「浸漬式」は、コーヒーがもつ苦味や酸味を感じたい方に選ばれる抽出方法です。
「浸漬」は米や酒にも使われる
「浸漬」はお米の炊き方やお酒の作り方としても使われる言葉です。お米の炊き方として使う場合、「浸漬」は”お米を水に浸すこと”を意味します。洗米した後で水に漬け込むことでお米の芯まで水分が行きわたり、ふっくらとした炊き上がりになるのです。
また、お酒の作り方として使う場合、「浸漬」は”ベースとなる蒸留酒に果実を漬け込むこと”を意味します。たとえば梅酒の場合、ベースとなるアルコールに梅の実を半年から1年ほど浸漬させていることになります。
「浸漬」を使った例文
「浸漬」を使った例文をご紹介しましょう。
- 30分ほど浸漬させて炊くご飯は、とても美味しい。
- 日本酒を作る過程で、洗米と浸漬は欠かせない作業だ。
- 蒸留酒に苺やラズベリーを浸漬させて、果実酒を作った。
「浸漬」の類語とは?
「浸漬」の類語は”浸水”
「浸漬」と似た意味をもつ言葉(類語)には“浸水(しんすい)”が当てはまります。「浸水」とは”物が水に浸ること”を意味する言葉です。
「浸漬」と「浸水」では”浸る”という意味が共通しています。
「浸漬」と「浸水」の違いは何に浸るか
「浸水」は”水に浸ること”を指しますが、「浸漬」は”水だけでない、幅広い液体”に浸ることを意味します。たとえば薬品やアルコールなどであれば「浸漬」がふさわしいでしょう。
物が何に浸るかによって「浸漬」と「浸水」を使い分けることがポイントです。
- 豪雨によって、ほとんどの家が床上浸水の被害にあった。
- 船の最下層部はすでに浸水しているため、このままでは沈没するかもしれない。
「浸漬」の英語表現
「浸漬」は英語で”Soak”
「浸漬」の英語表現には“Soak”が当てはまります。「Soak」とは”(液体に)浸す”を意味する単語で、「浸漬」の1つ目の意味である”液体に浸すこと”を表せます。
- Soak rice for about 30 minutes.
意味:お米を約30分浸漬させる。
まとめ
「浸漬」とは”液体に浸すこと”または”思想や噂などが次第に広まること”を意味する言葉です。主に「液体に浸す」という意味で「浸漬させる」や「浸漬する」のように使われます。
「浸漬」は本来「しんし」と読み、「しんせき」は誤読とされていました。現代では慣用化され、「しんし」とも「しんせき」とも読まれます。
浸漬(しんし)