イギリスのカレーはなぜ美味しいの?歴史と日本のカレーとの関係

イギリスでどのレストランに行くのか迷ったら、インド料理店に行けば間違いないと言われるほど、イギリスのインド料理レストランの数は多く、カレーもおいしいので有名です。

今回は、イギリスにおけるカレーの歴史とイギリス生まれのカレーの他に、イギリス式カレーが与えた日本のカレーへの影響についても紹介します。

※この記事の担当:Light1(海外在住20年。イギリス在住経験あり。イギリスのビネガー味のフライドポテトが好き)

イギリスにおけるカレーの歴史とは?

東インド会社の商人たちがカレーをイギリスに伝える

カレーがイギリスに初めて伝えられたのは、17世紀に創設された東インド会社にまで遡ります。東インド会社はインド以西のアジア貿易を独占するため、エリザベス1世の許可を得てロンドンの商人たちが始めました。その商人たちがインド料理を懐かしみ、本国イギリスにカレーを紹介しました。

コーヒーハウスで初めてカレーが提供される

イギリスで最初にカレーが提供されたのは、ロンドンにある喫茶店でした。当時の喫茶店は「コーヒーハウス」と呼ばれていて、人々の社交場として活気がありました。

1733年頃のロンドンのヘイマーケット地区にあるコーヒーハウスでカレーが提供されていたという資料が残っています。また1784年までにはピカデリーサーカス地区のいくつかの人気のあるレストランでカレーとライスが一緒に提供されていました。

イギリス初のインド料理レストランもロンドンのマイフェア地区に1810年にオープンしました。

イギリス最初の料理本にもカレーのレシピが掲載

イギリスで最初の料理本として出版された本は、ハンナ・グラス著『the art of cookery made plain and Easy』(1747年)です。その初版にはカレーピラフのレシピが3種類に記載されています。再販では鶏肉またはうさぎ肉を使ったカレーとインド・ピクルスのレシピも紹介されました。

カレーは陸軍食堂や一般家庭で定番の昼食になる

カレーが初めて紹介されて以来、カレーはイギリス人の間で浸透していくのですが、1857年のインド大反乱で東インド会社が解散することになり、イギリス国内でインドの装束を着るなどのインド文化を禁じられると、カレーの人気もなくなりました。しかし、陸軍食堂や一般家庭などでは昼ごはんの定番料理として引き続き食べられました。

そして現在では、カレーはイギリスの国民食と呼ばれるほどによく食べられています。

日本のカレーはイギリス式がルーツというのは本当?

日本式のカレーはイギリスから伝えられた

日本のとろみのあるカレーは、明治時代にイギリスから伝えられました。イギリスでは19世紀に初めてカレー粉が作られて、小麦粉でとろみをつけるという調理法もイギリスで生まれました。

このイギリス式のカレーが日本に伝えられて、日本式のカレーの基礎ができました。

日本のカレーは海軍により広められた

日本でカレーは旧日本海軍で食べられていたことで広まりました。カレーは初めは高級レストランのメニューのひとつとして提供されていたのですが、明治36年にカレー粉が発売されると旧日本海軍でカレーが食べられるようになりました。この海軍で食べられたカレーを特に「海軍カレー」と呼び、徐々に一般家庭にも広まっていきました。

イギリスではカレーとライスは別の皿で給仕される

日本のカレーはイギリスから伝えられましたが、イギリスと日本のカレーでは違いもあります。それはカレーの給仕のされ方です。

イギリスのレストランでカレーを注文するときは、カレーとは別にライスまたはナンを注文します。カレーを頼んだだけでは、ライスやナンが付いてくることはありません。

またカレーとライスがワンプレートでは提供されることはなく、カレーとライスはそれぞれ別の皿に乗ってきます。食べるときに少しずつカレーをライスにかけながら食べます。

カレー全部を一度にライスの上にかけたり、カレーとライスをぐちゃぐちゃに混ぜ合わせたりしないのがマナーです。

イギリス生まれのカレーとは?

「チキン・ティカ・マサラ」はマイルドなカレー

1990年代に「真なるイギリス料理」とも呼ばれるようになった「チキン・ティカ・マサラ(chicken tikka masala )」はクリーミーなチキンカレーで、イギリスで生まれたカレー料理だと言われています。タンドールで焼いた鶏肉を柔らかく仕上げるために、また辛みの苦手なイギリス人のためにクリームも合わせて煮込んだカレーです。

「チキン・ティカ・マサラ」の発祥は、一説によればは1960年代にバングラディッシ出身のシェフが新しいインド料理として紹介したと言われていますが、別の説では1971年にスコットランドのグラスゴーにいたパキスタン人のシェフがヨーグルトやクリームを加えたカレーを紹介したのが始まりだとも言われています。

「バルチ」は独特の鉄鍋が特徴的

「バルチ(Balti)」は羊肉またはヤギの肉を煮込んだカレーです。バルチ鍋と呼ばれる薄い中華鍋のような鉄鍋で出されるため、「バルチ」という名前がついたと言われています。

様々なレシピがあるのですが、主なスパイスはニンニクと玉ねぎ、ターメリックとガラムマサラで、バルチ鍋で野菜や肉を炒めてソースを絡めて仕上げます。

「バルチ」は1971年にイギリスの都市バーミンガムか、北パキスタンのバルティスターンで生まれたという2説があり、バーミンガムではバルチを提供するレストランを特別に「バルチ・ハウス」と呼んでいます。

まとめ

カレーはイギリスの国民食と言われるほど、イギリス人に浸透している食べ物です。その味は「チキン・ティカ・マサラ」のようにマイルドなカレーもあり、日本人の舌にも合いやすい味だと言えるかもしれません。イギリスに行ったら是非イギリスのカレーを試してみてください。