ビジネスシーンでも「協議」という言葉はよく使われています。類語に「審議・検討・議論」などもありますが、それぞれニュアンスが違うため使い分けには注意しましょう。
今回は「協議」の意味や使い方、法律上の「協議離婚」についての解説です。類語である「審議・検討・議論」との違いや英語表現についても紹介します。
「協議」の意味とは?
「協議」の意味は”集まって相談し方向性を決めること”
「協議(きょうぎ)」とは、複数の人が集まって相談をすること。「協」という字には”力を合わせる”という意味があり、「議」には”相談する”や”話しあう”という意味があります。複数の人が集まって話しあうことであり、考えを出しあって相談を行うことです。
必ずしも決定を行うという意味ではありませんが、話しあったうえで何らかの方向性を決めるというニュアンスを含んでいます。
「協議離婚」とは公式な場で話し合いにより離婚成立すること
「協議」を使った言葉に「協議離婚」があります。法律上で使う「協議」とは、”お互いが十分に意見交換を行い、双方が納得し最終的な意思決定を行うこと”をさします。
公式な協議する場所が設定され、弁護士や裁判所など法律をじゅん守する第三者が立ち会うのが一般的です。双方の話し合いの上で合意して離婚成立する協議離婚などがこれに当たります。
「協議」の使い方と例文とは?
話しあって方向性を決めますと伝えるときに使う
「協議」という言葉は、”話しあって方向性を決めます”という意味合いを伝えるときに使います。たとえば、取引先との話し合いで結論を出すよう言われた場合に、「いったん持ち帰って社内で協議します」と表現します。
「社内で話しあい方向性を決めてから結論を出します」というニュアンスです。
ビジネスでは「ご協議いただく」と使う
「協議」は、ビジネスメールなどの文章でも使える言葉です。目上の人に使う場合には、接頭語である「ご」を付けて「ご協議」としましょう。
上司や取引先の人など目上の人に対して、「ご協議いただきたいのですが」や「ご協議いただけますか?」などと表現します。また、「ご協議いただきありがとうございます」など、感謝を述べる場合にも使える表現です。
取引先へ相談をしてほしいとお願いする場合には「ご協議いただきますようお願いいたします」などと表現します。「恐れ入りますが」とつけると、さらにていねいな表現です。
「協議」を使った例文
「協議」を使った例文をご紹介しましょう。
- その件につきましては、関係各位と協議してからお知らせします。
- 町内会の集まりで防犯対策について協議した。
- 来月予定の催し物について協議の末、当初の予定通り開催することが決定しました。
- 友人が半年の話し合いの末に協議離婚したらしい。
「協議」の類語・類義語とは?
「審議」とは”調査したり検討したりして結論を出すこと”
「審議(しんぎ)」とは、”物事を調査したり検討したりすること”です。「審」には”しらべる・はっきりする・良し悪しを決める”という意味があります。最終的に何かしらの結論を出すというニュアンスもあります。
「協議」は”話しあい方向性を決める”という意味であり、必ずしも決定や結論を出すという意味ではありませんが、「審議」は”調査や検討して最終的に何かしらの結論を出す”というニュアンスです。
- 今後の方針について審議しました。
- その件については、十分審議がされたと聞いています。
「検討」とは”よく調べてよく考えること”
「検討(けんとう)」とは、”物事をよく調べてよく考えること”ことです。「検」には「しらべる」という意味があり、「討」には”詳しくしらべる”や”きわめる”という意味があります。しっかりと調査しさらにしっかりと考えることを「検討」と言います。
「協議」は”複数人で話しあいを行う”という意味ですが、「検討」は”よく調べてよく考える”という意味合いであり、必ずしも複数で行うとは限りません。そのため、ひとりで調べ考える場合も「検討」と表現できます。
- その企画についてはまだまだ検討の余地があると思います。
- ご検討のほどお願いいたします。
「議論」とは”お互いの意見を述べ話しあうこと”
「議論(ぎろん)」とは、”お互いの意見を述べて話しあうこと”であり、また話しあうこと自体もさす言葉です。「議」には”相談すること”の他に”批評する”という意味もあります。単に「相談」や「話しあい」というよりも、相手の意見に対して批評したり論じあったりして、活発な意見交換と行うという意味を持つのが「議論」です。
「協議」は複数での話し合いをして方向性を決めることですが、「議論」はお互いの意見を述べて論じあうことであり、意見を戦わせるというニュアンスです。
- 私の会社では毎日のように議論を行うことで多くの企画が生まれた。
- 建設的な議論なら積極的に行うべきだと思う。
「協議」の英語表現とは?
「協議」は英語で”conference”
「協議」を英語で表現するには、“conference”が当てはまります。「会議」や「相談」などのニュアンスも持つ単語です。また、「討論」や「検討」というニュアンスもある「discussion」も、「協議」という意味でも使えます。
まとめ
「協議」という言葉の意味と使い方について、類語である「審議」や「検討」「議論」との違いも含めて紹介しました。
「協議」とは、「複数人で話しあい方向性を決める」という意味の言葉。必ずしも決定や結論を出すというニュアンスは含まないのが特徴のひとつです。また、目上の人に使う場合には、「ご協議」を用いましょう。