大学に入ると「ゼミ」という言葉を頻繁に見聞きします。一般的には複数の生徒が集い、教授や講師を迎えて授業を行うスタイルのことを指しますが、詳しくはどのような意味合いを持つのでしょうか?
ここでは「ゼミ」の意味と英語表記、似た言葉「研究室」との違いなどをわかりやすく解説します。
「ゼミ」の意味と語源とは?
「ゼミ」の意味は”専門分野を少数で学ぶ授業”
「ゼミ」の意味は、“大学やその他の教育機関で専門分野を少数で学ぶ授業スタイル”のことです。大人数の生徒を迎えて行われる、一般的な大学の授業のことではなく、ごく限られた人数で行なわれるのが「ゼミ」です。
「ゼミ」は、主に特定の専門分野を研究したり、互いの研究成果を発表したりすることが目的となります。
「ゼミ」の語源は英語の”seminar”
「ゼミ」は英語の”seminar(セミナー)”を語源に持つカタカナ語です。「セミナー」とは、もともと”専門的な会議”を意味する言葉で、「保護者セミナー」や「セミナー出席者」など、日本語としても馴染みのある言葉でしょう。
ちなみに「ゼミ」とは”ゼミナール”の略語です。そのため「ゼミ」も「ゼミナール」も同じ意味を持ちますが、「ゼミナール」は英語の読み方ではなく「ドイツ語」での発音となります。
つまり「ゼミナール(ドイツ語)=ゼミ(ドイツ語での略語)=セミナー(英語)」となります。そのため、英語圏で「ゼミ」と言っても意味は通じません。
「ゼミ」の特徴とは?
「ゼミ」とは”深く個人的な授業スタイル”
大学の授業スタイルを例にとると、講堂で行なわれる「授業」と、研究室に入って進められる「ゼミ」との2つがあります。
一般的な「授業」では数百人の生徒を迎えて、一斉に授業が始められます。一方で「ゼミ」の場合は、小人数(数人から10人程度)で、より深く個人的に研究を行います。そのため、たとえ教授や講師が一人でも、生徒一人ひとりと向き合う時間が増えたり、生徒の発言回数が大幅に増えるのも特徴です。
「ゼミ」では社会人としてのスキルも習得
「ゼミ」は専門知識だけを習得する場所ではありません。その他、社会人として必要とされる適切なマナーやコミュニケーション能力なども学んでいきます。
「ゼミ」という特色柄、他の学生(参加者)と意見交換をしたり、互いの研究成果を発表したりする場面が増えてきます。加えて、教授や教員からの指導を受けながら、他と学生と議論を繰り返すことも多くなります。
こういったゼミの流れの中で生まれる「マナー」や「コミュニケーション能力」は、社会人として役に立つ必須スキルとなります。「ゼミ」で得られるスキルは専門知識だけではなく、社会人として成功するための要素がギッシリ詰まっているのです。
「ゼミ」の使い方と例文とは?
「ゼミ」と「セミナー」ではややニュアンスが異なる
「ゼミ」も「セミナー」も、基本的には語源が同じで、同様の意味を持ちます。しかし、日本語として使われている「ゼミ」と「セミナー」ではニュアンスや使い方がやや異なってきます。
一般的には、短期大学を含む大学、その他の高等専門機関で行なわれるものを「ゼミ」と呼び、「保険運用セミナー」や「クッキングセミナー」など、企業や組織が一般の人に開催するものを「セミナー」と呼ぶことが多いようです。
「ゼミ」と「研究室」の違いも確認しておく
「ゼミ」と似た表現に「研究室」があります。無意識のうちに混同してしまいそうな二つの言葉ですが、それぞれ異なる意味があるため確認しておきましょう。
「研究室」は通称「ラボ(laboratory)」と呼ばれ、大学や高等専門機関、企業の研究開発部門などに設けられる研究単位です。「研究室」は、主に教員や研究者、また学生などが実習や実験などに使う空間を指しています。
「ゼミ」が”専門分野を少人数で学ぶ授業体系”を指すのに対し、「研究室」は”教員や生徒のが実習などを行うプライベート的な空間、つまり場所”を意味します。
〇 ゼミに参加する
X 研究室に参加する
「ゼミ」を使った例文
「ゼミ」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 保険に関するゼミが、企業内で行なわれた。
- 田中ゼミは、大学内でもスパルタだと噂である。
- ゼミに参加して、グラフィックデザインの最先端を学ぶ予定だ。
- 短大を卒業するためには、どこかのゼミに所属しなければならない。
- マンションを賢く購入するためのゼミが、市民ホールで開催された。
まとめ
「ゼミ」とはドイツ語の”ゼミナール”の略称で、「専門的な事柄を少人数で学ぶ授業スタイル」という意味を持ちます。ちなみに「ゼミ」は英語で”seminor(セミナー)”となります。
「ゼミ」はより深く個人的に授業を行うため、参加者の発言回数が多く、教授や教員との距離が近いのが特徴です。「ゼミ」では社会人として必要な「マナー」や「コミュニケーションスキル」を習得できる他、議論や討論の実践を重ねることができる格好の場所だとも言えるでしょう。
また、似たような表現に「研究室」がありますが、「ゼミ」とは意味がやや異なります。違いを理解して、上手に使い分けをしていきましょう。