「自意識」や「自意識過剰」の意味とは?使い方や類語・英語も

「自意識が高い」「自意識が強い」など、人の特徴や性質を表す時に「自意識」という表現を用いることがあります。普段は無意識のうちに使ってしまっている言葉ですが、「自意識」とは哲学的にどのような意味があるのでしょうか?

ここでは「自意識」について、類語や英語表現を含めてわかりやすくご紹介します。

「自意識」とは?

「自意識」の意味は”自分についての意識”

「自意識(じいしき)」の意味は、“自分についての意識”です。つまり「自己意識」のことを指します。自分自身と周囲の人とを区別し捉えた「自分への意識」を意味し、自我が己という存在を認識し、考え、そして行動を起こす意識そのもののことです。

「自意識」は、自分がどのような人物であるか、周囲からどのように見られているかどうかなど、自分自身に向けられた感覚や感情などを表しています。

「自意識」は幼少期には存在しない

「自意識」は、”こうなってはいけない・こう見られると恥ずかしい”など、本質的には「反省的な意識」のことを指しています。こういった感情や意識は、自分が体験したことや周囲から受けた影響がもととなって形成するため、一般的には「幼少期」には存在しないと言われています。

「自意識」とは、言ってみれば「自覚」のことでもあります。でもあります。

「自意識」は内面に向けられた意識

「自意識」とは、外界に向けた意識ではなく、自分の心や気持ちなど「自己の内面に向けられた醒めた意識」のことでもあります。そのため、自意識が過剰になると孤独感が強まってしまい、一方的に孤立してしまう場合があります。

「自意識」が強すぎる人は、周囲からどのように見られているかを常に気にする傾向があります。一般的にプライドが高く、髪型や服装などに強いこだわりがあるのが特徴です。

「自意識過剰」とは”他人からの視線に過剰に反応すること”

「自意識過剰」とは他人からどのようにみられているか、どのような評価されているのかなどを過剰に気にしてしまうことを意味します。常に周囲の目が気になってしまい、世間からの目や判断などに以上に反応してしまう状態のことを指します。

「自意識過剰」は自己に対する他人の視線を意識し過ぎてしむことを表す言葉で、通常はあまり良い意味では使われません。

また「自意識が高い」「自意識が低い」という表現もよく使われますが、これは「自意識のレベル」の高低を意味する言い回しとなります。

「自意識」の2つの種類とは?

「私的自己意識」とは他人には見えない感情や思考のこと

「私的自己意識」とは、自己の感情や思考のことを指します。「私的自己意識」は内面に存在する「他人から見えない部分」であり、感覚や態度、思考や気持ちなどのように、自己の内面に意識を向けることを意味します。

たとえば、人前に出ると上がってしまう人は「私的自己意識」が過剰だと言えます。他人から非難されたり、評価されることを恐れる傾向が強く、緊張のあまり言葉が出なくなったりすることもあるでしょう。しかし、他人からはそういった心情を図り知ることはできません。

「公的自己意識」とは外面や身なりを気にすること

一方「公的自己意識」とは、外面や身なりなど外見的な部分を意識することを言います。たとえば、会社に高級ブランドのスーツを着て行ったり、髪型やメイクに異常にこだわったりするような人は、公的自己意識が高いと言えます。

「公的自己意識」は周囲から自分がどのように見えているか「外見」に意識を向けることを指します。

つまり、内面にある気持ちや感情、考え方ではなく「見た目」だけに注意を傾けることや、他人から見て、自分を美しく華麗に演出したいという欲求そのものが「公的自己意識」となります。

「自意識」の類語とは?

類語①「自覚」とは自分の状態や価値を認識すること

「自覚」とは、自分の置かれた状態や自分の価値、能力などをを認識することを意味します。「自覚」はもともと仏教用語で、自分が持つ意識の有無を知ることを表す言葉です。

「自覚」の「覚」は「覚る」のことで「意識が起こる」「知らなかった道理に気付く」という意味を持ちます。つまり「自覚」とは「自分に向けた意識が起こること」を表します。

また「自覚」とは、哲学的な観点から「自分に対して価値を見出し、意識し始める自意識のこと」を言います。

例文
  • 二十歳を過ぎたら、大人になったという自覚を持ちなさい。
  • 社会人としての自覚が欠けないように、常に責任を持って行動すべきだ。

類語②「自己認知」とは自分の価値観を把握すること

「自己認知」とは、自分の価値観をはじめ、自分の長所や短所、能力や優れている点などを把握することを意味します。自分の強みや弱みを知り、自分自身について正しく理解することを「自己認知」と呼んでいます。

「自意識」は他所と区別して、自己を己と意識すること総称しますが、「自己認知」は自分の価値観や優れている点、弱い部分などを把握することを指すため、ややニュアンスが異なります。

例文
  • 正しく自己認知をすることで、自分の弱みを克服することができる。
  • 生産性を高めるには、社員のそれぞれが正しい自己認知をすることが大切である。

「自意識」の英語フレーズとは?

「自意識」は英語で”self-consciousness”

「自意識」は英語で“self-consciousness(セルフコンシャスネス)”と言います。純粋に「self(自己)」と「consciousness(意識)」を組み合わせて”自意識”という意味で使われている単語です。

その他、「a sense of oneself」「a sense of self」などのフレーズも使うことがありますが、一般的には「self-consciousness」を用いる場合がほとんどです。

「自意識」を使った英語例文

「自意識」を使った英語例文をご紹介しましょう。

  • 彼は自意識過剰である。
    He is extremely self-conscious.
  • 自意識に縛られる人生はこりごりだ。
    I have enough of life bound by self-consciousness.
  • 自然が一番。自意識を隠す必要もないよ。
    Staying natural is the best. You don’t even need to hide self-consciousness.

まとめ

「自意識」とは”自分への意識”や”自己意識”のことで、他者と自分を区別して己を認識する意識や感覚のことを意味します。「自意識」は体験や周囲からの影響で芽生えるものであるため、幼少期には存在しないと言われています。

また、よく使われる熟語表現は「自意識が強い」「自意識過剰」などですが、これらに当てはまる人はプライドが高かったり、あがり症だったりすることが多いようです。親しい間柄なら良いですが、職場やビジネスシーンでは、言葉を使う時は相手に気を付けましょう。