「イギリス通貨」とは?歴史や英語表現・ユーロ拒否の理由も解説

イギリスの通貨単位はポンドとペニーですが、イギリス国内で流通している紙幣のデザインが一つではないことに驚きます。今回は、イギリス通貨の単位や複数ある紙幣について解説して、イギリス通貨の歴史を振り返ります。また、イギリスがEU加盟国でありながらユーロを導入しなかった理由についても説明します。

※この記事の担当:Light1(海外在住20年。イギリス在住経験あり。イギリスのビネガー味のフライドポテトが好き)

イギリスの通貨単位とは?

イギリスの通貨単位は「ポンド」と「ペニー」

イギリスで使われている通貨単位は「ポンド(pound)」と、1ポンドよりも小さな単位である補助単位は「ペニー(penny)」です。「ペニー」は複数形になると「ペンス」(pence)となるので注意しましょう。

ポンドとペニーのレートは1ポンド=100ペンスです。

イギリス通貨のマークは「£」や「p」

イギリス通貨のマークは「ポンド」が「£」で、「ペニー」は小文字の「p」を使います。価格を表示するときなどに使われます。

価格の表示例
  • 「£1.50」:1ポンド50セント
  • 「90p」:90ペンス

イギリスには複数のデザインの紙幣が流通

イギリス通貨には紙幣と硬貨があり、法定通貨はイギリスの中央銀行であるイングランド銀行によって発行されています。この通貨はイギリス全土で利用できます。

ところが、紙幣の発行はイングランド銀行以外でも、スコットランドの3つの銀行と北アイルランドの4つの銀行が許されていて、それぞれ独自のデザインの紙幣を発行しています。

公的にはどの紙幣もイングランド銀行が発行した法定通貨と同じ価値があるのですが、スコットランドや北アイルランドで発行された紙幣を別の地域で使うと偽造紙幣と疑われることもありトラブルが多いのも事実です。また法定通貨以外の紙幣は日本円などの外国通貨に換金できない点も旅行者は知っておいた方がいいでしょう。

イギリス通貨の歴史とは

「ポンド」の由来はラテン語「リーブラ」

「ポンド」の由来はラテン語の「リーブラ(libra)」で、天秤を意味しています。「リーブラ」は古代ローマで重さや通貨の単位として使われていました。この語源から、ポンドが「リブラポンド」と呼ばれることもあります。

また「£」というマークは、リーブラの頭文字の「L」を基にデザインされました。

1ポンド=240ペンスの時代もあった

現在では1ポンド=100ペンスというレートですが、かつては1ポンド=240ペンスという時代もありました。1ポンド=240ペンスというレートは計算が大変だということで、1971年に1ポンド=100ペンスが採用されました。

シリングは1971年まで使われていた通貨

イギリスにはかつて「シリング(shilling)」という通貨がありました。シリングのマークは小文字の「s」とピリオドを組み合わせた「s.」で、この「s」はシリングの頭文字ではなく、ラテン語「ソリドゥス(Solidus)」の頭文字です。「ソリドゥス」はローマ帝国などで使われていた金貨の総称でした。

シリングのレートですが、1ポンド=20シリングでした。

第一次世界大戦以前はイギリスポンドが世界基準

イギリスポンドはかつて世界基準の通貨として扱われていました。大航海時代に造船技術と科学技術の発展に支えられて、イギリスは世界へと進出して植民地を拡大していきます。その過程でイギリスポンドが使われていたため、イギリスポンドが世界で最も普及した通貨でした。

しかし第一次世界大戦後にアメリカが世界経済の主導権を握るようになってから、イギリスポンドに代わり米ドルが最も信用度の高い通貨として扱われるようになり、現在まで続いています。

イギリス通貨を英語で話すときに気を付けることとは?

「ポンド」の発音は「パウンド」

「ポンド(pound)」は英語でポンドと言っても通じないでしょう。英語での発音は「パウンド」になります。複数形なら「パウンズ(pounds)」です。

お金の言い方のスラングを聞き逃すな

日常会話では、お金のことを話すときにスラングが使われることがあります。「ポンド」は「クウィッド(quid)」、「ペンス」や「ペニー」は省略されて「ピー(p)」と呼ばれます。また5ポンド紙幣を「ア・ファイバー(a fiver)」、10ポンド紙幣を「ア・テナー(a tenner)」と言います。ただしこれらのスラングは親しい間柄での会話の中で使われる言葉遣いで、店頭やレストランなどでは使わないようにしましょう。

紙幣は「ノート」と表現する

イギリスでは紙幣のことを「bank note」と表現します。「note」にはメモ書きや記録といった意味もあるのですが、イギリス英語独特の使い方で紙幣という意味もあります。

紙幣のイギリス英語表現

“ten pound note”「10ポンド紙幣」

イギリスでユーロは導入されなかった理由とは?

ユーロ導入により経済的な成長が見込めないため

イギリスはEU加盟国(2020年11月現在)ですが、ユーロは導入しませんでした。その理由は様々考えられるのですが、一つはユーロ導入時期のイギリス政権はサッチャー政権で、自由貿易の擁護する立場からユーロ導入はもちろんのこと、EU加盟に関しても反対する姿勢を見せていました。

また当時のイギリスの経済状態はインフレ傾向で金利は高騰して、景気も後退していました。もしもユーロを導入すれば物価の安定が予測され国内経済の安定が見込まれました。しかしユーロはEUのコントロール下になるため、イギリス独自の為替政策ができなくなり経済の変化に対応した政策ができなくなること、また金融面での成長が見込まれないことなどの理由からユーロ導入を拒否したと言われています。

EU加盟国でもユーロを導入していない国

EU加盟国は27ヵ国あるのに対して、ユーロを導入しているユーロ圏は19ヵ国です。つまりEU加盟国にはイギリスのようにユーロを導入せずに独自の通貨を使っている国が他にもあります。

ユーロを導入していないEU加盟国

デンマーク、チェコ、ハンガリー、クロアチア、スウェーデンなど。

まとめ

イギリスで流通している通貨は「ポンド」と「ペニー」(複数形「ペンス」)ですが、その紙幣はイギリス銀行が発行している法定通貨以外にも、スコットランドや北アイルランドで発行している紙幣もあり複雑です。換金できる紙幣は法定通貨だけですので、換金する場合はイングランド銀行発行の紙幣だけを手元に残しておくようにしましょう。