「御香典」の読み方や金額とは?御霊前・御仏前との違いや書き方も

通夜や葬儀に持参する「御香典」には、表書きは薄墨で書く、金額は旧字体の漢字を使うなどのルールがあります。また、「御霊前」や「御仏前」との使い分けを正しく把握していますか?

この記事では、「御香典」の意味や読み方、表書きの書き方などを紹介します。「御霊前」や「御仏前」との違いについても解説しましょう。

「御香典」とは?

「御香典」の意味は”故人へのお供え物”

「御香典」の意味は、“故人へのお供え物”のことです。「香」は”線香”を意味し、「典」は”お供え”を意味しています。通夜や葬儀・告別式などへ持参するお供え物をさす言葉ですが、一般的には不祝儀袋で包んだ現金を「御香典」と言います。

「御香典」の読み方は”おこうでん”

「御香典」の読み方は“おこうでん”ですが、「ごこうでん」と読む人も多くいます。

接頭語である「御」は、「御」がつく言葉が音読みの場合には「ご」、訓読みの場合には「お」と読むのがルールです。しかし日常的に使われている言葉には例外も多く、「御香典」はこの例外にあたります。

どちらが正解というわけではありませんが、一般的には「おこうでん」です。

「御香奠」は”御香典”の古い漢字表記

不祝儀袋の表書きに「御香奠」と書いているものもあります。これは「御香典」と同じ意味の言葉で、一般的には「ごこうでん」と読みます。

「奠」は”神仏へのお供え物”という意味を持つ漢字であり、常用漢字ではありません。難しい表記のため現代ではあまり使われませんが、販売されている不祝儀袋には「御香奠」と印刷されているものも多くあるため、覚えておくと良いでしょう。

「御香典」の書き方とは?

表の中央下側に肩書と氏名を記入する

「御香典」の表には、自分の氏名を記入します。会社名など肩書が必要の場合には、名前の右側に記入します。3名までの連名で包む場合は氏名を並べて記入しましょう。この時、序列があるなら目上の人を中央に記入し、左側へ順に氏名を記入します。4名以上の場合は、代表者や部署名などを併記し「〇〇一同」と記入します。

連名の場合には、内袋にそれぞれの住所・氏名とともに金額も記入します。パソコンなどで作成しプリントアウトした別紙でも問題ありません。

金額は旧字体の漢字を使用する

中袋がついているタイプは内袋にお札を入れます。また、中袋に包んだ金額を記入する際には、旧字体を使用するのが一般的です。「円」は「圓」の字を使用し、「金〇〇圓」のように書きます。

また、中袋の金額は縦書きが一般的です。横書きの場合には算用数字を使用しますが、縦書きには数字も旧字体を使用しましょう。

金額の書き方例
  • 3000円 → 参仟圓
  • 5000円 → 伍仟圓
  • 10000円 → 壱萬圓
  • 50000円 → 伍萬圓
  • 100000円 → 壱拾萬圓・拾萬圓

通夜や葬儀・告別式には薄墨を使用する

通夜や葬儀・告別式に「御香典」を持参する場合、表書きは薄墨で書くのがマナーとされています。

昔は硯(すずり)を使用して墨を擦っていましたが、墨を擦るには時間がかかるものです。不祝儀袋に薄墨を使うことで、急な訃報に墨を擦る時間がなかったという意味になり、お悔やみの気持ちを表現します。

現代では墨を薄めたり筆ペンを使用したりすれば簡単に書くことができますが、原則として残っている風習です。

「御香典」の金額や入れ方とは?

偶数及び4と9の金額はさける

「御香典」に入れる金額は、偶数をさけ奇数にするのが一般的です。偶数は割り切れる数字のため、故人や遺族との縁が切れると連想されるため、避けるのが無難とされています。

また、「4」や「9」といった数字は、それぞれ「死」や「苦」を連想させるため縁起が悪い数字として、さまざまなシーンで使用が避けられています。「御香典」でも避けておきましょう。

お札はそろえて入れる

「御香典」に入れるお札は、向きをそろえて入れましょう。人物の描かれている方を後ろにして入れるのが良いとされています。また、一万円を包む場合に千円札を10枚や5千円札を2枚入れると、受け取る側の負担になります。できるだけ少ない枚数のお札で包むのが良いでしょう。

「御香典」と類語との違いとは?

「御霊前」とは”故人の霊前へのお供え物”

「御霊前(ごれいぜん)」とは、仏式での通夜や葬儀でのお供え物のこと。仏教では四十九日までは死者が霊の状態でさまようとされています。そのため、四十九日までは「御霊前」が使用できます。多くの宗派で使える表書きですが、浄土真宗の場合には四十九日以前でも「御仏前」のため注意しましょう。

「御香典」は仏式の葬儀であれば問題なく使用できます。宗派が確認できない場合には「御香典」を使用するのが無難です。

「御仏前(ごぶつぜん)」とは”成仏した故人へのお供え物”

「御仏前」は、成仏した故人へのお供え物のこと。仏教では四十九日が過ぎると個人は成仏し仏になるとされています。そのため、四十九日以降の法要でお供え物として持参する場合には、「御仏前」を使用します。また、四十九日の法要の場合にも「御仏前」です。

まとめ

「御香典」の意味をはじめ、書き方や「御霊前」「御仏前」との違いについて解説しました。

「御香典」とは”故人へのお供え物”であり、一般的に不祝儀袋で包んだ現金をさします。仏式の通夜や葬儀へのお供え物として「御霊前」もありますが、浄土真宗の場合には「御霊前」は使用できません。宗派が確認できない場合には「御香典」を使用するのが無難です。

最低限のルールは把握しておきましょう。いざというときに慌てることなく対応できます。