「機序」の意味とは?使い方・読み方と類語「機構」との違いも

「機序(きじょ)」とは「仕組み」を意味する言葉です。医学や看護学、薬理学で使われることの多い「機序」ですが、「機構」との違いが分からない方もいるでしょう。

この記事では「機序」の読み方や使い方の例文、類語「機構」との違いを解説します。くわえて「機序」の英語表現も解説しましょう。

「機序」の意味と読み方とは?

「機序」の意味は”仕組み”

「機序」の意味は、“仕組み”です。ある反応が起こる仕組みや、物事が成り立つ仕組みを表す状況で使われます。「機序」の「機」には”からくり”という意味が、「序」には”物事の順序や秩序”という意味があります。

「機序」の読み方は”きじょ”

「機序」の読み方は“きじょ”です。日常的に使われる熟語ではないため、誤記や誤読に注意しましょう。

「機序」の使い方と例文とは?

「機序」は物事が成り立つ仕組みを表す状況で使う

「機序」とは”物事が成り立っている仕組み”を意味する言葉です。「メカニズム」とも言い、「なぜその物事が成り立っているのか?」という背景にある仕組みを指す状況で使用しましょう。

「作用機序」は医学や看護学で使う言葉

「機序」を使った言葉に「作用機序」があります。「作用機序」は医学や看護学、薬理学で使われる言葉で、”薬物が人体へ与える効果の仕組み”を意味します。どのような仕組みで薬物が人体へ効果をもたらすのかを知ることで、副作用の種類や対策を予想しやすくなるのです。

例文
  • 現代の医学をもってしても、作用機序が明らかになっていないものもある。
  • 生物毒は作用機序によって、4つの種類に分けられている。

「発生機序」の意味は”物事が起こる仕組み”

「発生機序」とは”物事や反応が起こる仕組み”を意味する言葉です。主に病気や人体の反応について使用されることが多く、「心筋梗塞の発生機序」や「痛みの発生機序」のように使われます。

例文
  • 子宮筋腫の発生機序に関するセミナーを受講してきた。
  • 長い間原因が解明されていなかった病の、発生機序が判明した。

「機序」を使った例文

「機序」を使った例文をご紹介しましょう。

  • うつ病に一定の効果がある一方で、作用機序にやや不明な点がある。
  • 多くの謎があった自己免疫疾患の発症機序だが、次第に明らかになった点もある。
  • 作用機序を解明するため、研究員の募集がかけられた。
  • いまだ発生機序も治療方法も分かっておらず、対症療法で症状を和らげている。

「機序」の類語とその違いとは?

「機序」の類語は”機構”

「機序」の類語には“機構(きこう)”が当てはまります。「機構」とは”機械などの様々な部分が互いに関連して、働くことの仕組み”や”会社などの組織の仕組み”を意味する言葉です。「機序」と「機構」は”仕組み”という意味が共通しているため、類語として使用できます。

例文
  • 大学では、人体の感染に対する防御機構の研究をしていた。
  • 功績が認められ、アメリカにある研究機構へ栄転することが決まった。

「機序」と「機構」の違いは”何の仕組みか”

「機序」と「機構」の違いは”何の仕組みなのか”にあります。「機構」とは”複数の要素から全体が成り立つための仕組み”を意味する言葉です。「社会機構」という言葉で例えると、”個人や集団、組織が目的のために意図する行いができるよう、制度化された仕組み”を意味します。

上記のように「個人」や「集団」「組織」など、複数のものから全体が成り立つ仕組みを「機構」と呼ぶのです。一方で「機序」は”その物事が成り立つ背景にある仕組み”を意味します。多くの人が感じたことのある「痛み」で例えてみましょう。「痛み」は感覚の1種で、熱刺激や機械刺激などの理由から痛みを感じます。

たとえば骨折の場合、骨自体に知覚神経はありませんが骨を覆う「骨膜(こつまく)」が損傷したり、周囲の筋肉や人体が損傷したりして痛みを感じます。骨を覆う骨膜や周囲の筋肉が損傷して「痛み」を感じるように、「物事が成り立つ背景にある仕組み」を表す状況で「機序」が使われるのです。

  • 機序…その物事が成り立つ背景にある仕組み。
  • 機構…複数の要素から全体が成り立つための仕組み。

「機序」の英語表現とは?

「機序」は英語で”Mechanism”

「機序」の英語表現に適しているのが“Mechanism”です。「Mechanism」とは”仕組み”や”機構”を意味する単語で、日本語でも「○○のメカニズム」のように使われます。たとえば「Mechanism of action」と使うことで”作用機序”という意味になります。

「機序」の英語を使った例文

「機序」の英語を使った例文をご紹介しましょう。

Know the mechanism of pain.

意味:痛みの機序を知る。

まとめ

「機序」とは”仕組み”を意味する言葉で、カタカナでは「メカニズム」とも表します。物事が成り立っている背景にある仕組みを表す状況で、「作用機序」や「発生機序」のように使われます。

類語には「機構」が当てはまりますが、「何の仕組みを表すのか」によって使い分けましょう。

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hana
大阪在住の新人ライターです。学生時代にビジネスマナーや医療事務・秘書などの検定を取得し、前職は医療秘書として医院勤めでした。料理とスポーツが得意なので、いつか記事にできたらなと思っています。よろしくお願いします。