「どんでん返し」は、状況や立場などが想像したものと逆の方向へひっくり返った時に使われる熟語表現です。普段は無意識のうちに使っていますが、由来についてもちょっと気になったりしませんか?
ここでは「どんでん返し」の意味をはじめ、由来、使い方などについてご紹介します。
「どんでん返し」の意味と由来とは?
「どんでん返し」の意味は”話の展開が逆転すること”
「どんでん返し」の意味は、“話や状況などの展開が正反対にひっくり返り、ものごとが真逆に展開すること”です。たとえば、大方が「こうなるだろう」と予想する事柄が、それとは裏腹に反転したり、くつがえることを表します。
「どんでん返し」はフィクションの展開技法の一つ
「どんでん返し」とは、小説や映画、漫画やアニメなどの話の作成で用いられる「ストーリーの展開技法」でもあります。
話の中での「どんでん返し」は、一度は終わったように見えた場面から、それを覆すような驚きのフィナーレを迎えることを指します。つまり、観客や読み手に意表を突く結末を作る展開技法のことを「どんでん返し」と呼んでいます。
読み手や聞き手がハッと驚くような逆転劇は、人の興味心を掻き立てる効果があります。そのため、「どんでん返し」はストーリーを作成する上では需要な要素の一つとなっています。
「どんでん返し」の由来は”歌舞伎の強盗返”
「どんでん返し」とは、”歌舞伎の強盗返(がんどうがえし)”を由来に持つ言葉です。場合によっては「がんどう返し」を”がらんどう返し”と呼ぶこともあります。
もともと「強盗返」は、”居場所転換”や”居所替わり”などのシーン転換が素早く実現できる「歌舞伎の舞台では欠かせない仕掛けの一つ」です。通常「強盗返」は、演技や舞台の進行を中断することなく行なわれ、「シーン切り替え」の手段として、ごく短時間で用いられます。
加えて「どんでん返し」は、歌舞伎で使われる大太鼓が「どんでんどんでん」という音を出して鳴り響くことから、そのように呼ばれるようになったも言われています。
「どんでん返し」の使い方と例文とは?
劣勢な状況から好転する時に使う
「どんでん返し」は、状況や立場が大方の予想に反して急展開する時に使われますが、一般的には「良くない状況から一気に好転する時」に用いることが多いようです。
たとえば、長い間断られていた契約交渉が突如として受け入れられた、また喧嘩別れた二人が周囲の予想を裏切って縒りを戻した、といったような場面で使われます。
つまり、「どんでん返し」は、悪天候な状況から一瞬にして状況が明るくなるというさまを表す時に用いられます。
- 無理だと思っていた契約がさっき成立した。予想外のどんでん返しにビックリしたよ。
- 喧嘩別れをした彼女と仲直りをした。こんなラッキーなどんでん返しもあるもんだね。
- サッカーの最終戦。ラスト1分でどんでん返しのゴールを決めた。
良い状況から一気に悪天候に変わる時も
前述とは真逆になりますが、「どんでん返し」は、良い状況から悪天候に一気に変わってしまった時にも使われます。この場合は、「どんでん返しにあう」「どんでん返しをくらった」などの言い回しを用い、予想だにしなかった「好機からの急降下」を意味します。
- 前半は好調なプレゼンだったが、後半は多数のブーイングでどんでん返しにあった。
- 新婦が式場に現れない?これは、まさかのどんでん返しか。
- バスケットの世界大会。何とも最後の10秒でどんでん返しをくらった。
「どんでん返し」の類語とは?
「どんでん返し」の類語は”うっちゃり”
「うっちゃり」とは相撲用語で逆転技の一つです。「うっちゃり」は、相手に土俵際まで押されながらも、何とかそこから踏ん張って、相手を背後にある土俵外に出す「決め手」の一つとなります。
つまり、大方が「状況から見て負けは確定」と早とちりしながらも、最後の最後で勝ちを取る「急展開」を意味します。
「どんでん返し」との厳格な違いは、「うっちゃり」が”劣勢な状況から一気に好転する”ことだけを意味する点です。しかし、実際的には「どんでん返し」と同様に、良い状態から悪い状況へものごとが急展開する時にも使われています。
- 舞台のオーディションではあえなく落ちたが、そこに居合わせた一人の審査員に拾われた。自作で起用したいと言われ、デビューへのうっちゃりを見事に決めた。
- すべてが上手く行っていたデートだったが、彼女が突然「帰りたい」と言い出し、悲しいうっちゃりをくらってしまった。
その他の類語は「まさかの大逆転・一発逆転」など
「どんでん返し」を別の言葉に言い換える時は「まさかの大逆転」や「一発逆転」などの表現も使えるでしょう。
どちらも、劣勢な状況や立場を一気に覆すさまを表す時に使われますが、主にスポーツや勝負のシーンで好んで用いられます。
- 一発逆転を狙って、ここは思い切って捻り技で決めよう。
- 勝負事は最後までわからないものだ。まさかの大逆転もあるからね。
「どんでん返し」の英語表現とは?
「どんでん返し」は英語で”surprise ending”や”final twist”
「どんでん返し」は一般的に英語で“surprise ending(サプライズ・エンディング”や“final twist(ファイナル・トュイスト”を使います。小説やドラマ、映画などで大多数が予想もしないような結末を迎えた時や、悲劇的な場面から一気に好転するようなシーンで用いることが多いです。
また、話の途中で事態や状況が一転二転する時は「flip(フリップ)」、また口語では「switcheroo(スイッチャルー)」という表現も使ったりします。併せて覚えておきましょう。
「どんでん返し」を使った英語例文
「どんでん返し」を使った英語例文をご紹介しましょう。
- この映画、最後のどんでん返しが見事だったね。
It was a huge surprise ending in this movie. - 話の途中でいくつかのどんでん返しがある漫画は面白い。
I always enjoy comics that have some flips in their story.
まとめ
「どんでん返し」とは”歌舞伎の強盗返”を由来に持ち、舞台で使われる大太鼓が「どんでんどんでん」と鳴り響くことも含めて「どんでん返し」と呼ばれるようになった言葉です。
もともと、アニメや漫画、また映画や小説などで、結末にあっと驚くフィナーレを用意するストーリー展開技法を表しますが、その他、忍者屋敷で表と裏がひっくり返るからくり扉のことも「どんでん返し」と呼んでいます。
台本のない現実的な社会でも驚くような結末を迎えることがあります。そのような場面で「どんでん返し」を上手に使ってみてはいかがでしょうか?