雑誌で何度も見たことがある観光地に実際に足を運んでみると、予想をはるかに超えるような美しい情景に驚くことがあります。まさに「百聞は一見にしかず」とはこのことでしょう。
ここではことわざ「百聞は一見にしかず」をピックアップし、意味と使い方を中心に、例文を用いながら類語や英語表現などを解説しています。
「百聞は一見にしかず」の意味や使い方とは?
早速、「百聞は一見にしかず」の意味や使い方をみていきましょう。
意味は「自分の目で確かめるのが一番」
「百聞は一見にしかず」の意味は、「自分の目で確かめるのが一番」です。言葉通り「たとえ百回聞くより、一度でも自分自身の目で見た方が確実である」ということを例えたことわざです。つまり「百回聞いても、一度見るには及ばない」「実際に自分の目でしっかり確かめるべきだ」という教えです。
漢字表記で「百聞は一見に如かず」とも書く
「百聞は一見にしかず」は「しかず」を漢字表記にして「百聞は一見に如かず」と書くこともできます。ちなみに「如かず」は「及ばない」「そのようが良い」「越したことはない」という意味です。
「百聞は一見にしかず」を使った例文
「百聞は一見にしかず」を使った例文をご紹介しましょう。
- イメージばかり語っていても仕方ない。百聞は一見にしかずという言うでしょう。
- あれこれ文句を言っているようだけど、実際は違うかも?百聞は一見にしかずだよ。
- 家の自慢ばかり。それじゃあ、百聞は一見にしかずで、一度家に遊びに行ってみるか。
「百聞は一見にしかず」の由来と”続き”とは?
続いて「百聞は一見にしかず」の由来について紹介します。
由来は中国の「漢書」
「百聞は一見にしかず」は中国の漢書「趙充国伝(ちょうじゅうこくでん)」にある話が由来となっています。漢書は漢文から成る中国の書物で「漢籍」とも呼ばれる正史の一つです。前漢一台の壮絶な歴史を描いた作で、完成まで20年以上かかったと言われています。
由来となった漢文の「現代語訳」
「百聞は一見にしかず」の由来となった漢書部分を現代語訳(わずかな意訳を含む)すると、以下のようになります。
当時、中国の漢は反乱さなかのチベット系遊牧民に対して「鎮圧」を考えていた。趙充国に対し兵力の打診したところ「百聞は一見にしかずだ。前線は遠く戦略を企てるのは難しい。まず敵地の地図が必要である。私が馬に乗って敵地(金城)に向かい企図しよう」と告げたのだった。
ちなみに、漢書「趙充国伝」には漢語「百聞不如一見」と記されています。
「百聞は一見にしかず」の続き
また、「百聞は一見にしかず」に学び、現代では「その続き」が3つあります。
- 百見は一考にしかず:百回見たも、自分で考えなければ前進できない
- 百考は一行にしかず:百回考えても、自分で行動しなければ意味がない。
- 百行は一果にしかず:百回行動しても、結果を出さなければ成長はできない。
「聞く」「見る」「考える」「行う」という4つの動きが、実は連動しているという現代の考え方です。最後の「百果は~にしかず」には今後、一体どんな言葉が入るのでしょうか。
「百聞は一見にしかず」の類語は?
それでは「百聞は一見にしかず」の類語と同じ意味を持つ四字熟語を紹介しましょう。
類語は「論より証拠」
「百聞は一見にしかず」の類語は「論より証拠」です。「論ずるより、証拠が何より」ということわざで、逆を言えば「証拠がなくては、いくらグダグダ言っても効力がない」ということも表していると言えます。
- はい、商談で必要なデータ一覧!論より証拠って言うでしょう。
- 今月は一日も休んでいません。論より証拠に、これが出勤明細です。
同じ意味の四字熟語「百聞一見」
「百聞一見(ひゃくぶんいっけん)」は「百聞は一見にしかず」を四字熟語にしたもので、同等の意味として現代でも使われています。
- 百聞一見で、まずは先方の様子を確かめに行こう。
- 新店舗の客入り数が知りたいなら、百聞一見、足を運んでみるといい。
「百聞は一見にしかず」の英語と中国語表現
最後に、「百聞は一見にしかず」を英語と中国語について紹介します。どちらも定型文や成語として日常生活で使われている言葉となります。
英語表現は「Seeing is believing」
「百聞は一見にしかず」の英語表現は「Seeing is believing=見るは信じるなり」です。簡単な単語3文字で表現できる意味の深いことわざです。ビジネスシーンでも上手に使っていきましょう。例文を挙げてみます。
- I have heard that new mobile has came out. Let’s have a look as people say seeing is believing.
携帯の新機種が出たらしいよ。百聞は一見に如かずだ。見に行ってみよう。
中国語では「百闻不如一见」
中国語では「百闻不如一见=bǎi wén bù rú yí jiàn」です。漢語の教えからもあるように、中国でも崇めるべき大切な言葉の一つだと考えられます。
まとめ
「百聞は一見にしかず」は「百回も聞くより、一回でも見る方がよくわかる」という意味のことわざです。中国の漢書「趙充国伝」にある「敵地を自分の目で見て企図し、戦略を立てる」という話が由来となっています。
ちなみに、漢書に登場する「趙充国」は、自分の目で適地を見ることによって、見事チベット系遊牧民を鎮圧しました。さて、あなたも「百聞は一見にしかず」で競合相手(敵地)へ足を踏み入れる覚悟を決めますか?