「進む」の意味とは?類語・対義語や「進める」との違いも解説

普段何気なく使っている「進む」という言葉ですが、よく調べてみるとその意味の多様さに驚かされます。いろいろな場で使われる「進む」について、この記事では「進む」の意味と、「進んで」のような「進む」を使った表現を紹介します。また「進む」に似た「進める」との違いと使い分け方や、言い換え表現と対義語も解説します。

「進む」の意味とは?

「進む」の意味は”前に向かって動くこと”

「進む」の意味は、“乗り物などが前に向かって動くこと”です。「進む」には様々な意味があるのですが、この前に向かって動くという意味は最も基本となる意味です。

例文
  • 一歩前へと進む。
  • 買い物を終えて、店の出口に進んだところで友人に会った。

「進む」には”物事がはかどる”などの他の意味も

「進む」とは前へと動くという基本の意味から派生して、さまざまな意味で使われています。例えば、物事がはかどるという意味もあれば、「食が進む」と言うように勢いがつく盛んになるという意味もあります。

他には、上達する階級が上がる、ネガティブな意味合いでは悪化するなど状態の度合いが増すという意味でも使われています。

目指す方向に向かって進むことという意味が転じて、ある定めた分野で身を立てるという意味もあります。

「進む」を使ったさまざまな例文
  • 仕事が順調に進んだ。
  • 夏バテで食が進まない。
  • 上級クラスに進んだ。
  • 決勝戦に進む。
  • 病状が進んだため、集中治療室に移った。
  • 学術界に進む。

「進む」と「進める」の違いは自動詞と他動詞の違い

「進む」とは文法的に自動詞であり、「進める」は他動詞になります。「自動詞」は目的語がいらない動詞のことで、「進む」の前には必ず主語が必要となります。主語以外の言葉がなくても文章として成立するのが特徴です。

一方「他動詞」は目的がいる動詞のことで、「進める」のように必ず目的語となる言葉が「進める」の前にきます。

「進む」と「進める」を使った例文
  • 軍勢が前に進む。
  • 将軍は軍勢を前に進めた。

「進む」の使い方と例文とは?

「進んで」で積極的な意味を表す

「進んで」というように語尾を変えることで、積極的にという意味の副詞になります。「進んで」とは「進む」の「む」が「ん」へと発音しやすいように変化した連用形音便の形になっています。

「進んで」を使った例文
  • 進んでお母さんの手伝いをする。
  • 彼女は進んで行動するタイプだ。

「進み具合」とは進捗状況という意味

「進み具合」とは進捗状況や進行状況という意味で、物事がどれくらい進んでいるのかの程度を表しています。「進み具合」は「進度」のように単に物事が進んでいる度合いを示しているのではなくて、どのくらい前に進んでいるのかという意味合いが含まれていることです。

「進み具合」は文法的に説明すると、「進む」の名詞化した「進み」に「具合」という名詞が連結しています。

「進み具合」を使った例文
  • 仕事の進み具合を確認した。
  • 作業の進み具合からすると、期限までに納品できないかもしれない。

「進む」の類語・言い換え表現とは?

「進む」の言い換え表現は”進行する”や”前進する”

「進む」の言い換え表現として挙げられるのは“進行する”“前進する”です。「進行する」と「前進する」のどちらの表現も、「進む」が乗り物のような物体が前に向かって動くという意味のときと、物事がはかどるという意味のときに言い換え表現として使えます。

「進行する」と「前進する」が置き換えられないことがある

「進行する」は「進む」の意味が物事の状態は悪くなるというときには言い換えられるのですが、物事の状態がよくなるという意味のときには言い換えられません。反対に「前進する」は、「進む」の意味が物事の状態がよくなるという意味のときは言い換えられるのですが、物事の状態が悪くなるという意味のときには言い換えられません。

また「進む」が「食が進む」のように勢いがつくという意味のときは「進行する」と「前進する」のどちらも言い換え表現として使えません。

例文
  • 「病状が進む」=「病状が進行する」(×前進する)
  • 「進んだ基盤技術」=「前進する基盤技術」(×進行する)

「進む」の類語は”はかどる”

「はかどる」とは仕事などが順調に進んでいくという意味です。「はかどる」は”捗る”と漢字で表記されることもありますが、「捗」は常用漢字でも読み方が難しい漢字なのでひらがなで表記されることが多いです。

「はかどる」の例文
  • 仕事がはかどる。
  • 勉強がはかどる。

「進む」の対義語とは?

「進む」の対義語①遅れる

「進む」の対義語のひとつが“遅れる”です。「進む」が物事の動きやはかどり方を表しているときの対義語です。

「遅れる」を使った時の例文
  • 「時計が進む」⇔「時計が遅れる」
  • 「仕事が進む」⇔「仕事が遅れる」
  • 「勉強が人より進んでいる」⇔「勉強が人より遅れている」

「進む」の対義語②退く

「退く(しりぞく)」は後ろへ下がるという意味で、「進む」が前方に向かって動くという意味のときの対義語です。

「退く」を使った例文

ぶつかりそうになったので後ろに退く。

「進む」の英語表現とは?

「前進する」の意味なら”move forward”や”advance”

「進む」が「前進する」という意味で使われているのなら“move forward”“advance”が使えます。「move forward」は前へ進むという意味の熟語で、反対語は「move back」や「move backward」です。

「advance」は前進するという意味の他にも、昇進する促進するなどの意味がある言葉で、ポジティブな意味合いで前へと進めるときに使われる言葉です。

例文
  • “The project has moved forward successfully.”
    「プロジェクトは順調に進んでいる」
  • “He advanced the plan for the next project.”
    「彼は次のプロジェクトの計画を進めた」

「はかどる」の意味なら”make progress”

はかどるの意味で使われる「進む」なら英語で「make progress」が使えます。また「進む」が上達するという意味で使われているなら「make progress」の他にも「develop」が使えますし、悪化するの意味なら「get worse」など、文脈から考えて様々な英語表現が使えます。

「進む」は様々な意味を持つ言葉ですから、英語に訳すときは「進む」がどのような意味で使われているのかを解釈して、その解釈に合った英語表現を見つけることが大切です。

例文

“We make progress toward achieving the goal.”
「私たちは目標達成に向けて進む」

まとめ

「進む」とは「前に動く」という意味以外にも「はかどる」や「上達する」などさまざまな意味のある言葉です。使う機会が多い分、別の言葉に言い換えようとするときには「進む」の意味に合わせたさまざまな表現が考えられますので、文脈に沿って「進む」の詳しい意味を見つけるようにしてみましょう。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。